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第3章 

第49話 父と兄は気づく

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 ユートリーの葬儀はソイスト侯爵家にて身内のみでしめやかに行われることが決められた。何しろ本人は生きているのだ。他の貴族が葬儀に来て、嘘だったというわけにはいかない。
ミイヤや屋敷の使用人たちには、密葬の上日を置いてお別れの会を開くとスチューから伝えられた。

 マーカスとサルジャンは暗部の者たちと床下の隠し通路にともに潜み、新たに設えた覗き穴からその時のミイヤを観察していたのだが。
 改めてユートリーの死に触れた皆が、悲しみに顔を歪める中、ただひとり、俯いてうれしそうに笑ったミイヤの顔ときたら本当に醜悪で。その心根をまざまざと見せつけられたマーカスはミイヤを引き取ったことを死ぬほど後悔した。
 しかしそれを見たことで最後の情は砕けて消え、厳しい断罪に踏み出せると思えたのだ。

 部屋に戻ったミイヤを追って、さらにその様子を観察し続けながら怒りに思い耽っていたマーカスは、サルジャンの言葉に引き戻される。

「関わっているとは思っていたが、トローザー王子が用意していたとは」
「ト、トローザー王子?王子がどうした?」
「父上聞いてなかったのですか」

 サルジャンの呆れたような咎める目。

「う、うむ。ちょっと考えごとをして聞き逃してしまったようだ」
「しっかりしてくださいよ!ミイヤはトローザー殿下からもらった毒を隠すか捨てるかと言っていたんですよ!これで結婚できるとも言っていましたよ!」
「なっ、なんと!ナイジェルス殿下とユートリーを害し、トローザー殿下と結婚だ?
何を言っているんだ、私たちが許すわけないだろう!王妃様の御子であるゴールダイン殿下の方がトローザー王子より間違いなく様々に優れておられることは明白、我がソイストは何があってもゴールダイン殿下派・・・あ!」

 思いついたことがありそうなのに、急に黙り込んだ父の様子にサルジャンは苛つき、じっとりと睨みつける。

「父上、何かわかったなら私にも教えて下さいよ」

 促されてマーカスは自分の考えを明かし始めた。

「まずゴールダイン殿下が王太子候補最有力なのはご本人の資質は勿論だが、臣籍降下して殿下を支えると公言したナイジェルス殿下とその後ろ盾となるソイスト侯爵家の力も大きいだろう」

 サルジャンが小さく頷いた。

「トローザー王子やキャロラ妃が王太子の座を狙う一番の邪魔者はゴールダイン殿下だが、殿下を排除したとして、すぐトローザー王子が筆頭候補になると思うか?」

 あ!
何かに気づいたサルジャンが口を開けた。
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