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恋は迷路の中
初デート・・・?
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こうして少しづつ意識してを重ねること一年。とうとうエザリアとセインはふたりで食事に行くほどに、自然に打ち解けた。
「セイン!」
仕事の後、いつもよりほんの少しおめかしをしたエザリアと落ち合う。
待ち合わせの場所からも近いというサリバー家と付き合いのあるレストランに、並んで歩いて向かった。
「ここは亡くなったお母さまが好きだったお店なの」
選んだのは勿論エザリアだ。
「こじんまりしていて、落ち着く店よ。気に入ってもらえたらうれしいのだけど」
「素敵な店だね」
ポツリと言ったセインに、エザリアが頬を染める。
「お母さまの実家のパリークル子爵家がお気に入りの店で、こどもの頃からいらしてたそうよ」
ちなみに、数日前セインの誕生日だったと知ったエザリアがご馳走させてほしいと可愛らしく頼み込むもので、断りきれなくなってしまった。
「頼んであったコースでお願いね」
如何にも高そうな店でコース料理!セインハッとした。
「お父様がコース二人分で予約と支払いまで済ませてくれてるそうよ」
まるでセインの心のうちを見抜いたように、そう言ったエザリア。
口からホッと出そうになって、セインは慌ててそれを飲み込んだ。
ディナーが始まると、滑らかな手付きでカトラリーを扱うセインにエザリアのほうが釘付けになった。
「な・・・に?変かな」
「いえ、所作がとても美しいわ」
「ああ、魔法医薬師は高位の方とも会うことが多いから。魔法医薬師の試験は薬草や素材の知識や調合の技術は勿論なんだけど、試験の前に十日ほど研修を受けさせられて、それを履修しないと試験が受けられないんだ。その研修で食事や貴族への挨拶なんかは学ばされるんだよ」
「まあ!そうだったのね知らなかったわ」
どおりで!とエザリアは腹に落ちた。
森の小屋に籠もっていた割に、セインの所作はどこか品の良さがあり、安心して側にいられたのだ。
「まだまだ知らないことがたくさんあると思う。私はもっと知りたいの、セ、セインのこと」
驚いて顔を上げたセインの目に、いつもはしっかり者のエザリアが真っ赤になって俯いている。
固く握り締めた両手は青白くなり、指先がふるふると震えていた。
「あ・・・・」
いい加減セインにもわかっている。
毎週ランチにスープやサラダを作ってきているのは、自分に食べさせるためだということ。
貴族の、そして大商会の令嬢が、自らバスケットに野菜を詰めているのは自分のためなのだ。
最初はただ戸惑った。
平民の自分なんかには無理だと。
しかしサリバー商会の中で仕事をするようになって、商会の使用人や何よりもお客様たちに頼られ、感謝されるようになって、だんだんと自分の居場所を意識するようになった。
必要とされる喜びを知ると、もっと役に立てるようになりたくなった。
ふとエザリアがさり気なく仕事をしやすいように整えてくれていることに気づくと、自分にはとても無理だと思っていたエザリアが、思っていたよりずっと近くにいることに気づいて。
意識し始めた頃、白猫だったエザリアはぼんやりとした思い出せなくなったが、もう胸が痛くなるような寂しさを覚えることはなくなっていた。
「僕は・・・ぼ・・」
言いかけて、自分を僕と呼ぶのは子供っぽい気がして。
「わ、私も知りたいとおもっていますです。え、エザリア様のことっ」
緊張して呂律がうまく回らない。
ボワッと胸の中から熱が噴き出して体中を駆け巡り、セインは真っ赤に染め上げられたのだった。
「セイン!」
仕事の後、いつもよりほんの少しおめかしをしたエザリアと落ち合う。
待ち合わせの場所からも近いというサリバー家と付き合いのあるレストランに、並んで歩いて向かった。
「ここは亡くなったお母さまが好きだったお店なの」
選んだのは勿論エザリアだ。
「こじんまりしていて、落ち着く店よ。気に入ってもらえたらうれしいのだけど」
「素敵な店だね」
ポツリと言ったセインに、エザリアが頬を染める。
「お母さまの実家のパリークル子爵家がお気に入りの店で、こどもの頃からいらしてたそうよ」
ちなみに、数日前セインの誕生日だったと知ったエザリアがご馳走させてほしいと可愛らしく頼み込むもので、断りきれなくなってしまった。
「頼んであったコースでお願いね」
如何にも高そうな店でコース料理!セインハッとした。
「お父様がコース二人分で予約と支払いまで済ませてくれてるそうよ」
まるでセインの心のうちを見抜いたように、そう言ったエザリア。
口からホッと出そうになって、セインは慌ててそれを飲み込んだ。
ディナーが始まると、滑らかな手付きでカトラリーを扱うセインにエザリアのほうが釘付けになった。
「な・・・に?変かな」
「いえ、所作がとても美しいわ」
「ああ、魔法医薬師は高位の方とも会うことが多いから。魔法医薬師の試験は薬草や素材の知識や調合の技術は勿論なんだけど、試験の前に十日ほど研修を受けさせられて、それを履修しないと試験が受けられないんだ。その研修で食事や貴族への挨拶なんかは学ばされるんだよ」
「まあ!そうだったのね知らなかったわ」
どおりで!とエザリアは腹に落ちた。
森の小屋に籠もっていた割に、セインの所作はどこか品の良さがあり、安心して側にいられたのだ。
「まだまだ知らないことがたくさんあると思う。私はもっと知りたいの、セ、セインのこと」
驚いて顔を上げたセインの目に、いつもはしっかり者のエザリアが真っ赤になって俯いている。
固く握り締めた両手は青白くなり、指先がふるふると震えていた。
「あ・・・・」
いい加減セインにもわかっている。
毎週ランチにスープやサラダを作ってきているのは、自分に食べさせるためだということ。
貴族の、そして大商会の令嬢が、自らバスケットに野菜を詰めているのは自分のためなのだ。
最初はただ戸惑った。
平民の自分なんかには無理だと。
しかしサリバー商会の中で仕事をするようになって、商会の使用人や何よりもお客様たちに頼られ、感謝されるようになって、だんだんと自分の居場所を意識するようになった。
必要とされる喜びを知ると、もっと役に立てるようになりたくなった。
ふとエザリアがさり気なく仕事をしやすいように整えてくれていることに気づくと、自分にはとても無理だと思っていたエザリアが、思っていたよりずっと近くにいることに気づいて。
意識し始めた頃、白猫だったエザリアはぼんやりとした思い出せなくなったが、もう胸が痛くなるような寂しさを覚えることはなくなっていた。
「僕は・・・ぼ・・」
言いかけて、自分を僕と呼ぶのは子供っぽい気がして。
「わ、私も知りたいとおもっていますです。え、エザリア様のことっ」
緊張して呂律がうまく回らない。
ボワッと胸の中から熱が噴き出して体中を駆け巡り、セインは真っ赤に染め上げられたのだった。
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