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恋は迷路の中
気持ちの置き所
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エザリアは珍しく落ち込んでいた。
何故ならセインに袖にされ続けているから。
いろいろと理由をつけて森の家に行くのだが、セインはエザリアに素っ気ない。素っ気なさ過ぎて、本当にほんの少しも自分に興味がないのだと思い知らされるのだ。
スミルやジョルがいると楽しそうに笑うのに。
「はあ」
大きなため息をついたエザリアを、メリが慰める。
「デール様とは住む世界が違うんですよ」
「何よそれ!私はずっとセインの家で暮らしてたのよ、ちゃあんと同じ世界に住んでるわっ!」
メリの言うことはわかっていても、カッとして言い返してしまう。
(セイン・・・猫だったときは、あんなに仲良く過ごしていたのにどうして)
パーティのあと、エザリアはとにかくセインの元に通い詰めた。
珍しい薬草を取り寄せ、小分けにして毎日少しづつ持って行く。我ながらセコいやり方だとは思ったが、そうでもしないとセインに会い辛いのだから仕方ない。
「諦めた方がよろしいんじゃないですか」
メリの声が気の毒そうに響いた。
それでもエザリアは不屈の根性で立ち上がる。
将来サリバー商会を背負って立つ後継者が、このくらいのことでくよくよしてはいられないのだ。
「絶対に諦めないわ!」
エザリアは紙とペンを用意し、何かを書き始めた。
・セインはエザリアが好き
どこが好き?
・セインはエザリアがまあまあ好き
すごくじゃないのは何故?
・セインはエザリアを友だちとして好き
恋人になるにはどう意識させたらいい?
・セインはエザリアを人として好き
まずは友だちからって言ってみる?
・セインはエザリアがあまり好きじゃない
嫌がられるのはどうして?
・セインはエザリアが✕✕✕
セインの身になって、セインが好きになる自分像を考えようとするのだか、どうも考えがまとまらず、ため息をつく。
猫の姿でセインの膝で微睡んだ幸せな気持ちを思い出すと、一瞬緩んだ口元が引き締められる。今との差が悲しくなったのだ。
「ハア」
静かな部屋に、切ないため息が響いた。
メリがエザリアに頼まれた買い物に出かけた先で、届け物に来ていたスミルを捕まえた。
「最近エザリアお嬢様が落ち込んでるの」
「なんで?もとに戻れて絶好調じゃないのか?」
「仕事はね。ほら、スミルがいるところのセインさんのせいよ」
「あ!ああ」
うんうんと、納得して頷く。
「セインさんってエザリア様のこと嫌いなのかしら?」
「え?そんなことはないと思うけど」
「エザリア様、一生懸命森に通ってるじゃない?でも帰るたびに酷く落ち込むんだから」
スミルにも覚えはあった。
エザリアは例え姿が猫でも人でも自分は自分だと思っているが、セインは令嬢になったエザリアに戸惑っており、距離を置いている。
どれほど追い縋られても、身分も家格も違いすぎると考えているのも知っていた。
「そうか・・・」
「望みがないなら、早く諦めたほうがいいのに」
「・・・・うん」
セインの本音はわからない。
たまに遊びに来るジョルにからかわれても、慌てるでもなく、微笑んで交わしてしまうから。
「スミル、エザリア様のために一度確認してみてよ!」
ズイッと顔を寄せたメリが、うんと言うまで睨みつけてくる。
しかたなく、小さくうんと頷いた。
何故ならセインに袖にされ続けているから。
いろいろと理由をつけて森の家に行くのだが、セインはエザリアに素っ気ない。素っ気なさ過ぎて、本当にほんの少しも自分に興味がないのだと思い知らされるのだ。
スミルやジョルがいると楽しそうに笑うのに。
「はあ」
大きなため息をついたエザリアを、メリが慰める。
「デール様とは住む世界が違うんですよ」
「何よそれ!私はずっとセインの家で暮らしてたのよ、ちゃあんと同じ世界に住んでるわっ!」
メリの言うことはわかっていても、カッとして言い返してしまう。
(セイン・・・猫だったときは、あんなに仲良く過ごしていたのにどうして)
パーティのあと、エザリアはとにかくセインの元に通い詰めた。
珍しい薬草を取り寄せ、小分けにして毎日少しづつ持って行く。我ながらセコいやり方だとは思ったが、そうでもしないとセインに会い辛いのだから仕方ない。
「諦めた方がよろしいんじゃないですか」
メリの声が気の毒そうに響いた。
それでもエザリアは不屈の根性で立ち上がる。
将来サリバー商会を背負って立つ後継者が、このくらいのことでくよくよしてはいられないのだ。
「絶対に諦めないわ!」
エザリアは紙とペンを用意し、何かを書き始めた。
・セインはエザリアが好き
どこが好き?
・セインはエザリアがまあまあ好き
すごくじゃないのは何故?
・セインはエザリアを友だちとして好き
恋人になるにはどう意識させたらいい?
・セインはエザリアを人として好き
まずは友だちからって言ってみる?
・セインはエザリアがあまり好きじゃない
嫌がられるのはどうして?
・セインはエザリアが✕✕✕
セインの身になって、セインが好きになる自分像を考えようとするのだか、どうも考えがまとまらず、ため息をつく。
猫の姿でセインの膝で微睡んだ幸せな気持ちを思い出すと、一瞬緩んだ口元が引き締められる。今との差が悲しくなったのだ。
「ハア」
静かな部屋に、切ないため息が響いた。
メリがエザリアに頼まれた買い物に出かけた先で、届け物に来ていたスミルを捕まえた。
「最近エザリアお嬢様が落ち込んでるの」
「なんで?もとに戻れて絶好調じゃないのか?」
「仕事はね。ほら、スミルがいるところのセインさんのせいよ」
「あ!ああ」
うんうんと、納得して頷く。
「セインさんってエザリア様のこと嫌いなのかしら?」
「え?そんなことはないと思うけど」
「エザリア様、一生懸命森に通ってるじゃない?でも帰るたびに酷く落ち込むんだから」
スミルにも覚えはあった。
エザリアは例え姿が猫でも人でも自分は自分だと思っているが、セインは令嬢になったエザリアに戸惑っており、距離を置いている。
どれほど追い縋られても、身分も家格も違いすぎると考えているのも知っていた。
「そうか・・・」
「望みがないなら、早く諦めたほうがいいのに」
「・・・・うん」
セインの本音はわからない。
たまに遊びに来るジョルにからかわれても、慌てるでもなく、微笑んで交わしてしまうから。
「スミル、エザリア様のために一度確認してみてよ!」
ズイッと顔を寄せたメリが、うんと言うまで睨みつけてくる。
しかたなく、小さくうんと頷いた。
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