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呪われたエザリア
閑話 ロンメルンの訪問
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魔力回復ポーションが大嫌いだと喚くミヌークスに、ロンメルンが持っていたセインのポーションを飲ませたところ、目から鱗でも落ちたかというほど豹変した。
効果もよく、大層気に入ったミヌークス。
何故今まで魔法医薬師セイン・デールの名を知らなかったのかと、ムユークに旅立つ前に調べたところ、森の店で欲のない商いをしているらしい。
「研究熱心な若手がこんなに素晴らしいものを作っているのを認めもせずに、何故こんなくそまずいものを飲ませ続けるんだ!」
ミヌークスの激怒ぶりに、今やセインの友人であるロンメルンは感銘を受け、またあのミヌークスがそこまで言うならとチューグはポーションを試飲の上、密かに直接取引きを認めて予算をロンメルンに回してやった。
そんな経緯で今、ロンメルンはセインの店にいる。
今回、ロンメルンとミヌークスがムユークに行くまでに、必要な量をまとめて購入したいとロンメルンが直接頼みに来たのだ。
「へえ、僕の魔力回復ポーションが?」
「そうなんだ。一般的に売られているものより実はかなり美味い。ここで初めて飲んだとき、驚いたものだよ。しかしあまり美味い美味いというと売れすぎて私が必要なときに買えないかも知れぬから言わなかったんだ。すまんな」
「ハハハ。ロンメルンに頼まれたらいつでも作るよ!」
「そうだな、今はそう思えるが、知り合ったばかりの頃はな。アレだったから」
何がアレなのかはセインにはわからなかったが、ロンメルンの頼みに応じて作り置いてあった魔力回復ポーションと、念のため状態異常や体力回復といった数種類のポーションを詰め合わせて渡してやった。
「これは礼と代金だ」
「えっ!こんな多すぎるよ」
「うちの団長から、急な依頼に応えて貰った礼だそうだから、遠慮せずに貰っておけ。あとな」
ロンメルンが一呼吸おいて続ける。
「赤髪の魔女はムユークに連れ戻されたら、そう日を置かずに処刑されるだろう」
ハッと息を飲んだセインに、ロンメルンは兄のような労る視線を向けた。
「最初は簡単に処刑せず、ネチネチと生かし続けることもあるかと懸念したんだがな。ムユークは家族を害されたら家門の者が仇を討たねば蔑まれるそうだ」
「それは大変だ」
「ああまったく。だから妹さんを喪った宰相様自らお出ましになったんだと。
なんでも仇を捕まえたら決闘場で、立会人に見守られながら討つことが決められているそうでな」
確実に仇を討てるよう加害者は決闘場に立てられた柱に括り付けられ、逃げることは敵わないらしい。
「それけっこう卑怯なやり方じゃないか?」
「まあ元々殺人犯だし、仇を討つほうが剣も持ったことのない令嬢のこともあるそうだから」
「え?そんなこと令嬢にさせる?」
「最低でも一太刀は浴びせなければいけないらしいが、それ以上どうしても無理な時は処刑人も控えているそうだよ」
心なしか青褪めたセインはフーっと息を吐きだし、「メクリムに生まれてよかったな」と呟いた。
「だからエザリア嬢も直に呪いが解けると思うぞ。セイン、まだサリバー家に行ってないんだろう?呪いが解けたら一度顔をみせてやるといい。
ココだけの話だが。
護衛に当たった四人全員、男爵家から礼を頂いたんだが、さすがサリバー商会だけあったぞ。セインも絶対にもらったほうがいい!」
ロンメルンの目の色が少し変わって見えたセインは、愛想笑いを浮かべる。
「ああ、ありがとう。近いうちに一度行ってみるよ」
白猫のエザリアに会えなくなってしまうと知ると無性に寂しくなったセインは、そう答えた。
効果もよく、大層気に入ったミヌークス。
何故今まで魔法医薬師セイン・デールの名を知らなかったのかと、ムユークに旅立つ前に調べたところ、森の店で欲のない商いをしているらしい。
「研究熱心な若手がこんなに素晴らしいものを作っているのを認めもせずに、何故こんなくそまずいものを飲ませ続けるんだ!」
ミヌークスの激怒ぶりに、今やセインの友人であるロンメルンは感銘を受け、またあのミヌークスがそこまで言うならとチューグはポーションを試飲の上、密かに直接取引きを認めて予算をロンメルンに回してやった。
そんな経緯で今、ロンメルンはセインの店にいる。
今回、ロンメルンとミヌークスがムユークに行くまでに、必要な量をまとめて購入したいとロンメルンが直接頼みに来たのだ。
「へえ、僕の魔力回復ポーションが?」
「そうなんだ。一般的に売られているものより実はかなり美味い。ここで初めて飲んだとき、驚いたものだよ。しかしあまり美味い美味いというと売れすぎて私が必要なときに買えないかも知れぬから言わなかったんだ。すまんな」
「ハハハ。ロンメルンに頼まれたらいつでも作るよ!」
「そうだな、今はそう思えるが、知り合ったばかりの頃はな。アレだったから」
何がアレなのかはセインにはわからなかったが、ロンメルンの頼みに応じて作り置いてあった魔力回復ポーションと、念のため状態異常や体力回復といった数種類のポーションを詰め合わせて渡してやった。
「これは礼と代金だ」
「えっ!こんな多すぎるよ」
「うちの団長から、急な依頼に応えて貰った礼だそうだから、遠慮せずに貰っておけ。あとな」
ロンメルンが一呼吸おいて続ける。
「赤髪の魔女はムユークに連れ戻されたら、そう日を置かずに処刑されるだろう」
ハッと息を飲んだセインに、ロンメルンは兄のような労る視線を向けた。
「最初は簡単に処刑せず、ネチネチと生かし続けることもあるかと懸念したんだがな。ムユークは家族を害されたら家門の者が仇を討たねば蔑まれるそうだ」
「それは大変だ」
「ああまったく。だから妹さんを喪った宰相様自らお出ましになったんだと。
なんでも仇を捕まえたら決闘場で、立会人に見守られながら討つことが決められているそうでな」
確実に仇を討てるよう加害者は決闘場に立てられた柱に括り付けられ、逃げることは敵わないらしい。
「それけっこう卑怯なやり方じゃないか?」
「まあ元々殺人犯だし、仇を討つほうが剣も持ったことのない令嬢のこともあるそうだから」
「え?そんなこと令嬢にさせる?」
「最低でも一太刀は浴びせなければいけないらしいが、それ以上どうしても無理な時は処刑人も控えているそうだよ」
心なしか青褪めたセインはフーっと息を吐きだし、「メクリムに生まれてよかったな」と呟いた。
「だからエザリア嬢も直に呪いが解けると思うぞ。セイン、まだサリバー家に行ってないんだろう?呪いが解けたら一度顔をみせてやるといい。
ココだけの話だが。
護衛に当たった四人全員、男爵家から礼を頂いたんだが、さすがサリバー商会だけあったぞ。セインも絶対にもらったほうがいい!」
ロンメルンの目の色が少し変わって見えたセインは、愛想笑いを浮かべる。
「ああ、ありがとう。近いうちに一度行ってみるよ」
白猫のエザリアに会えなくなってしまうと知ると無性に寂しくなったセインは、そう答えた。
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