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呪われたエザリア

団長ふたり

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 魔道士団が管理する地下牢には、赤髪の魔女ことグルドラ・ルストが繋がれていた。

 ただ牢に入れているのではなく、牢の中でさらに拘束バインドされ、宙に浮いている。
よく見ると両腕と足は石膏で固められていた。


「これはまた、えらく厳重だな」
「ああ。ムユーク王国がくれた最新の魔封じも設置はしたんだが、爪先で魔法陣を描くだけで魔法を発動できるらしい。ムユークでもそれで脱獄されたらしいからな。麻痺させているが、目覚めても詠唱させないために猿轡足をして、拘束バインド魔法に、さらに手足も固定しているというわけだ」


 なるほどとイグルスは頷いた。

 実のところぐるぐるに縛られ、手足も固められて宙に浮くグルドラを見て、ここまでやる必要あるのか?と思ったのだが、口にしなくてよかったようだ。


「それで、そっちはどうなんだ?」
「ああ。シュマーとロズリンはすぐに吐いた。だいそれたことをする割には簡単に落ちたな」
「動機は何だと?」
「金だよ、ありきたりだがな。
最初は飲み屋で魔女に声をかけられたそうだ。話半分、うまくいけば儲けものくらいに思っていたらしいが、魔女の言うように使用人としてサリバー家に入り込んだあと、さくさくと後妻におさまったことで、シュマーとロズリンにも欲が出たようだ。
令嬢がいなくなったあと、魔女の呪術で男爵を操って、ロズリンを男爵と商会長の後継者にして届けを出させたら、頃合いを見て男爵も始末するつもりだったんだと」
「恐ろしい女どもだな。その願いを叶えたら魔女にはどんな対価が得られるんだ?金か?」
「それがどうにもはっきりしないんだ」


 イグルスは辺りをみまわし、声を潜めた。


「サリバー男爵が手紙に書いていたことを覚えているか?」
「手紙?」



 ブラスの推測は、三つの大きな商会を手中に収めたいのではないかというものだった。
合わせた財産は凄まじい。


「その線はアリだと思う」チューグも頷いた。















「ところで魔女はムユークに帰すのか」

 メクリムで捕縛した報せを送ると、恐ろしい速さで引き渡しの申し入れがやって来たと聞いたイグルスがチューグに訊ねる。

「ああ。調べてみたい気はするが、残念ながら王族への重大な犯罪と比べたら・・・。
協定に基づきそうせざるを得ない」
「ムユークは処刑するよな?」
「そこは私も気になっている。普通なら即座に処刑だが、研究とかなんとかで生かされたら困るんだよ、令嬢が」

 団長ふたりのグルドラ談義はまだまだ続くのだった。
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