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呪われたエザリア
スミルのお使い
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「にゃぁん」
エザリアがセインの手元をちょいちょいと触れている。呼んでいるようだ。
「なんだい?」
「にゃあ」
読み終わって二つ折りにされたイグルスからの手紙を、猫の前足が開こうとしている。
「ああごめんよ、読みたかったんだね」
白猫の頭を撫で撫でしてから、手紙を広げて前に置いてやると、そうそう!と言うように猫が覗き込んだ。
─ロリンねえ?─
そんなメイドがいただろうか?赤髪のメイドには記憶がない。
─メリならわかるかしら─
犯罪者に接したことなどないエザリアは、逃亡者が髪や目の色を変えているなどとは思いもしなかった。
前足でとんとんとテーブルを叩き。
『すみる あう』
セインに訴えると、スミル宛てにメッセージを書いてくれる。
「ジョル!スミルにこれを出したいんだけど」
「ああ、では騎士団の巡回時に届けてもらうよう頼んでおこう」
その日の午後、早速ふたりの訪問者がやってきた。
ひとりはエザリアが呼んだスミルだ。
サリバー男爵ブラスからの手紙を土産にして訪れた。
「スミル、エザリアが待ってるよ」
いつものように穏やかな微笑みでスミルが迎えられる。
すっかりセインに馴染んだスミルは、最近この森の店を訪れるのが大のお気に入りだ。
店の扉を開けると鼻腔に流れ込む薬草の香りが、スミルをほっとさせる。
「お茶淹れたよ」
セインが淹れてくれる薬草茶も。
「お嬢様、はいこれをどうぞ」
まずは父ブラスからの手紙をエザリアは読んだ。
「心配させてすまない。
シュマーとは離縁する。家や商会の実権を渡すことは決してしない。またどんな手を使っても、どれほど金がかかっても、必ず呪いを解いてやる!
ただ今は騎士団からも安全のために町から一定以上離れているよう指示されているので、呪術師が捕縛されるまで暫く我慢してほしい」
エザリアの立ち上がった尻尾がふわふわと揺れる。
覗き込んだセインも、エザリアを安心させる手紙だとわかり、小さな白い頭を撫でた。
『すみる めりにきいて ろりん』
顔を上げた白猫は文字盤の前に立つと前足を動かしていく。
「ロリン?あっ、いなくなったメイドですね。メリに聞けばいいんですね?」
「にゃっ」
「じゃあギルドの帰りにでも、寄ってみることにします」
猫は鷹揚に頷いたあと、セインがリュックを差し出した。
「スミル、いつも世話をかけるが今日はこれを頼むよ。それとこっちは素材の依頼を出してほしい分だ」
丈夫なリュックには様々なポーションの小瓶が詰め込まれ、背負うと結構な重さになるが、スミルはひょいと肩にかける。
「了解した!明日の午後にまた来るよ」
ブラスがルフリックに、スミルが自由に動ける時間を作るよう指示したので、仕事が終わるまで待たずとも、日中でも仕事を抜けて森に行くことが出来るようになったのだ。
「ああ、助かるよ。気をつけて」
右手を振るセインの左手には、白猫が抱きあげられていた。
エザリアがセインの手元をちょいちょいと触れている。呼んでいるようだ。
「なんだい?」
「にゃあ」
読み終わって二つ折りにされたイグルスからの手紙を、猫の前足が開こうとしている。
「ああごめんよ、読みたかったんだね」
白猫の頭を撫で撫でしてから、手紙を広げて前に置いてやると、そうそう!と言うように猫が覗き込んだ。
─ロリンねえ?─
そんなメイドがいただろうか?赤髪のメイドには記憶がない。
─メリならわかるかしら─
犯罪者に接したことなどないエザリアは、逃亡者が髪や目の色を変えているなどとは思いもしなかった。
前足でとんとんとテーブルを叩き。
『すみる あう』
セインに訴えると、スミル宛てにメッセージを書いてくれる。
「ジョル!スミルにこれを出したいんだけど」
「ああ、では騎士団の巡回時に届けてもらうよう頼んでおこう」
その日の午後、早速ふたりの訪問者がやってきた。
ひとりはエザリアが呼んだスミルだ。
サリバー男爵ブラスからの手紙を土産にして訪れた。
「スミル、エザリアが待ってるよ」
いつものように穏やかな微笑みでスミルが迎えられる。
すっかりセインに馴染んだスミルは、最近この森の店を訪れるのが大のお気に入りだ。
店の扉を開けると鼻腔に流れ込む薬草の香りが、スミルをほっとさせる。
「お茶淹れたよ」
セインが淹れてくれる薬草茶も。
「お嬢様、はいこれをどうぞ」
まずは父ブラスからの手紙をエザリアは読んだ。
「心配させてすまない。
シュマーとは離縁する。家や商会の実権を渡すことは決してしない。またどんな手を使っても、どれほど金がかかっても、必ず呪いを解いてやる!
ただ今は騎士団からも安全のために町から一定以上離れているよう指示されているので、呪術師が捕縛されるまで暫く我慢してほしい」
エザリアの立ち上がった尻尾がふわふわと揺れる。
覗き込んだセインも、エザリアを安心させる手紙だとわかり、小さな白い頭を撫でた。
『すみる めりにきいて ろりん』
顔を上げた白猫は文字盤の前に立つと前足を動かしていく。
「ロリン?あっ、いなくなったメイドですね。メリに聞けばいいんですね?」
「にゃっ」
「じゃあギルドの帰りにでも、寄ってみることにします」
猫は鷹揚に頷いたあと、セインがリュックを差し出した。
「スミル、いつも世話をかけるが今日はこれを頼むよ。それとこっちは素材の依頼を出してほしい分だ」
丈夫なリュックには様々なポーションの小瓶が詰め込まれ、背負うと結構な重さになるが、スミルはひょいと肩にかける。
「了解した!明日の午後にまた来るよ」
ブラスがルフリックに、スミルが自由に動ける時間を作るよう指示したので、仕事が終わるまで待たずとも、日中でも仕事を抜けて森に行くことが出来るようになったのだ。
「ああ、助かるよ。気をつけて」
右手を振るセインの左手には、白猫が抱きあげられていた。
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