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呪われたエザリア
スミルの手紙
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エザリアの猫化?が進む中、ブラスが帰途についたと報せがあった。
「ブラス様は3週間ほどでお帰りになるそうですよ」
「にゃ」
文字盤の横に飛び乗った白猫は、迅速に前足を動かしていく。
『おとうさまに のろい しらせたか』
「いえ、まだ。だって誰の目に触れるかわからないですし。エザリアお嬢様はブラス様に全部打ち明けて大丈夫だと思ってます?まあ流石にブラス様も、シュマーよりお嬢様が大切と言うに決まってますけど」
『そね それなら なれすに』
父を信じたい気持ちはあるが、あの後妻を娶ったことがどうにも引っかかり、事情を知らせるならと顔が浮かんだのがナレスだった。
「・・・ナレスさんですね。ではナレスさん宛に手紙を出してみますか?」
「ニャッ」
こくりと頷く白猫は、やはりちょっと奇妙であった。
サリバー商会の伝令は、今回のブラスのように遠出をしていても、どこを通るか事前に決めてあるので必ずルート上で行き合うことができる。
代行ではなく、ブラスの決済が必要なことや、旅の路銀や商売の資金を定期的に運びながら連絡を繋ぐ伝令は何人かおり、その中でシュマーを特に嫌っているエンリトに、スミルはナレス宛の手紙を頼むことにした。
「ナレス様に直接手渡してくれ!頼む」
「スミルがナレス様になんて珍しいな。何かブラス様に知られるとまずいことでもやっちまったのか?」
「ん?ああ、まあそんなところだ。だから他の者には知られたくないんだ、内密に頼むよ」
「じゃあ戻ったら一杯おごれよ」
エンリトはスミルの手紙だけ、自分の胸ポケットにしまいこんだ。
スミルの知る限り、エンリトは人の秘密をペラペラ喋るような者ではない。
ブラスのもとに向け走り出した馬車を見送ったスミルは、これでまた解決に一歩近づいたはずだと安堵の息を吐いていた。
重い馬車で隊列を組み移動するブラスたちとは違い、馬に括り付けられるだけの荷物で、乗り継いで移動しているエンリトたち伝令は七日後にブラスたちに合流した。
「スミルから?また何かやったんだな」
手紙など珍しいことなので本当に何かしくじったのだと、ナレスも苦笑いしながらエンリトから手紙を受け取り、自分用の個室に入る。
どんな失敗か読んでから、ブラスに報告しても遅くないと考えて。
しかし手紙に目を通し、驚愕した。
「な、なんと?スミルは狂ったのか?」
いくら強力な呪いといえど、まさか人間が猫になってしまうなどあるわけがない!
やっぱりあるわけがないよな・・
信じがたいこと。
しかし、それをわざわざ伝令に内密にと持たせるだろうか?
「・・・スミルもそこまでバカじゃない」
だとすると、本当にエザリアお嬢様はシュマーに猫に変えられた?
ナレスにも思い当たることがある。
屋敷にいたときにはシュマーと仲が良さそうだったのに、離れるほどにシュマーに関心を失い、今に至っては何故シュマーと結婚したのかわからないと言い出したブラス。
そして呪いで猫に変えられたというエザリア。
はっきりした証拠があるわけではないが、どちらにもシュマーが絡んでいる。
「何かがおかしい。シュマーは一体何をサリバー家にやっているんだ?」
調べるにはスミルには荷が重いだろう。
金もかかる。
(まずは猫にされたというエザリアお嬢様の真偽を確かめ、万一真実なら呪いを解いてやらねばならない)
ふと、スミルの言うそれが、どれほど完璧な猫の姿なのか見てみたいと思ってしまったナレスは、いかんいかんと小さく首を振った。
「ブラス様は3週間ほどでお帰りになるそうですよ」
「にゃ」
文字盤の横に飛び乗った白猫は、迅速に前足を動かしていく。
『おとうさまに のろい しらせたか』
「いえ、まだ。だって誰の目に触れるかわからないですし。エザリアお嬢様はブラス様に全部打ち明けて大丈夫だと思ってます?まあ流石にブラス様も、シュマーよりお嬢様が大切と言うに決まってますけど」
『そね それなら なれすに』
父を信じたい気持ちはあるが、あの後妻を娶ったことがどうにも引っかかり、事情を知らせるならと顔が浮かんだのがナレスだった。
「・・・ナレスさんですね。ではナレスさん宛に手紙を出してみますか?」
「ニャッ」
こくりと頷く白猫は、やはりちょっと奇妙であった。
サリバー商会の伝令は、今回のブラスのように遠出をしていても、どこを通るか事前に決めてあるので必ずルート上で行き合うことができる。
代行ではなく、ブラスの決済が必要なことや、旅の路銀や商売の資金を定期的に運びながら連絡を繋ぐ伝令は何人かおり、その中でシュマーを特に嫌っているエンリトに、スミルはナレス宛の手紙を頼むことにした。
「ナレス様に直接手渡してくれ!頼む」
「スミルがナレス様になんて珍しいな。何かブラス様に知られるとまずいことでもやっちまったのか?」
「ん?ああ、まあそんなところだ。だから他の者には知られたくないんだ、内密に頼むよ」
「じゃあ戻ったら一杯おごれよ」
エンリトはスミルの手紙だけ、自分の胸ポケットにしまいこんだ。
スミルの知る限り、エンリトは人の秘密をペラペラ喋るような者ではない。
ブラスのもとに向け走り出した馬車を見送ったスミルは、これでまた解決に一歩近づいたはずだと安堵の息を吐いていた。
重い馬車で隊列を組み移動するブラスたちとは違い、馬に括り付けられるだけの荷物で、乗り継いで移動しているエンリトたち伝令は七日後にブラスたちに合流した。
「スミルから?また何かやったんだな」
手紙など珍しいことなので本当に何かしくじったのだと、ナレスも苦笑いしながらエンリトから手紙を受け取り、自分用の個室に入る。
どんな失敗か読んでから、ブラスに報告しても遅くないと考えて。
しかし手紙に目を通し、驚愕した。
「な、なんと?スミルは狂ったのか?」
いくら強力な呪いといえど、まさか人間が猫になってしまうなどあるわけがない!
やっぱりあるわけがないよな・・
信じがたいこと。
しかし、それをわざわざ伝令に内密にと持たせるだろうか?
「・・・スミルもそこまでバカじゃない」
だとすると、本当にエザリアお嬢様はシュマーに猫に変えられた?
ナレスにも思い当たることがある。
屋敷にいたときにはシュマーと仲が良さそうだったのに、離れるほどにシュマーに関心を失い、今に至っては何故シュマーと結婚したのかわからないと言い出したブラス。
そして呪いで猫に変えられたというエザリア。
はっきりした証拠があるわけではないが、どちらにもシュマーが絡んでいる。
「何かがおかしい。シュマーは一体何をサリバー家にやっているんだ?」
調べるにはスミルには荷が重いだろう。
金もかかる。
(まずは猫にされたというエザリアお嬢様の真偽を確かめ、万一真実なら呪いを解いてやらねばならない)
ふと、スミルの言うそれが、どれほど完璧な猫の姿なのか見てみたいと思ってしまったナレスは、いかんいかんと小さく首を振った。
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