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呪われたエザリア
盗み聞き
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サリュールからもらった地図を手に二番街を行くと、サリバー商会の看板を見つけた。
外からこっそり覗くと客が三人、店員が五人。
「黒髪でひょろりか」
接客中の男のようだ。
「じゃあ、本店の様子を先に見てこようかな」
踵を返してメイン通りに向かう。
二番街の支店より大きく立派な店構えで、さすが本店だ。
知りたかったことは、聞くまでもなく知ることができた。
店員同士でおしゃべりをしていたのだ。
「なあ知ってるか?エザリアお嬢様さあ、何日か前に家出したらしいんだよ」
「えっ?だからこのところ顔を出さなかったのか!おかしいと思ったんだよ。旦那様は知ってるのかな」
「知らせてないんじゃないか?なんか、エザリアお嬢様がシュマーやロズリンを虐めまくって、それを旦那様に知られないように家出したとかって言ってるらしいぞ」
「ええ?それシュマーたちがお嬢様に嫌がらせしてたの間違いじゃないか?お嬢様のことだから、旦那様が戻られるまでどこかに避難してるんだろう。こっちに知らせてくれればいいのに水臭いなあ!
それ旦那様に知らせたほうがいいんじゃないか?」
セインは、すーっとそこから離れていく。
もう二番街の店に行かなくてもいいかもしれないと。
彼らはエザリアの味方かもしれない。
いきなり名前を聞くわけにはいかないので、特徴を覚えて、森の家に足早に戻っていった。
「ただいま、エザリア?」
置いていったとり肉は食べられて、皿は空になっている。
「エザリア?」
くぅ~っと伸びをしながらセインの部屋から猫が出てきた。
「今日サリバー商会に行ってみたんだ」
「ニャッ」
ささっと湯を沸かしたセインは茶を淹れた。自分の分をカップに入れ、ふとエザリアを見ると。
「ええっと、茶飲むかい?」
猫は首を横に振る。
「じゃあミルクにしようか」
「ニャ」
エザリアが文字盤に飛び乗った。
『ほっと さとういれて』
意味がわかったセインは、むふっと笑う。
「それは猫のオーダーじゃないなぁ。君、猫舌じゃないのかい?」
きょとんとした猫を見る機会はそうはないだろう。
くすくすと笑いながら、ミルクパンでミルクを温め、砂糖を少し入れて鍋を回しながら溶かしていく。
「このくらいなら猫舌でも飲めるんじゃないかな」
セインが差し出した器に顔を近づけ、一舐めして満足気に口のまわりをぺろりとする。
どう見ても猫なのだが、猫が甘いホットミルクを作れと言うことはない。
「それじゃあ、話を始めてもいいかい?」
白猫は文字盤の前にちんまり座り、こくんと頷いた。
■□■
お読み頂きありがとうございます。
当面は6時、12時、18時で一日三話更新しますのでサクサク読み進めて頂けると思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
※【最新話を読む】機能を使うと読み飛ばす可能性がありますので、【しおりから読む】をお勧めします。
【お気に入り】にも是非ポチっとお願いいたします(_ _)
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「黒髪でひょろりか」
接客中の男のようだ。
「じゃあ、本店の様子を先に見てこようかな」
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二番街の支店より大きく立派な店構えで、さすが本店だ。
知りたかったことは、聞くまでもなく知ることができた。
店員同士でおしゃべりをしていたのだ。
「なあ知ってるか?エザリアお嬢様さあ、何日か前に家出したらしいんだよ」
「えっ?だからこのところ顔を出さなかったのか!おかしいと思ったんだよ。旦那様は知ってるのかな」
「知らせてないんじゃないか?なんか、エザリアお嬢様がシュマーやロズリンを虐めまくって、それを旦那様に知られないように家出したとかって言ってるらしいぞ」
「ええ?それシュマーたちがお嬢様に嫌がらせしてたの間違いじゃないか?お嬢様のことだから、旦那様が戻られるまでどこかに避難してるんだろう。こっちに知らせてくれればいいのに水臭いなあ!
それ旦那様に知らせたほうがいいんじゃないか?」
セインは、すーっとそこから離れていく。
もう二番街の店に行かなくてもいいかもしれないと。
彼らはエザリアの味方かもしれない。
いきなり名前を聞くわけにはいかないので、特徴を覚えて、森の家に足早に戻っていった。
「ただいま、エザリア?」
置いていったとり肉は食べられて、皿は空になっている。
「エザリア?」
くぅ~っと伸びをしながらセインの部屋から猫が出てきた。
「今日サリバー商会に行ってみたんだ」
「ニャッ」
ささっと湯を沸かしたセインは茶を淹れた。自分の分をカップに入れ、ふとエザリアを見ると。
「ええっと、茶飲むかい?」
猫は首を横に振る。
「じゃあミルクにしようか」
「ニャ」
エザリアが文字盤に飛び乗った。
『ほっと さとういれて』
意味がわかったセインは、むふっと笑う。
「それは猫のオーダーじゃないなぁ。君、猫舌じゃないのかい?」
きょとんとした猫を見る機会はそうはないだろう。
くすくすと笑いながら、ミルクパンでミルクを温め、砂糖を少し入れて鍋を回しながら溶かしていく。
「このくらいなら猫舌でも飲めるんじゃないかな」
セインが差し出した器に顔を近づけ、一舐めして満足気に口のまわりをぺろりとする。
どう見ても猫なのだが、猫が甘いホットミルクを作れと言うことはない。
「それじゃあ、話を始めてもいいかい?」
白猫は文字盤の前にちんまり座り、こくんと頷いた。
■□■
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