抜山蓋世

そこらへんの学生

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革命当日

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「お前が誰かにとって特別な人間であるかとか、何かにおいて一番かどうかなんて正直どうでもいい。特別な人間なんてこの世に一握りしか居ねえんだ。俺もお前も、平凡だ。自惚れるな」

「……」

「でもな」

 俯いた顔を上げて、彼は言った。

「その思考や感情は、他の誰のものでもない、お前だけのものだ。唯一無二だ。嬉しさも怒りも、悲しさも楽しさも全部お前のものだ」 
 
 彼はまだ途中までしか吸っていないタバコを地面に捨て、足で消化する。

「だから、そういう意味では俺もお前も特別なのさ」

 踏みにじるように、怒りを込めるように、何度何度もタバコをすり潰していた。

「さぁ、いこう。俺ら凡人が、凡庸に、平凡に、当たり前に、世界をぶち壊すんだ」

 彼の端正な横顔が見えた。スラッと高い鼻すじが日光に映える。

「革命は、平民の特権だ。なんてな」

 そう言って、真っ直ぐ天を見据える彼の顔に、僕は温かさを感じて微笑んでみた。彼はすぐに僕の変化に気付いてくれた。

「なんだ、笑えるじゃねえか」

 彼もそう言って、砕けた笑みを僕に見せる。

 今日が、僕らの革命当日だった。
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