44 / 67
43.停止の意味
しおりを挟む
「一方的にいいことをされるのは、気持ちが悪いから、僕もあなたに何かしたい。どうすればいい? 」
「えっと、じゃあおみやげを買ってもらおうかな」
「うん。いいよ。何がいいの? 」
「食べ物のおみやげを、あなたに選んでほしい」
「僕を試すのか。とりあえず、この商店街を出るまで歩いていって、途中で良い物を見つけたら、買う。それでいい? 」
「うん、いい」
私は白井と並んで、無言で歩き出した。何となく分かってきた。この白井という男は、実はくそがつくほど真面目な人だ。常に人を操れるわけだから、下手に人を動かすと、回り回ってとばっちりが自分に返ってくる。だから慎重かつ真面目に世の中と接触しないと、痛い目に合うのは自分自身なのである。それが真面目な理由だと思うが、彼はいつも面倒な事態に人を巻き込んできた。何故だろう。その目的は何なのか? 私は言った。
「もう、やめた方がいいよ」
「……何を? 」
「人を操ってハーモニーを壊したり、場所の調和を壊したり、雰囲気を破壊したりすることを。誰も幸せにしていないじゃない」
「言っただろ」
「え」
「僕に罪悪感は存在しない。何故なら僕は、神だから」
「神、じゃないでしょ」
「今の時代の、この世界の、神のようなものだよ。さすがに世界を作りたもうた神だと、主張するつもりはないけど、僕でもね」
「なら、その神の意図は何」
「人の流れを止めることだな」
「どういうこと? 」
「つまるところ、世界の流れを止める」
「世界を、停止させるの? 」
「その波動の源になるつもり、僕は」
「じゃあ、どうやったら波動を止められるか調べるために、あんなことをしたのね? 」
「僕自身は破壊をしたつもりはない。ただ、止めてみたんだ。そこの店の玉こんにゃく、おみやげにするのはどう? 」
「えっと、じゃあおみやげを買ってもらおうかな」
「うん。いいよ。何がいいの? 」
「食べ物のおみやげを、あなたに選んでほしい」
「僕を試すのか。とりあえず、この商店街を出るまで歩いていって、途中で良い物を見つけたら、買う。それでいい? 」
「うん、いい」
私は白井と並んで、無言で歩き出した。何となく分かってきた。この白井という男は、実はくそがつくほど真面目な人だ。常に人を操れるわけだから、下手に人を動かすと、回り回ってとばっちりが自分に返ってくる。だから慎重かつ真面目に世の中と接触しないと、痛い目に合うのは自分自身なのである。それが真面目な理由だと思うが、彼はいつも面倒な事態に人を巻き込んできた。何故だろう。その目的は何なのか? 私は言った。
「もう、やめた方がいいよ」
「……何を? 」
「人を操ってハーモニーを壊したり、場所の調和を壊したり、雰囲気を破壊したりすることを。誰も幸せにしていないじゃない」
「言っただろ」
「え」
「僕に罪悪感は存在しない。何故なら僕は、神だから」
「神、じゃないでしょ」
「今の時代の、この世界の、神のようなものだよ。さすがに世界を作りたもうた神だと、主張するつもりはないけど、僕でもね」
「なら、その神の意図は何」
「人の流れを止めることだな」
「どういうこと? 」
「つまるところ、世界の流れを止める」
「世界を、停止させるの? 」
「その波動の源になるつもり、僕は」
「じゃあ、どうやったら波動を止められるか調べるために、あんなことをしたのね? 」
「僕自身は破壊をしたつもりはない。ただ、止めてみたんだ。そこの店の玉こんにゃく、おみやげにするのはどう? 」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる