13 / 67
12.見解
しおりを挟む
☆☆☆
私が子供だった頃は、調和がメインの流れだった。ハーモニーが乱れている所、物、生物、人は、もちろん存在したが、その中から異物を取り除こうという健全な動きや、流れがあった。でもいつからだろう。異物を抱えたまま存在し続けようと努力する人を、多く見かけるようになる。大変だろうし、苦しくもなるだろうと私は思うのだが、その人達は何故か固まって、流れに乗ろうとしない。
リリースしないと辛くなるよと、分かりやすい表現に置き換えて、そういう人々に伝えようとしたことは、何度もある。でも返ってくる答えは、いつだってこうだった。
リリース(解放)の仕方が分かりません。
だから、リリースできるはずがありません。
筋が通っていると言えないこともないが、開放の仕方を一番知っているのは、私でも、神でもなく、その人自身のはずだ。だとしたら何故そのことを、真剣に考えようとしないのだろう。
私はこの仕事を通じて、そういった人々をあまりに多く見すぎてきた。調和師として力になれることもあるが、調和を放棄する流れに圧倒され、根本的な解決に至ることができず、苦しみは置き去りにされ、悔しい思いを噛みしめたことも何度もある。
社会的な生き物である人間が、色々なしがらみの中で生きていることは、重々承知している。私だって、バッシングを受けたり、仕事がうまくいかなくて悩みが増大していったなら、案外あっさりどこかから飛び降りたりするのかもしれない。解放の仕方が分からなかった故に。
それにしても。この漠として漂う諦めの気持ちは何だ。
私が子供だった頃は、調和がメインの流れだった。ハーモニーが乱れている所、物、生物、人は、もちろん存在したが、その中から異物を取り除こうという健全な動きや、流れがあった。でもいつからだろう。異物を抱えたまま存在し続けようと努力する人を、多く見かけるようになる。大変だろうし、苦しくもなるだろうと私は思うのだが、その人達は何故か固まって、流れに乗ろうとしない。
リリースしないと辛くなるよと、分かりやすい表現に置き換えて、そういう人々に伝えようとしたことは、何度もある。でも返ってくる答えは、いつだってこうだった。
リリース(解放)の仕方が分かりません。
だから、リリースできるはずがありません。
筋が通っていると言えないこともないが、開放の仕方を一番知っているのは、私でも、神でもなく、その人自身のはずだ。だとしたら何故そのことを、真剣に考えようとしないのだろう。
私はこの仕事を通じて、そういった人々をあまりに多く見すぎてきた。調和師として力になれることもあるが、調和を放棄する流れに圧倒され、根本的な解決に至ることができず、苦しみは置き去りにされ、悔しい思いを噛みしめたことも何度もある。
社会的な生き物である人間が、色々なしがらみの中で生きていることは、重々承知している。私だって、バッシングを受けたり、仕事がうまくいかなくて悩みが増大していったなら、案外あっさりどこかから飛び降りたりするのかもしれない。解放の仕方が分からなかった故に。
それにしても。この漠として漂う諦めの気持ちは何だ。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】
小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。
他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。
それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。
レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
眠れるオペラ
夢 浮橋(ゆめの/うきはし)
恋愛
遺伝子操作技術を施したデザイナーベビー、通称「ソア」。
実験体であると同時に研究の手伝いもしているソアたちは、みんな頭脳明晰な偏屈&変人ぞろい。
……のはずだったが、なぜか第一班『秘書』のヒナトはひとりだけ平凡なドジっ娘だ。
ついでに俺様系班長・ソーヤに妙に執着されていること、そして自分が彼に恋していることにも気づいていないほど鈍感でもある。
そんなヒナトの、周りの天才児たちの拗らせた人間関係に振り回され、笑って泣いて、はしゃいで凹んで、大騒ぎして、たまにときめきもある、楽しい日々の物語。
次第に明らかになる研究所の秘密と悲しい事実。
確かにある悲劇の前触れ。
死の宿命を負った花たちの未来は、なんやかんやでヒナトの肩にかかっているのかもしれない。
●本作は小説家になろうでも連載しています
◆マークのある話には挿絵があります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる