空想トーク

13. last-hikari

　そこで僕と女の子は、同時に目を開きました。その時僕達は、２人とも共通するイメージを、頭の中に思い描いていました。
「・・・凄い光だった。君もあの光景を見た？」
　僕が彼女にそう訊ねると、彼女はウンと頷いて言いました。
「見た。私達はまるで、･･･この世のものじゃないような、明るくて温かい光に包まれていた。」
「何の光だろう、あれは？」
　僕が思わずそう呟くと、女の子はまるで僕を諭すように、こう言いました。
「ねえ、先生。」
「うん？」
「あの光はもしかしたら・・・。
　私達の未来の象徴かもしれない。」
「未来の象徴・・・。」
「暗い道に射す希望の光。
　それこそが未来であり、後は、・・・私はあの光を求めて、ただ前に進んでいけばいいのだと思う、きっと・・・！」
「なるほど。
あれは人生を生きる事についての、暗示が秘められたイメージだったのかもしれないね。」
　僕は心の中で納得しながら、彼女にそう話し掛けると、彼女はまるで悟りでも開いたかのような・・・、これまで見たこともない素敵な笑顔を浮かべて、ウン、と大きく頷いてみせたのでした。
　☆☆☆
　そうです。きっと誰にだって、『希望』という名の光が、僕達の進んでいく道の先に、常に輝いているのではないでしょうか？

　彼女との空想トークを終えた僕は、今まではあやふやだったその思いを、改めて心の中で確かめたのでした。
　だから僕達は、恐れる必要は何もありません。たとえどんな過程があったとしても、前さえ向いたなら、その先には・・・。

　―あなたにもあの光が見えますか？

　そして僕は１人笑みを浮かべ、人生を先に進んでいく意思を、みっしりと固めていったのでした。