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「私の、何がいいのですか」
「一緒にいて、普通に楽しいし、話も合うしさ。だから気の合う所かな、一言でいえば」
「私、川村さんと最初に出会った時は、本当に楽しかったです。写真や、色々なことを、ディープに話せたし。そういうことを話せる友達って、案外いないものですよね? 」
「まあ、そうだね」
「でも、ぶっちゃけて言うと、付き合うのは気が重く……」
「エ、俺が重いの? 」
「いや、別の言い方をするなら。付き合うことに、乗り気になれない」
「言葉が心に刺さるけど、なら、俺も思ったことを言うよ。美里さんは男が怖い? 」
「え? 」
「初めて会ったときは、友達感覚な関係だったから、楽しかったのだろうけれど、俺が『男』を出した途端、急に逃げ腰になった気がしていた」
「そうかも……しれないですね」
「いつまでもそれだと、いけないんじゃないの。だから俺との付き合いで、男を受け入れる練習をすればいい。これってかなりジェントルな提案だと思うけれど」
「そんな、……そんな付き合い方をされてもいいんですか? まるで自分が利用されるみたいな……」
「別にいいさ。俺は今、他に好きな人もいないし、婚活でもしない限り、新たな恋人が現れる予定もないしさ」
「そう、ですね。ならば、お言葉に甘えるなら―」
「そろそろ場所を変えようか。話したいことは話したし、街をうろついてみたくなってきた」
「なら、行きましょうか。と言っても、どこへ? 」
「とりあえず駅へ向かおう」
私達は腰を上げて、ふっと見つめ合ってから、公園の出口に向かい、再び林の中の小道をウロウロし始めた。
「一緒にいて、普通に楽しいし、話も合うしさ。だから気の合う所かな、一言でいえば」
「私、川村さんと最初に出会った時は、本当に楽しかったです。写真や、色々なことを、ディープに話せたし。そういうことを話せる友達って、案外いないものですよね? 」
「まあ、そうだね」
「でも、ぶっちゃけて言うと、付き合うのは気が重く……」
「エ、俺が重いの? 」
「いや、別の言い方をするなら。付き合うことに、乗り気になれない」
「言葉が心に刺さるけど、なら、俺も思ったことを言うよ。美里さんは男が怖い? 」
「え? 」
「初めて会ったときは、友達感覚な関係だったから、楽しかったのだろうけれど、俺が『男』を出した途端、急に逃げ腰になった気がしていた」
「そうかも……しれないですね」
「いつまでもそれだと、いけないんじゃないの。だから俺との付き合いで、男を受け入れる練習をすればいい。これってかなりジェントルな提案だと思うけれど」
「そんな、……そんな付き合い方をされてもいいんですか? まるで自分が利用されるみたいな……」
「別にいいさ。俺は今、他に好きな人もいないし、婚活でもしない限り、新たな恋人が現れる予定もないしさ」
「そう、ですね。ならば、お言葉に甘えるなら―」
「そろそろ場所を変えようか。話したいことは話したし、街をうろついてみたくなってきた」
「なら、行きましょうか。と言っても、どこへ? 」
「とりあえず駅へ向かおう」
私達は腰を上げて、ふっと見つめ合ってから、公園の出口に向かい、再び林の中の小道をウロウロし始めた。
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