buroguのセカイ

桃青

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「ええと、これが三年前のアルバム……」
 私はぶつぶつ言いながら、棚から安物のアルバムを、何冊も取り出していった。すでに部屋では、いくつものアルバムが散乱していて、これからやることを考えると頭が痛くなってくる。
「これが五年前の……」
 そのとき、玄関のベルが鳴った。私はアルバムを片側に寄せて、急ぎ足で玄関に行き、外を確認してから扉を開けると、友ちんが、にっかり笑って立っていた。
「入って」
 私がそう言うと、彼女は、
「お邪魔しまーす! 」
 と元気に言い、ずんずんと私の家の中へ入ってきて、いの一番にこう言った。
「凄い量のアルバムだね~」
「友ちんの方から言ったんだからね、私の写真整理を手伝いたいって。文句はなしよ」
「文句じゃないよう。やりがいがありそうで、わくわくしちゃう。美里って、わりかし写真撮るの、うまいじゃん。それが沢山見られるのが嬉しいんだよね」
「……ま、写真が好きなのは、私達の共通の趣味みたいなものだ。勝手に見ていていいよ。まだまだあるんだ」
「こりゃ、手強いな。なら、勝手に見させていただきます」
 私が台所で二人分の飲み物を準備していると、友ちんが、キレー、とか、かわいー、とか叫ぶ声が耳に届いた。彼女が座り込んでアルバムを眺めている所へ、プラスティックカップに入れたドリンクを置くと、私はぼそりと言った。
「正直、どこから手を付けたらいいのか、悩んでいるんだよね」
「この何十冊もあるアルバムを、数冊にしたいんでしょ。かなり大胆に捨てなきゃいけないことだけは、確かじゃない」
「うん。それが今、受け入れるべき現実だ」
「だからさ、捨てるか捨てないか、という判断は、ひとまず脇に置いて、本当に好きな写真だけを抜き出していったら? これだけは一生のお供と思える物を選ぶの」
「それが一番いい方法だと思う。ならばまず、アルバムを全部ここに出さなくては。あと百冊くらいはあるの」
「うひゃー」
 私がクローゼットの中に入り、奥の奥の方へ押し込まれているアルバムを取り出すと、友ちんはそれをせっせと積み重ねていき、山が三つくらいできた所で、私はクローゼットから這い出してきて言った。
「これで全部出した。何冊くらいあるのかな」
「そうですな、二百冊くらいはありますな。ね、美里がいらない写真で、私が気に入った物を貰ってもいい? 」
「もちろん。写真を撮った側として、そんなにありがたいことはないよ。じゃあ、どんどん見ていくぞー」
「おー」
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