buroguのセカイ

桃青

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 いつも一人でブログのネタを考えて、探していたけれど、話が通じる仲間と共にいると、時がキラキラと輝きだす。きっきさんとの写真撮影は、きらめいた時間だった。二人でよく話し、よく撮り、足が疲れてきたころに、どちらからともなく、喫茶店に入ろうと言い出し、なだれこむように、手近にある店へと入っていった。店内に腰を落ち着けると、きっきさんはキョロキョロしながら、言った。
「センスのある空間で、いい感じだな~。写真を撮ってみたいけれど、許可は出るだろうか」
 私は思わず笑って言った。
「お互いにああいうブログをやっていると、常に被写体を探してしまいますよね」
「まあね。僕はカメラが趣味だから、ブログのせいだけでもないんだけれどさ」
「今日は楽しかったです」
「本当に? よかった。僕もそうだし、会った甲斐があったというもんだ」
「きっきさんは……、軽い気持ちでブログをやっていると言っていたけれど、もっと人気のあるブログになりたいっていう、願望はないんですか? 」
「そうだなあ。人気ブロガーになるのもいいけれど、そのためには、『どうやったら人気が出るのか』というテーマについて、常に考え続けなくてはならないと思う。その思考過程を放棄しているので、今のままじゃ、人気も出ないし、お金にも繋がらないだろうね」
「それで構わない? 」
「今の所は。仕事もあるし、お金にも困っていないから」
「私、ブログをやり始めてから、他人のブログや、人気ブロガーのサイトを見ると、『ウケるって何だろう? 』と、考え始めてしまいます」
「うん」
「こんな内容のブログで、なぜ人気が出るのだろうとか、逆に、こんなハイレベルなブログなのに、なぜ人が来ていないのだろうとか」
「そこんとこのからくりは、もちろん僕にも分かっていないけれど、SNS全般、インスタグラム、ツイッター、ユーチューブ、それからブログで求められることは、何となく理解している」
「それは何でしょう」
「いわゆる『素』だね。それも、とても広義な意味の」
「作り物でないということですか? そうかな、嘘をついて人気が出ている人も、いる気がする」
「だから、『広義な意味で』って言ったでしょ。今、テレビの人気が落ちて、ネットの方が主流になるって流れが、起きている気がするけれども」
「そんな感じですね」
「テレビのバラエティや旅番組なんか、全く自然じゃないよね。作りこんで見せる、それがエンターティメントだと、かつては信じられていた。でもそれとは真逆の流れが起きている。
『真実を見たい』『リアルを見たい』。
 その欲求が、今までなかったほど高まり、そのムーブメントに応えているのが、今のSNSなんじゃないかな」
「真実やリアル。それをきっきさんは『素』と言っているんですね」
「僕の言う素は、時に嘘さえ含むけどね。嘘ゆえのリアリティっていうのも、ある気がする」
「……。きっきさん、工場で働いているんですよね」
「下っぱ中の、下っぱ労働者だと、自分では思っていますよ~」
「でも話すことはまるで、コメンテーターみたい。私、驚いてしまいました」
「僕は勉強ができなかったけれど、思想をこねることは好きなんだ。一文にもならなそうなことばかり、ねっとりと考えている」
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