おんなのこ

桃青

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15.おんなのこ1

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「オッシャレ~な、ショッピングモールですねえ」
 ナツはお上りさんのようなノリで、周囲を眺めつつ、言った。
「落ち着いて、ナツ。ただの店の集合体に、そんなに興奮するなんて」
「だってマリアさんは楽しくなってこないんですか? やだ、あの雑貨のお店、見てみたい」
「駄目よ、今はとりあえず、オキヨの店に行くんだから。行く前にお金を全部使っちゃうわけにはいかないでしょう」
「そ……うですね。オキヨさんの売り上げに、貢献したいですもんね」
「そうよ。私達の第一目的は、洋服だったのよ」
「そのことを忘れていました。てへっ」
 ナツとマリアはそんなことを言いつつ、巨大なショッピングモールの中を歩いてゆく。ハイブランドからファストファッションまで揃う、誰にでも楽しめる造りとなっている所で、客層も様々な人たちがいるようだ。オキヨの店は、二人の入った入口からは奥の方にあって、色々な魅惑的な誘惑をシャットダウンしつつ、ようやく二人はオキヨの店へ着くことができた。店の名前を確認しながら、店内へ入っていくと、優雅に笑って、二人に近づいてくるオキヨの姿があった。
「オキヨ」
「オキヨさん! 」
 マリアとナツの呼びかけに、オキヨは小さく頭を下げて頷いてから、二人に近寄りつつ言った。
「ありがとう、来てくれて」
「広い店なんですねえ。この店の店長なんですか? 」
 ナツの質問にオキヨはクールに答える。
「ええ、一応」
「私、ちょっと自由に服を見てみたいです」
「どうぞ、お好きに。試着室はあそこにあるわよ」
 ナツが目をきらめかせて、二人の元から去っていくと、マリアは改まって言った。
「オキヨ。この間元気がなかったわね」
「……。そんな感じだったかしら、私」
「詳しくは聞かない。でも、話したいなら、話してくれればいいのよ」
「うん、そうね、ありがとう」
「―で。オキヨはどんな服が私に似合うと思う? 」
「マリアは、少女趣味の服が好きでしょ」
「レースとフリルとリボンが、私を守護してくれているの」
「だからそういう系統の服で……、マリアに似合いそうな服は、これかしら」
「まあ、ワンピース! しかもサイズが四Lじゃない」
「そう。この店って、Lサイズから六Lまで扱っているのよ。それに下着やルームウェアまで売っているし、値段も高すぎない。太った女性の夢や希望を叶える店だと、我ながら自負しているわ」
「……これ、カラーがブラウン系よね。私、ブラウンが好きになれないのよ。他のカラーはない? 」
「あら、そう。ならこれは? 」
「まあ、ラベンダー! いいわ、いいわよ、これ。試着してみる!」
「どうぞ、お試しになって」
 そう言い、オキヨが試着室へマリアを送り出すと、今度はナツが服を持って、小走りでオキヨの元にやってきて、言った。
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