おとぎの世界で

桃青

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 母が泣いていました。父も苦難に満ちた顔をしています。私は思いました。どうか泣かないで。私のせいで苦しまないで、これ以上。
 そう、全部私が悪いの。私が、悪かったの。だから―。
 私を許して。お願い。どうかお願いだから―。

 母が言います。「トイのせいよ」
 父も言いました。「トイのせいだ」
 分かっている。全部分かっているよ。私の―。
 そのとき母が、父が、そして私が、光に包まれました。母は言いました。
「トイが悪くても、許すわ」
 父も言いました。
「トイが悪くても許すよ」
 許さなくていい。私が犯した罪だもの。自分の罪は、自分自身で背負わなきゃ駄目でしょう? それが責任というものでしょう?
 母がさらに言います。
「私が許したのだから、あなたも許して」
 ……何を?
 父も言いました。
「トイを許したから、私を許してくれてもいいだろう? 」
 だから何を?

―思い出は美しければ、それでいいのだ―

 父さんと母さんを、愛せるだろうか。愛してもいいの? そうすればきっと、二人を大切に思えるようになる?

 何かが言いました。
―許されるよ―

 顔を上げると真っ青な空に、光が浮かんでいました。
 ……太陽?

 光はどんどん広がり、私たちを温め、世界は光に満ち、そしてその先は―。

          ―未来へ―

 私たちは―。
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