おとぎの世界で

桃青

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結論は

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「大丈夫じゃないときに、この草を使うようにと、カベーは教えてくれました。どうやら何がしかの変容を、食べた人にもたらすようなのです。しかも明るい方へ向かっての」
 そこまで話すと、賢者たちはそれぞれに考え込んでしまい、それから巨大な背丈を持つ、知的な印象の男性が言いました。
「変容。それは今起きている事態の、まさにキーワードだ。それをもたらしてくれるなら、まさに我々にとって救いだが、その草は、……本当に安全なのかい? 」
 私は少し考えてから答えました。
「私が一枚、草の葉を食べたときは、温かい記憶に包まれただけでした。花の乙女に食べてもらったとき、羽の色が変わるという変化が起きましたが、それは彼女にとって喜ばしい出来事でした。まだこの二回の事例しかありませんが、私たちにはプラスに働いて、マイナスに働くことはないような気がします」
 その時仙人のようなご老人が、片目を開けて口を挟みました。
「事例を増やす方法があるぞよ」
 全員がハッと老人を見ました。彼は皆に向かってゆっくりと頷き、こう言いました。
「我々賢者が、この草を食べてみるのじゃ。そうすれば草の効能について、絵空事ではなくはっきりと、理解ができるじゃろう」
 場が沈黙に包まれ、皆が答えに窮している様子でしたが、馬頭の男性が言いました。
「迷っている時間はない。ご老人の言ったように、安全性を確かめるには、それが一番いい方法だ」
 青年はなぜか少し心躍る様子で、言いました。
「僕的には草によって引き起こされる変容を、むしろ体感してみたいです」
 シュリがさらに言いました。
「私は花の乙女が変化する場面に立ち会いましたが、この草によって、どうしても悪いことが起きる気がしないのです。トイ、我々が食べる量の草はあるのでしょうか? 」
「あります。それに、シュリの家を訪れた生き物たちに食べさせる分も、十分あると思います」
「どうやら新しくその草を、手に入れてくれたようですね」
 シュリはそう言って、優しく私に微笑みました。灰色のドラゴンはゴホッと咳払いをしてから、全員を見渡して言いました。
「ならば我々の心は決まったと―。そう考えていいでしょうか? 」
 賢者たちは口々に言いました。
「ええ」「それが正しい道だ」「やってみます」「試してみるべきじゃろう」「そうしましょう」
 どうやら賢者のまとめ役らしい仙人のようなご老人が、私に話し掛けました。
「トイさん。では私たちに、一枚ずつその葉を下され」
「はい」
 私は少し緊張して円陣の前に進み出て、皆に一枚ずつ、薄っすら輝く黄色い葉を配りました。最後にシュリの所に来て、彼女にそっと耳打ちしました。
「シュリ、私も、もう一枚葉っぱを食べてみるよ」
 シュリは目を見開き、私に問いました。
「あなたはもう一枚食べているではありませんか。大丈夫なのですか? 」
「大丈夫かどうか、それが知りたいんだ」
 明るい美しさを放つ中年女性が、甲高い声で叫びました。
「では皆さん! 召し上がって! 」
 その掛け声を聞いて、私はためらいを押し殺し、
光る草を食べました。
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