190 / 207
修道女、悪夢に酔い現実に焦燥する
6
しおりを挟む
見られている……と感じたのは、自意識過剰ではない。
最初は美しいテトラに視線が集中していて、その余波かと思っていた。
違うと分かったのは、メイラを見ていたその当の本人と、真正面から視線が合ってしまったからだ。
ギラトスに寄港して半日。港は思いのほか陽気な人々で溢れていて、治安もそれほど悪くないように見えた。
何しろ各国の色々な階級の要人たちがこの島に休暇に来ていて、護衛たちがそれぞれに目を光らせているのだ。更にはそんな彼らを見張るように、この島独自の治安兵が各所に立っていた。聞くところによると、争いごとを起こせばこの島からは永久追放され、二度と足を踏み入れる事が許されなくなるらしい。
一歩島から出ると海賊の横行する危険海域だが、この島に関しては意外と治安に重きを置いた場所のようだった。
その夜メイラは、久々に陸に降り立ち、ホテルの中にあるレストランに食事に来ていた。
ダンが事前に十分な下調べをして、下船しても大丈夫そうだと判断してからのことだ。
くたくたに煮た野菜をふわりと卵でとじ、もっちりとした食感の太めの麺と、透き通った鶏ベースのスープが非常に美味だった。
食事を終え、婦女子のマナーである化粧室からの戻り道。扉を開けて、背中を向けて待っているテトラに声を掛けようとしたその瞬間だった。
おおよその視線はすらりと背が高く見栄えの良いテトラに集中していたが、その肩越しに、一人の男がこちらを見ている事に気づいた。
遠くにいてもわかるほど背の高い、異民族の男だった。
メイラの祖父と名乗る猊下の肌は、こんがりと美味しく焼き上がったパンのような色合いだが、その男の肌の色はもっと深く暗い、言うなれば木炭の色に近い。
バチリと視線が合って、思わず怯んだメイラに気づき、相手が白い歯を見せて笑ったのがわかった。
その際立って迫力のある容姿を含め、まるで肉食獣のような笑みだった。
目を引くのは真っ赤な民族衣装だ。多種多様な人種民族が集うこの場所には、目がチカチカするほど色とりどりの身なりの者たちがいるが、上から下まで同色の、しかも赤を身にまとっている者など彼以外にはいない。
黒い肌と、後頭部の高い位置でひとつに括った黒髪と、鮮やかに赤い装束とが、他を有象無象に見せるほどに周囲と一線を画していた。
ライオンに睨まれた小動物のように、呼吸すら止めて凍り付いたメイラの目の前に、いつのまにかまっすぐに伸びたテトラの背中があった。
危うくぶつかりそうになり、つんのめった身体を支えようと手を壁に着けた丁度そのタイミングで、吹き抜け廊下の一階層上に立っているその男性が片手をあげた。
テトラの背中が強張った。メイラも、心臓が喉から飛び出しそうになった。
何故なら、絶対に近づきたくないオーラを漂わせた黒と赤のその人の傍らに、非常に見覚えのある、目がつぶれそうに美しい淑女が身を寄せたからだ。
男はその場の空気を支配する王者がごとき存在感を放っていたが、寄り添うそのパートナーは、それとはまた別の意味でレストラン中の空気を攫っていた。
抜けるように白い肌。肩から滝のように零れ落ちる眩いばかりの銀糸の髪。
男が上げた片手に、そっと手を乗せるその姿は、まるで天から降臨した精霊か女神のごとき神々しさだった。
「……て、てとら」
二階の手すりの向こう側に立つ、あらゆる意味で目がつぶれそうな男女の取り合わせに、思いっきり腰が引け声が震えた。
「ちょっと眩暈が」
「……偶然ね、私もよ」
縋り付くようにテトラの服の背中を掴み、後ろ手に庇われながら数歩逃げの体勢で後ずさった。
ちなみに、このレストランの一階は平民向け、二階から上が貴族向けである。一階とて裕福な商人階級の者たちも利用するので貧相なわけではないが、上の階の貴族たちと平民とが接することがないよう考慮された構造になっている。出入り口も別だし、吹き抜けを行き来する階段などもない。
メイラは床の模様を見ながら深呼吸した。
心を決めるまで数十秒間、テトラの背中から顔を出して、おずおずと上方に目を向ける。
「……うっ」
待ってましたとばかりに視線が合って、嫣然と微笑み掛けられ……カエルが潰れたような情けない呻き声が零れた。
心臓が激しい不整脈を奏で、今すぐこの場所から逃亡したいという欲求に視線が彷徨う。
いや、悪い事をしたわけではないのだ。怯える必要などないはずだ。
どうしてルシエラがこんなところにいて、かつものすごく怒っているのかなどと、理由を深く考えたらきっと負ける。
どういう勝ち負けを争っているのか自身でもわからないままに、メイラは引きつった顔でありえないほどに美しい氷の女王様を見上げた。
あ、駄目だ。凍らされる。
たちまち目から発射されたビーム(錯覚)に囚われ、その場に凍りついてしまった。
「メルベル!」
その氷をものともせず、メイラを正気付かせたのは、現在父と呼んでいるダンの太い声だった。
ほっとしてその声の方を見ようとすると、何故か更にブリザードのように視線が冷たくなった。
「どうした、顔色が悪い」
もはや真っ白になって思考ごと吹き飛ばされそうになって居たメイラを、ダンがその巨躯で庇う様に立つ。一通りメイラの無事を確認して頷き、それから初めて二階を見上げた。
「まあ、娘さん具合がお悪いの?」
頭上から降ってきた声は、背筋がぞっと震えるほどに優し気で、嫋やかなものだった。
「……お気遣いありがとうございます、奥様」
メイラに対してはあんなにも大根役者だったダンが、ごく自然に礼を取る。平民が貴族に向けてする典型的な挨拶の仕草だ。
「随分痩せていらっしゃるから、体調が優れないのかと心配して見ていたの。こちらにいらっしゃいな、少し休ませてあげた方がいいわ」
「とんでもございません。お気遣いはありがたいのですが、かえって気にしてしまう質ですのでご勘弁ください」
ダンが矢面に立つと、その身体の幅だけでテトラとメイラは隠れてしまえる。
氷の女王さまの容赦ない目力ビームから身を守るべく、メイラは身体を小さくしてブルブルと震えた。そのまま気絶してしまいたいぐらいだが、怖すぎてそれもできない。
「エゼルバートのA級冒険者、ダンカン・ヘイズか。噂は聞いている」
黒いネコ科の肉食獣じみた男が、若干掠れた低い声で言った。天災ルシエラと並んでもまったく遜色なく、強烈な存在感を放っていて直視できない。
「そこにいるのは娘か?」
「高貴な方々の御目に触れさせるような者ではございません。失礼いたします」
有難いことに、ダンは超特急で災害級のふたりから避難させてくれた。
具体的には、幼い子供のように縦抱きにされて運ばれたのだが……この際文句は言ってられない。
ルシエラがあんなところで何をしているのだとか、どうして怒っているのかとか、疑問はやまほどあったが尋ねることはできなかった。
ダンがあまりにも急いで商船に戻ろうとしていたらからだ。
「……まずいぞ」
常にもまして厳しい表情の仮初めの父を、近い距離から見下ろした。
「イシャン王子だ」
聞き慣れない響きの名前だが、王子というぐらいだからどこかの王族なのだろう。
「……セントコルメスの海賊王子?」
「そうだ。あの王子がいるところを見ると、少なくとも数十の海賊船が近辺にいると思っていい。下手をしたら数百規模で移動してきているかもしれない」
王子と海賊という言葉がうまく結びつかず、しきりに首を傾げていたメイラに構わず、テトラとダンが小さな声で話を続ける。
「目を着けられたかもしれない」
「財宝をかぎつける嗅覚に優れた男だと」
「旅行中の貴人をさらって、法外な身代金を請求する話は有名だ」
よりにもよって、そんな男とどうしてルシエラは一緒にいたのだろう。
恐ろしいほどの存在感だった。
強烈なカリスマ性が周囲の視線を釘付けにして、誰もが思考を停止してその存在に魅入っていた。
メイラは狭い路地を足早に行くダンに運ばれながら、あの男と視線が重なった瞬間を思い出し、改めて大きく身震いした。
最初は美しいテトラに視線が集中していて、その余波かと思っていた。
違うと分かったのは、メイラを見ていたその当の本人と、真正面から視線が合ってしまったからだ。
ギラトスに寄港して半日。港は思いのほか陽気な人々で溢れていて、治安もそれほど悪くないように見えた。
何しろ各国の色々な階級の要人たちがこの島に休暇に来ていて、護衛たちがそれぞれに目を光らせているのだ。更にはそんな彼らを見張るように、この島独自の治安兵が各所に立っていた。聞くところによると、争いごとを起こせばこの島からは永久追放され、二度と足を踏み入れる事が許されなくなるらしい。
一歩島から出ると海賊の横行する危険海域だが、この島に関しては意外と治安に重きを置いた場所のようだった。
その夜メイラは、久々に陸に降り立ち、ホテルの中にあるレストランに食事に来ていた。
ダンが事前に十分な下調べをして、下船しても大丈夫そうだと判断してからのことだ。
くたくたに煮た野菜をふわりと卵でとじ、もっちりとした食感の太めの麺と、透き通った鶏ベースのスープが非常に美味だった。
食事を終え、婦女子のマナーである化粧室からの戻り道。扉を開けて、背中を向けて待っているテトラに声を掛けようとしたその瞬間だった。
おおよその視線はすらりと背が高く見栄えの良いテトラに集中していたが、その肩越しに、一人の男がこちらを見ている事に気づいた。
遠くにいてもわかるほど背の高い、異民族の男だった。
メイラの祖父と名乗る猊下の肌は、こんがりと美味しく焼き上がったパンのような色合いだが、その男の肌の色はもっと深く暗い、言うなれば木炭の色に近い。
バチリと視線が合って、思わず怯んだメイラに気づき、相手が白い歯を見せて笑ったのがわかった。
その際立って迫力のある容姿を含め、まるで肉食獣のような笑みだった。
目を引くのは真っ赤な民族衣装だ。多種多様な人種民族が集うこの場所には、目がチカチカするほど色とりどりの身なりの者たちがいるが、上から下まで同色の、しかも赤を身にまとっている者など彼以外にはいない。
黒い肌と、後頭部の高い位置でひとつに括った黒髪と、鮮やかに赤い装束とが、他を有象無象に見せるほどに周囲と一線を画していた。
ライオンに睨まれた小動物のように、呼吸すら止めて凍り付いたメイラの目の前に、いつのまにかまっすぐに伸びたテトラの背中があった。
危うくぶつかりそうになり、つんのめった身体を支えようと手を壁に着けた丁度そのタイミングで、吹き抜け廊下の一階層上に立っているその男性が片手をあげた。
テトラの背中が強張った。メイラも、心臓が喉から飛び出しそうになった。
何故なら、絶対に近づきたくないオーラを漂わせた黒と赤のその人の傍らに、非常に見覚えのある、目がつぶれそうに美しい淑女が身を寄せたからだ。
男はその場の空気を支配する王者がごとき存在感を放っていたが、寄り添うそのパートナーは、それとはまた別の意味でレストラン中の空気を攫っていた。
抜けるように白い肌。肩から滝のように零れ落ちる眩いばかりの銀糸の髪。
男が上げた片手に、そっと手を乗せるその姿は、まるで天から降臨した精霊か女神のごとき神々しさだった。
「……て、てとら」
二階の手すりの向こう側に立つ、あらゆる意味で目がつぶれそうな男女の取り合わせに、思いっきり腰が引け声が震えた。
「ちょっと眩暈が」
「……偶然ね、私もよ」
縋り付くようにテトラの服の背中を掴み、後ろ手に庇われながら数歩逃げの体勢で後ずさった。
ちなみに、このレストランの一階は平民向け、二階から上が貴族向けである。一階とて裕福な商人階級の者たちも利用するので貧相なわけではないが、上の階の貴族たちと平民とが接することがないよう考慮された構造になっている。出入り口も別だし、吹き抜けを行き来する階段などもない。
メイラは床の模様を見ながら深呼吸した。
心を決めるまで数十秒間、テトラの背中から顔を出して、おずおずと上方に目を向ける。
「……うっ」
待ってましたとばかりに視線が合って、嫣然と微笑み掛けられ……カエルが潰れたような情けない呻き声が零れた。
心臓が激しい不整脈を奏で、今すぐこの場所から逃亡したいという欲求に視線が彷徨う。
いや、悪い事をしたわけではないのだ。怯える必要などないはずだ。
どうしてルシエラがこんなところにいて、かつものすごく怒っているのかなどと、理由を深く考えたらきっと負ける。
どういう勝ち負けを争っているのか自身でもわからないままに、メイラは引きつった顔でありえないほどに美しい氷の女王様を見上げた。
あ、駄目だ。凍らされる。
たちまち目から発射されたビーム(錯覚)に囚われ、その場に凍りついてしまった。
「メルベル!」
その氷をものともせず、メイラを正気付かせたのは、現在父と呼んでいるダンの太い声だった。
ほっとしてその声の方を見ようとすると、何故か更にブリザードのように視線が冷たくなった。
「どうした、顔色が悪い」
もはや真っ白になって思考ごと吹き飛ばされそうになって居たメイラを、ダンがその巨躯で庇う様に立つ。一通りメイラの無事を確認して頷き、それから初めて二階を見上げた。
「まあ、娘さん具合がお悪いの?」
頭上から降ってきた声は、背筋がぞっと震えるほどに優し気で、嫋やかなものだった。
「……お気遣いありがとうございます、奥様」
メイラに対してはあんなにも大根役者だったダンが、ごく自然に礼を取る。平民が貴族に向けてする典型的な挨拶の仕草だ。
「随分痩せていらっしゃるから、体調が優れないのかと心配して見ていたの。こちらにいらっしゃいな、少し休ませてあげた方がいいわ」
「とんでもございません。お気遣いはありがたいのですが、かえって気にしてしまう質ですのでご勘弁ください」
ダンが矢面に立つと、その身体の幅だけでテトラとメイラは隠れてしまえる。
氷の女王さまの容赦ない目力ビームから身を守るべく、メイラは身体を小さくしてブルブルと震えた。そのまま気絶してしまいたいぐらいだが、怖すぎてそれもできない。
「エゼルバートのA級冒険者、ダンカン・ヘイズか。噂は聞いている」
黒いネコ科の肉食獣じみた男が、若干掠れた低い声で言った。天災ルシエラと並んでもまったく遜色なく、強烈な存在感を放っていて直視できない。
「そこにいるのは娘か?」
「高貴な方々の御目に触れさせるような者ではございません。失礼いたします」
有難いことに、ダンは超特急で災害級のふたりから避難させてくれた。
具体的には、幼い子供のように縦抱きにされて運ばれたのだが……この際文句は言ってられない。
ルシエラがあんなところで何をしているのだとか、どうして怒っているのかとか、疑問はやまほどあったが尋ねることはできなかった。
ダンがあまりにも急いで商船に戻ろうとしていたらからだ。
「……まずいぞ」
常にもまして厳しい表情の仮初めの父を、近い距離から見下ろした。
「イシャン王子だ」
聞き慣れない響きの名前だが、王子というぐらいだからどこかの王族なのだろう。
「……セントコルメスの海賊王子?」
「そうだ。あの王子がいるところを見ると、少なくとも数十の海賊船が近辺にいると思っていい。下手をしたら数百規模で移動してきているかもしれない」
王子と海賊という言葉がうまく結びつかず、しきりに首を傾げていたメイラに構わず、テトラとダンが小さな声で話を続ける。
「目を着けられたかもしれない」
「財宝をかぎつける嗅覚に優れた男だと」
「旅行中の貴人をさらって、法外な身代金を請求する話は有名だ」
よりにもよって、そんな男とどうしてルシエラは一緒にいたのだろう。
恐ろしいほどの存在感だった。
強烈なカリスマ性が周囲の視線を釘付けにして、誰もが思考を停止してその存在に魅入っていた。
メイラは狭い路地を足早に行くダンに運ばれながら、あの男と視線が重なった瞬間を思い出し、改めて大きく身震いした。
0
お気に入りに追加
656
あなたにおすすめの小説
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
王子殿下の慕う人
夕香里
恋愛
エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。
しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──?
「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」
好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。
※小説家になろうでも投稿してます
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
1度だけだ。これ以上、閨をともにするつもりは無いと旦那さまに告げられました。
尾道小町
恋愛
登場人物紹介
ヴィヴィアン・ジュード伯爵令嬢
17歳、長女で爵位はシェーンより低が、ジュード伯爵家には莫大な資産があった。
ドン・ジュード伯爵令息15歳姉であるヴィヴィアンが大好きだ。
シェーン・ロングベルク公爵 25歳
結婚しろと回りは五月蝿いので大富豪、伯爵令嬢と結婚した。
ユリシリーズ・グレープ補佐官23歳
優秀でシェーンに、こき使われている。
コクロイ・ルビーブル伯爵令息18歳
ヴィヴィアンの幼馴染み。
アンジェイ・ドルバン伯爵令息18歳
シェーンの元婚約者。
ルーク・ダルシュール侯爵25歳
嫁の父親が行方不明でシェーン公爵に相談する。
ミランダ・ダルシュール侯爵夫人20歳、父親が行方不明。
ダン・ドリンク侯爵37歳行方不明。
この国のデビット王太子殿下23歳、婚約者ジュリアン・スチール公爵令嬢が居るのにヴィヴィアンの従妹に興味があるようだ。
ジュリアン・スチール公爵令嬢18歳デビット王太子殿下の婚約者。
ヴィヴィアンの従兄弟ヨシアン・スプラット伯爵令息19歳
私と旦那様は婚約前1度お会いしただけで、結婚式は私と旦那様と出席者は無しで式は10分程で終わり今は2人の寝室?のベッドに座っております、旦那様が仰いました。
一度だけだ其れ以上閨を共にするつもりは無いと旦那様に宣言されました。
正直まだ愛情とか、ありませんが旦那様である、この方の言い分は最低ですよね?
【完結】愛していないと王子が言った
miniko
恋愛
王子の婚約者であるリリアナは、大好きな彼が「リリアナの事など愛していない」と言っているのを、偶然立ち聞きしてしまう。
「こんな気持ちになるならば、恋など知りたくはなかったのに・・・」
ショックを受けたリリアナは、王子と距離を置こうとするのだが、なかなか上手くいかず・・・。
※合わない場合はそっ閉じお願いします。
※感想欄、ネタバレ有りの振り分けをしていないので、本編未読の方は自己責任で閲覧お願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる