113 / 207
修道女、抱きしめようとして気づく
1
しおりを挟む
部屋はおそらくこのホテルで最も広い部類にはいると思う。
しかし、猊下が訪ねて来られ、その護衛を含めた全員が部屋に入ってきたときには、さすがに窮屈さを感じた。
人数的には護衛の騎士の数が最も多く、しかも三種類の色の装備からそれぞれ所属が違うとわかる。
個室にこれだけの護衛がかち合うなど、どこの要人会議だと問いたいが、いかんせんメイラはただの妾妃。重要どころからはかけ離れているはずなのに、室内で唯一ソファーに腰を下ろし、温かい紅茶を飲んでいる。
いつもの美味しい紅茶のはずなのに、まったく味がしない。
どの護衛たちも、大量の花を見て例外なくぎょっと目を剥くのが居たたまれなかった。メイラが購入したわけでもないのに、常識はずれの浪費だとか思われていそうで……
苛々と腕組みをして立つ父と、何か言いたげに部屋を見回している二人の神職が、奇妙な緊張感を保ってお互い視線を合わせないのも怖い。
メイラは冷えた唇には少し熱いカップに口をつけ、居心地が悪いことこの上ない現状から逃避しようと目を閉じた。
「……気分が悪い?」
すかさず掛けられた猊下の声に、慌ててぱちりと目を開ける。
いやいや、意識が遠くなったわけでも吐き気がしたわけでもありません!
「申し訳ございません。ご心配をおかけして……」
ふるふると首を振って、否定しようかとも思ったが、空気を読んでうっすらと微笑む。
「何を言う! 私が散策に誘ったからこんなことに」
「お気遣いいただきありがとうございます」
「怪我はしていないだろうね?」
「はい。護衛が身を挺して守って……ルシエラは!?」
若干ふわふわと意識が他所の方に逃げようとしていたが、問題児の事を思い出すと一気に現実に舞い戻ってしまった。
「少し問題があってね。すぐに戻ると思うよ」
猊下の微妙な表情に、ますます不安が増す。
「問題ですか?……あっ、気が利かず申し訳ございません。どうかお座りください」
ソファーの上座にぼんやり座り込んでいたメイラは、慌てて腰を浮かせて言った。
「ユリ、皆様にお茶を」
「はい、御方さま」
「いんだよ、君はそこに座って居なさい。まだ顔色が悪い」
「メイド。紅茶よりもホットワインのほうがいいのではないか」
この場にいる、メイラより明らかに上位の男性陣が、そろいもそろって彼女に動くなと言う。
それほど具合が悪そうに見えるのだろうか。
移動しようとしたメイラを制し、リンゼイ師を含め三人の男たちはさっさと左右のソファーに分かれて座ってしまった。
居座る気満載のその雰囲気に、こぼれそうになったため息をなんとか呑み込む。
「実はね、あそこにハリーが居たのだよ」
「え?」
「ハリソンだよ。君の五歳年下だった男の子だ」
不意に、「メイラねぇちゃん」と遠くから呼ばれたのを思い出した。
明らかに危険を知らせる声色だった。
メイラが良く面倒を見ていた少年で、両親ともに流行り病で亡くし孤児院にやってきた。少し気が弱いが優しい子で、メイラやリンゼイ師に良く懐いていた。
気立ても頭の出来も良かった彼は、子のない商家の養子として引き取られ、ハーデス領から遠く離れた街に行ったはずだが……
「後で話を聞きに行ってくる。大丈夫、君が我が子のように愛情をこめて育てた弟分だと言っておいたから、悪い扱いはうけていないよ」
商用でザガンに来ていたのだろうか。孤児院に里帰りしていたのだろうか。
心配になってそわそわと腰を浮かせかけ、父のこれ見よがしな咳払いに慌てて淑女の仮面をかぶりなおす。
「お前には話すまいと思っていたのだが、どこぞから噂を聞きつけて余計なことを仕出かしそうだから言っておく。先週の末に、リゼルの街が海から襲撃を受けた。ザガンから近いのでこれまでは海賊も手を出してこなかったのだが、街は壊滅状態だ」
「えっ!?」
父の口調はひどくそっなく、まるで書類を読み上げているかのように単調なものだった。
とっさにはその意味を呑み込むことが出来ず、数回の瞬きの後にメイラの顔から一気に血の気が引く。
メイラの修道院は、街の外れの徒歩一時間圏内にある。海から襲撃を受けたのなら、真っ先に被害にあいそうな立地だ。
「奴らはまず修道院を占拠し、そこを拠点にリゼルを攻めた。取れるだけの物資を奪い、三日で引いた」
「こ、子供たちは?!」
真っ青になって尋ねたメイラに、リンゼイ師がにっこりと微笑んだ。
「君の教え通りに用心していたようだね。襲用船が接岸しようとしたのは昼間だったらしく、遊んでいた子供が気づいた。すぐに全員で避難を開始し、井戸に隠れたようだ」
以前、人買いの集団に狙われたことがあり、知らない大人には絶対に近づかない事。危ないと思ったら即座に皆に伝達し、何も持たずに避難する事とルールを決めていた。
あらかじめ隠れる場所を複数決めておき、そこに全員が数日生き延びることができるだけの水と食料を備蓄しておくのを習慣にしていたのだが……役に立ったのか。
「君が居なくなっても、子供たちはしっかり約束を守っていたようだよ。空腹なのに備蓄の食料をつまみ食いすることなく、水樽も綺麗にしていた。本当に賢いいい子たちだ」
そうか。修道院が襲われた件もあって、猊下はザガンに滞在していたのか。
リンゼイ師が言うのだから、無事なのは確かなのだろう。
しかし拠点になったという修道院は、壊されたりしていないだろうか。ただでさえオンボロだったのに、居住区になっている孤児院は住める状態なのだろうか。
メイラは両手をぎゅっと握りしめた。
「……ならん」
口を開きかけた彼女に、父が容赦なく言い放つ。
「身をわきまえよ、メルシェイラ。かつてと今では状況が違う。お前は陛下の妃であり、良からぬ輩に狙われてもいる。勝手な行動は慎め」
冷たくなった指先が、細かく震えている。
かつて人買いの集団が襲ってきたとき、危うく連れて行かれそうになったのを思い出していた。
腕を掴まれ馬車に乗せられそうになり、丁度参拝にきていた冒険者のパーティがいなければ、危ういところだったのだ。
弱者にとっては、剣を持ち武装している男たちは恐ろしい相手だ。
小さな子供たちが、どれほど怯えていたか想像するだけで胸が痛む。
「……はい、お父さま」
口ではそう言いつつも、耐えれるだろうかと自問する。
子供たちはメイラの家族であり、守るべき者たちだ。
何もせず、手を差し伸べもせず、目をつぶっていることが果たしてできるのか……
答えはすでに出ていた。
しかし、猊下が訪ねて来られ、その護衛を含めた全員が部屋に入ってきたときには、さすがに窮屈さを感じた。
人数的には護衛の騎士の数が最も多く、しかも三種類の色の装備からそれぞれ所属が違うとわかる。
個室にこれだけの護衛がかち合うなど、どこの要人会議だと問いたいが、いかんせんメイラはただの妾妃。重要どころからはかけ離れているはずなのに、室内で唯一ソファーに腰を下ろし、温かい紅茶を飲んでいる。
いつもの美味しい紅茶のはずなのに、まったく味がしない。
どの護衛たちも、大量の花を見て例外なくぎょっと目を剥くのが居たたまれなかった。メイラが購入したわけでもないのに、常識はずれの浪費だとか思われていそうで……
苛々と腕組みをして立つ父と、何か言いたげに部屋を見回している二人の神職が、奇妙な緊張感を保ってお互い視線を合わせないのも怖い。
メイラは冷えた唇には少し熱いカップに口をつけ、居心地が悪いことこの上ない現状から逃避しようと目を閉じた。
「……気分が悪い?」
すかさず掛けられた猊下の声に、慌ててぱちりと目を開ける。
いやいや、意識が遠くなったわけでも吐き気がしたわけでもありません!
「申し訳ございません。ご心配をおかけして……」
ふるふると首を振って、否定しようかとも思ったが、空気を読んでうっすらと微笑む。
「何を言う! 私が散策に誘ったからこんなことに」
「お気遣いいただきありがとうございます」
「怪我はしていないだろうね?」
「はい。護衛が身を挺して守って……ルシエラは!?」
若干ふわふわと意識が他所の方に逃げようとしていたが、問題児の事を思い出すと一気に現実に舞い戻ってしまった。
「少し問題があってね。すぐに戻ると思うよ」
猊下の微妙な表情に、ますます不安が増す。
「問題ですか?……あっ、気が利かず申し訳ございません。どうかお座りください」
ソファーの上座にぼんやり座り込んでいたメイラは、慌てて腰を浮かせて言った。
「ユリ、皆様にお茶を」
「はい、御方さま」
「いんだよ、君はそこに座って居なさい。まだ顔色が悪い」
「メイド。紅茶よりもホットワインのほうがいいのではないか」
この場にいる、メイラより明らかに上位の男性陣が、そろいもそろって彼女に動くなと言う。
それほど具合が悪そうに見えるのだろうか。
移動しようとしたメイラを制し、リンゼイ師を含め三人の男たちはさっさと左右のソファーに分かれて座ってしまった。
居座る気満載のその雰囲気に、こぼれそうになったため息をなんとか呑み込む。
「実はね、あそこにハリーが居たのだよ」
「え?」
「ハリソンだよ。君の五歳年下だった男の子だ」
不意に、「メイラねぇちゃん」と遠くから呼ばれたのを思い出した。
明らかに危険を知らせる声色だった。
メイラが良く面倒を見ていた少年で、両親ともに流行り病で亡くし孤児院にやってきた。少し気が弱いが優しい子で、メイラやリンゼイ師に良く懐いていた。
気立ても頭の出来も良かった彼は、子のない商家の養子として引き取られ、ハーデス領から遠く離れた街に行ったはずだが……
「後で話を聞きに行ってくる。大丈夫、君が我が子のように愛情をこめて育てた弟分だと言っておいたから、悪い扱いはうけていないよ」
商用でザガンに来ていたのだろうか。孤児院に里帰りしていたのだろうか。
心配になってそわそわと腰を浮かせかけ、父のこれ見よがしな咳払いに慌てて淑女の仮面をかぶりなおす。
「お前には話すまいと思っていたのだが、どこぞから噂を聞きつけて余計なことを仕出かしそうだから言っておく。先週の末に、リゼルの街が海から襲撃を受けた。ザガンから近いのでこれまでは海賊も手を出してこなかったのだが、街は壊滅状態だ」
「えっ!?」
父の口調はひどくそっなく、まるで書類を読み上げているかのように単調なものだった。
とっさにはその意味を呑み込むことが出来ず、数回の瞬きの後にメイラの顔から一気に血の気が引く。
メイラの修道院は、街の外れの徒歩一時間圏内にある。海から襲撃を受けたのなら、真っ先に被害にあいそうな立地だ。
「奴らはまず修道院を占拠し、そこを拠点にリゼルを攻めた。取れるだけの物資を奪い、三日で引いた」
「こ、子供たちは?!」
真っ青になって尋ねたメイラに、リンゼイ師がにっこりと微笑んだ。
「君の教え通りに用心していたようだね。襲用船が接岸しようとしたのは昼間だったらしく、遊んでいた子供が気づいた。すぐに全員で避難を開始し、井戸に隠れたようだ」
以前、人買いの集団に狙われたことがあり、知らない大人には絶対に近づかない事。危ないと思ったら即座に皆に伝達し、何も持たずに避難する事とルールを決めていた。
あらかじめ隠れる場所を複数決めておき、そこに全員が数日生き延びることができるだけの水と食料を備蓄しておくのを習慣にしていたのだが……役に立ったのか。
「君が居なくなっても、子供たちはしっかり約束を守っていたようだよ。空腹なのに備蓄の食料をつまみ食いすることなく、水樽も綺麗にしていた。本当に賢いいい子たちだ」
そうか。修道院が襲われた件もあって、猊下はザガンに滞在していたのか。
リンゼイ師が言うのだから、無事なのは確かなのだろう。
しかし拠点になったという修道院は、壊されたりしていないだろうか。ただでさえオンボロだったのに、居住区になっている孤児院は住める状態なのだろうか。
メイラは両手をぎゅっと握りしめた。
「……ならん」
口を開きかけた彼女に、父が容赦なく言い放つ。
「身をわきまえよ、メルシェイラ。かつてと今では状況が違う。お前は陛下の妃であり、良からぬ輩に狙われてもいる。勝手な行動は慎め」
冷たくなった指先が、細かく震えている。
かつて人買いの集団が襲ってきたとき、危うく連れて行かれそうになったのを思い出していた。
腕を掴まれ馬車に乗せられそうになり、丁度参拝にきていた冒険者のパーティがいなければ、危ういところだったのだ。
弱者にとっては、剣を持ち武装している男たちは恐ろしい相手だ。
小さな子供たちが、どれほど怯えていたか想像するだけで胸が痛む。
「……はい、お父さま」
口ではそう言いつつも、耐えれるだろうかと自問する。
子供たちはメイラの家族であり、守るべき者たちだ。
何もせず、手を差し伸べもせず、目をつぶっていることが果たしてできるのか……
答えはすでに出ていた。
0
お気に入りに追加
656
あなたにおすすめの小説
(完結)妹に情けをかけたら追い出されました(全5話)
青空一夏
恋愛
突然、私達夫婦の屋敷を訪ねてきた妹、サファイア。
「お姉様! お願いだから助けてちょうだい。夫から暴力をうけているのよ」
そう言われれば助けないわけにはいかない。私は夫の承諾をもらいサファイアを屋敷に住まわせた。サファイアの夫はあっさりと離婚に応じ、この問題は解決したと思ったのだけれど・・・・・・サファイアはいっこうに出て行こうとしない。そして、夫は妙にサファイアに優しくて・・・・・・
姉も妹も貴族ではありませんが、貴族のいる世界になります。
異世界中世ヨーロッパ風。異世界ですが、日本のように四季があります。ゆるふわご都合主義。ざまぁ。姉妹対決。R15。予定を変更して5話になります。
ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む
紫楼
ファンタジー
酔っ払って寝て起きたらなんか手が小さい。びっくりしてベットから落ちて今の自分の情報と前の自分の記憶が一気に脳内を巡ってそのまま気絶した。
私は放置された16歳の少女リーシャに転生?してた。自分の状況を理解してすぐになぜか王様の命令で辺境にお嫁に行くことになったよ!
辺境はイケメンマッチョパラダイス!!だったので天国でした!
食べ物が美味しくない国だったので好き放題食べたい物作らせて貰える環境を与えられて幸せです。
もふもふ?に出会ったけどなんか違う!?
もふじゃない爺と契約!?とかなんだかなーな仲間もできるよ。
両親のこととかリーシャの真実が明るみに出たり、思わぬ方向に物事が進んだり?
いつかは立派な辺境伯夫人になりたいリーシャの日常のお話。
主人公が結婚するんでR指定は保険です。外見とかストーリー的に身長とか容姿について表現があるので不快になりそうでしたらそっと閉じてください。完全な性表現は書くの苦手なのでほぼ無いとは思いますが。
倫理観論理感の強い人には向かないと思われますので、そっ閉じしてください。
小さい見た目のお転婆さんとか書きたかっただけのお話。ふんわり設定なので軽ーく受け流してください。
描写とか適当シーンも多いので軽く読み流す物としてお楽しみください。
タイトルのついた分は少し台詞回しいじったり誤字脱字の訂正が済みました。
多少表現が変わった程度でストーリーに触る改稿はしてません。
カクヨム様にも載せてます。
【1章完結】経験値貸与はじめました!〜但し利息はトイチです。追放された元PTメンバーにも貸しており取り立てはもちろん容赦しません〜
コレゼン
ファンタジー
冒険者のレオンはダンジョンで突然、所属パーティーからの追放を宣告される。
レオンは経験値貸与というユニークスキルを保持しており、パーティーのメンバーたちにレオンはそれぞれ1000万もの経験値を貸与している。
そういった状況での突然の踏み倒し追放宣言だった。
それにレオンはパーティーメンバーに経験値を多く貸与している為、自身は20レベルしかない。
適正レベル60台のダンジョンで追放されては生きては帰れないという状況だ。
パーティーメンバーたち全員がそれを承知の追放であった。
追放後にパーティーメンバーたちが去った後――
「…………まさか、ここまでクズだとはな」
レオンは保留して溜めておいた経験値500万を自分に割り当てると、一気に71までレベルが上がる。
この経験値貸与というスキルを使えば、利息で経験値を自動で得られる。
それにこの経験値、貸与だけでなく譲渡することも可能だった。
利息で稼いだ経験値を譲渡することによって金銭を得ることも可能だろう。
また経験値を譲渡することによってゆくゆくは自分だけの選抜した最強の冒険者パーティーを結成することも可能だ。
そしてこの経験値貸与というスキル。
貸したものは経験値や利息も含めて、強制執行というサブスキルで強制的に返済させられる。
これは経験値貸与というスキルを授かった男が、借りた経験値やお金を踏み倒そうとするものたちに強制執行ざまぁをし、冒険者メンバーを選抜して育成しながら最強最富へと成り上がっていく英雄冒険譚。
※こちら小説家になろうとカクヨムにも投稿しております
所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!
ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。
幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。
婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。
王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。
しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。
貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。
遠回しに二人を注意するも‥
「所詮あなたは他人だもの!」
「部外者がしゃしゃりでるな!」
十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。
「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」
関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが…
一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。
なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…
(完)「あたしが奥様の代わりにお世継ぎを産んで差し上げますわ!」と言うけれど、そもそも夫は当主ではありませんよ?
青空一夏
恋愛
夫のセオは文官。最近は部署も変わり部下も増えた様子で帰宅時間もどんどん遅くなっていた。
私は夫を気遣う。
「そんなに根を詰めてはお体にさわりますよ」
「まだまだやらなければならないことが山積みなんだよ。新しい部署に移ったら部下が増えたんだ。だから、大忙しなのさ」
夫はとても頑張り屋さんだ。それは私の誇りだった……はずなのだけれど?
チート生産魔法使いによる復讐譚 ~国に散々尽くしてきたのに処分されました。今後は敵対国で存分に腕を振るいます~
クロン
ファンタジー
俺は異世界の一般兵であるリーズという少年に転生した。
だが元々の身体の持ち主の心が生きていたので、俺はずっと彼の視点から世界を見続けることしかできなかった。
リーズは俺の転生特典である生産魔術【クラフター】のチートを持っていて、かつ聖人のような人間だった。
だが……その性格を逆手にとられて、同僚や上司に散々利用された。
あげく罠にはめられて精神が壊れて死んでしまった。
そして身体の所有権が俺に移る。
リーズをはめた者たちは盗んだ手柄で昇進し、そいつらのせいで帝国は暴虐非道で最低な存在となった。
よくも俺と一心同体だったリーズをやってくれたな。
お前たちがリーズを絞って得た繁栄は全部ぶっ壊してやるよ。
お前らが歯牙にもかけないような小国の配下になって、クラフターの力を存分に使わせてもらう!
味方の物資を万全にして、更にドーピングや全兵士にプレートアーマーの配布など……。
絶望的な国力差をチート生産魔術で全てを覆すのだ!
そして俺を利用した奴らに復讐を遂げる!
【完結】愛されないのは政略結婚だったから、ではありませんでした
紫崎 藍華
恋愛
夫のドワイトは妻のブリジットに政略結婚だったから仕方なく結婚したと告げた。
ブリジットは夫を愛そうと考えていたが、豹変した夫により冷めた関係を強いられた。
だが、意外なところで愛されなかった理由を知ることとなった。
ブリジットの友人がドワイトの浮気現場を見たのだ。
裏切られたことを知ったブリジットは夫を許さない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる