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修道女、向いていないと気づく
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はじめて足を踏み入れる白薔薇宮は、第一皇妃の緋桜宮とは対照的にどこまでも真っ白だった。
建具などの金物飾りはどれもこれもキラキラと曇りなく輝き、毎日メイドがせっせと磨いているのでないならプラチナだろう。白塗りの壁にはやはり白を基調とした絵画が飾られ、巨大な白い花瓶に生けられているのもまた白いバラ。
あまりにも白すぎて、目がちかちかしてくる。
第一皇妃の離宮よりもシンプルな内装だが、騙されてはならない。
建具のプラチナも相当なものだが、柱にはめ込まれた透明な宝石がどう見てもダイヤモンドなのだ。
いやいやもしかすると、ガラス細工である可能性も捨てきれない。
あんな巨大なサイズのものを、立ち並ぶ柱の数すべてに埋め込むなど、ありえないを通り越して正気とは思えないからだ。
本物を見抜く審美眼などまったく持ち合わせていないので、心の平安の為にもガラスか水晶だと思い込むことにする。軽く国家予算に匹敵するダイヤが後宮の柱の装飾に使われているなどと、危うくくだらない妄想に陥るところだった。
メイラはそれとなく周囲を観察するのをやめ、先導する女官の背中を見つめた。
長い廊下の壁際に沿って、後宮のお仕着せとは少し違う装束のメイドたちが並んでいる。基本ここにいるのは後宮のメイドではなく、ユリたちのようにミッシェル第二皇妃が実家から連れてきた者たちだろう。
じっと見つめてくる視線は、やはり好意的なものではない。
妾妃など文字通り妾にすぎぬとでも言いたげに、侮蔑的な目をしている者もいる。
白薔薇宮に足を踏み入れて思ったのだが、もしミッシェルさまの傍に侍ることが許されたとして、この真っ白な空間に毎日通わなければならないのだろうか。
メイドたちの敵意はともかくとしても、目が変になりそうだ。
「こちらです、妾妃さま」
物理的にも物腰的にも上から目線なメイドが、一度も礼を取らないというある意味チャレンジャーな態度で最奥の部屋を指し示した。
真っ白なその扉は、大理石の細工ものだった。
非常に重そうで、天井まで届くその高さ同様にお値段も相当なものだとわかる。
見覚えがあるな……とその彫り物を見つめ、紫央宮の入り口にあるものと同じ意匠であることに気づいた。
陛下が余多の妃たちと過ごすあの館のことは、一度しか迎え入れられたことはないがはっきりと記憶に残っている。
妃たちのキラキラな住まいとはちがい、落ち着いた色合いの内装で、高級そうではあるが品のある佇まいだった。
メイラは巨大な扉を見上げながらあの夜のことを思い出し、ツキリ、と胸が痛むのを感じた。
はじめて身にまとった煽情的すぎる薄絹。室内履きの足の裏で沈む分厚い絨毯の感触。薄暗い屋内。ほのかに灯された明かり。
天井から幾重にも垂らされた布がドレープを作り、優美な陰影を刻んでいた。
長椅子のクッションの柄は蔦模様だったとか、ベッドシーツは白く肌掛けはアイボリー色だったとか、細部の記憶をたどってそちらへ思考が傾かないようにしてみたが、どうやっても最終的にははだけたローブ姿の陛下の姿を思い出してしまう。
自然に見える動作を心がけながら、真っ白な石造りの扉から視線を下げた。
あの逞しい肢体がのしかかってきたときの熱さや、申し訳ないほどにささやかな胸を覆った武骨な掌の感触が、トクリと鳩尾を刺す鼓動とともに鮮明に蘇ってくる。
いま己は、悲しいと感じているのだろうか。
胸が痛いのは、何故だろう。
ゆっくりと左右に開かれる重そうな扉を前に、深く息を吐いた。
廊下は白々としていたのであまり暗さは感じなかったのだが、開かれた扉の向こうは更に明るく、奥から差す光が目を潰さんばかりに眩かった。
「中へどうぞ」
その扉は見かけほど重そうではなく、紫央宮のものの半分の分厚さしかないとか、来訪者の目にまっすぐに光が入るよう作られた部屋の作りなのだとか、あとから考えればいろいろとわかることもあったが、その時は顔を上げていられないほどの明るさに目がくらみ、さっと瞼を閉ざして視界を守るしかなかった。
「……妾妃メルシェイラ」
入り口付近で立ちすくんでいると、遠くから細い、ほんとうに細い声が聞こえてきた。
「ハーデス公爵閣下のご養女だとか。よくいらっしゃいました」
「……はい、第二皇妃殿下」
「近う」
許されて顔を上げた時、かの人の光の中に消えてしまいそうな繊細な容姿に魂が抜かれるかと思った。
広い部屋なので声が届きづらいのかと思っていたが、違う。
まるで雪の精霊のようにはかなげで美しい人がそこにいた。
真っ白なベッドで上半身だけ起こし、少し泣きそうにも見える表情でこちらを向いている。
触れれば溶けそうだった。
銀色の髪。一度も太陽の下にさらされたことがなさそうな白い肌。
顔色は悪く、表情も昏い。しかしそれがなおいっそう彼女の美しさを引き立てている。
「見舞いの品、ありがとう。ジュレは大好物なの」
神々が手づから作り上げたような造作美だった。
ミッシェル皇妃が微笑むと、その場にきらきらと光の雫が散るようだ。
メイラその場から一歩も動くことができず、ただただ呼吸も忘れてその美貌を見続けた。
さして長くもない人生だが、こんなにも美しい人間がこの世に存在するとは思ったこともなかった。美しすぎて、神代の生き物だと言われても誰も疑わないだろう。
おそらくは礼を逸するほど長時間立ち尽くしていたのだと思う。
例のメイドが小さな咳払いをしたのでようやく我に返った。
皇妃はあきらかに体調を崩していた。顔色の悪さが白いを通り越して透き通るほどで、そのまま消えてしまいはしないかと危うさすら感じる。
そして、ぽっこりとふくらんだ腹部。
メイラは、そっと息を吐いた。
「はじめてお目にかかります、第二皇妃殿下」
この人が、陛下の愛する女性なのだ。帝国の後継者となる和子を産むことを許され、おそらくはその心まで預けた御方。
帝国の臣民として、将来の皇后となるであろう美貌の皇妃に深々と頭を下げる。
白い絨毯が張られた床を見下ろして、強いてゆっくりと呼吸を繰り返した。
「体調が優れない時に何度も押しかけて申し訳ございません」
「……いいのよ。わたくしも妃としての務めができず心苦しい思いをしているのです」
嫡出男子を産んだ妃の中で、皇帝陛下と元老院が相応しいと認めたものが皇后に叙される。皇妃や側妃や妾妃とは一線を画し、正真正銘の皇帝陛下の正妻である。
出自が悪かったり国母としての資質に欠けたりするようであれば、いくら後継者となる男子を産んでいても皇后に上ることはないが、目の前の御方なら問題はないだろう。強いていうなら身体の弱さだが、妊婦特有の体調不良であれば時間が解決することだ。
「横になってください。お顔の色が優れません」
メイラは促されるがままに部屋の中ほどまで歩み出たが、ベッドの傍まで近づこうとはしなかった。
第二皇妃付きのメイドや女官が、あきらかに警戒して一挙一動見守っていたということもあるが、それよりも近寄りがたい……いや、とても側には寄れないと思ってしまったのだ。
「風邪などは引いておりませんが、お身体に障りがあってはなりませんので、この距離で失礼いたします」
「……気を使ってくださってありがとう。悪阻がひどくて、起き上がるのがようやくなの。親しくお喋りしたいところだけど、ごめんなさい」
「いえ、本日はご挨拶だけで。……体調が回復した時にはお呼び下さい。御無聊をお慰めできればと思います」
「ええ、もちろんよ」
青白い顔に、ふわりと匂い立つような微笑みが浮かんだ。
「和子さまに肌着や靴下をしつらえてもよろしいでしょうか? 素人の手すさびですが」
赤子の事を聞いてそっと腹を撫でる手が、優し気で。
「……こんなところではお友達などできないと思っていたわ」
やつれてなお儚げな美しさが際立つ美貌が、ぽっと灯が灯ったように綻んだ。
メイラはニコリと微笑み返しながら、目の奥のジクジクとした痛みを懸命に堪えていた。
この美しい方が陛下の閨に侍り、あの腕に抱かれ、子を孕んだ。
そう思うだけで、ひりつくように胸が痛んだ。
建具などの金物飾りはどれもこれもキラキラと曇りなく輝き、毎日メイドがせっせと磨いているのでないならプラチナだろう。白塗りの壁にはやはり白を基調とした絵画が飾られ、巨大な白い花瓶に生けられているのもまた白いバラ。
あまりにも白すぎて、目がちかちかしてくる。
第一皇妃の離宮よりもシンプルな内装だが、騙されてはならない。
建具のプラチナも相当なものだが、柱にはめ込まれた透明な宝石がどう見てもダイヤモンドなのだ。
いやいやもしかすると、ガラス細工である可能性も捨てきれない。
あんな巨大なサイズのものを、立ち並ぶ柱の数すべてに埋め込むなど、ありえないを通り越して正気とは思えないからだ。
本物を見抜く審美眼などまったく持ち合わせていないので、心の平安の為にもガラスか水晶だと思い込むことにする。軽く国家予算に匹敵するダイヤが後宮の柱の装飾に使われているなどと、危うくくだらない妄想に陥るところだった。
メイラはそれとなく周囲を観察するのをやめ、先導する女官の背中を見つめた。
長い廊下の壁際に沿って、後宮のお仕着せとは少し違う装束のメイドたちが並んでいる。基本ここにいるのは後宮のメイドではなく、ユリたちのようにミッシェル第二皇妃が実家から連れてきた者たちだろう。
じっと見つめてくる視線は、やはり好意的なものではない。
妾妃など文字通り妾にすぎぬとでも言いたげに、侮蔑的な目をしている者もいる。
白薔薇宮に足を踏み入れて思ったのだが、もしミッシェルさまの傍に侍ることが許されたとして、この真っ白な空間に毎日通わなければならないのだろうか。
メイドたちの敵意はともかくとしても、目が変になりそうだ。
「こちらです、妾妃さま」
物理的にも物腰的にも上から目線なメイドが、一度も礼を取らないというある意味チャレンジャーな態度で最奥の部屋を指し示した。
真っ白なその扉は、大理石の細工ものだった。
非常に重そうで、天井まで届くその高さ同様にお値段も相当なものだとわかる。
見覚えがあるな……とその彫り物を見つめ、紫央宮の入り口にあるものと同じ意匠であることに気づいた。
陛下が余多の妃たちと過ごすあの館のことは、一度しか迎え入れられたことはないがはっきりと記憶に残っている。
妃たちのキラキラな住まいとはちがい、落ち着いた色合いの内装で、高級そうではあるが品のある佇まいだった。
メイラは巨大な扉を見上げながらあの夜のことを思い出し、ツキリ、と胸が痛むのを感じた。
はじめて身にまとった煽情的すぎる薄絹。室内履きの足の裏で沈む分厚い絨毯の感触。薄暗い屋内。ほのかに灯された明かり。
天井から幾重にも垂らされた布がドレープを作り、優美な陰影を刻んでいた。
長椅子のクッションの柄は蔦模様だったとか、ベッドシーツは白く肌掛けはアイボリー色だったとか、細部の記憶をたどってそちらへ思考が傾かないようにしてみたが、どうやっても最終的にははだけたローブ姿の陛下の姿を思い出してしまう。
自然に見える動作を心がけながら、真っ白な石造りの扉から視線を下げた。
あの逞しい肢体がのしかかってきたときの熱さや、申し訳ないほどにささやかな胸を覆った武骨な掌の感触が、トクリと鳩尾を刺す鼓動とともに鮮明に蘇ってくる。
いま己は、悲しいと感じているのだろうか。
胸が痛いのは、何故だろう。
ゆっくりと左右に開かれる重そうな扉を前に、深く息を吐いた。
廊下は白々としていたのであまり暗さは感じなかったのだが、開かれた扉の向こうは更に明るく、奥から差す光が目を潰さんばかりに眩かった。
「中へどうぞ」
その扉は見かけほど重そうではなく、紫央宮のものの半分の分厚さしかないとか、来訪者の目にまっすぐに光が入るよう作られた部屋の作りなのだとか、あとから考えればいろいろとわかることもあったが、その時は顔を上げていられないほどの明るさに目がくらみ、さっと瞼を閉ざして視界を守るしかなかった。
「……妾妃メルシェイラ」
入り口付近で立ちすくんでいると、遠くから細い、ほんとうに細い声が聞こえてきた。
「ハーデス公爵閣下のご養女だとか。よくいらっしゃいました」
「……はい、第二皇妃殿下」
「近う」
許されて顔を上げた時、かの人の光の中に消えてしまいそうな繊細な容姿に魂が抜かれるかと思った。
広い部屋なので声が届きづらいのかと思っていたが、違う。
まるで雪の精霊のようにはかなげで美しい人がそこにいた。
真っ白なベッドで上半身だけ起こし、少し泣きそうにも見える表情でこちらを向いている。
触れれば溶けそうだった。
銀色の髪。一度も太陽の下にさらされたことがなさそうな白い肌。
顔色は悪く、表情も昏い。しかしそれがなおいっそう彼女の美しさを引き立てている。
「見舞いの品、ありがとう。ジュレは大好物なの」
神々が手づから作り上げたような造作美だった。
ミッシェル皇妃が微笑むと、その場にきらきらと光の雫が散るようだ。
メイラその場から一歩も動くことができず、ただただ呼吸も忘れてその美貌を見続けた。
さして長くもない人生だが、こんなにも美しい人間がこの世に存在するとは思ったこともなかった。美しすぎて、神代の生き物だと言われても誰も疑わないだろう。
おそらくは礼を逸するほど長時間立ち尽くしていたのだと思う。
例のメイドが小さな咳払いをしたのでようやく我に返った。
皇妃はあきらかに体調を崩していた。顔色の悪さが白いを通り越して透き通るほどで、そのまま消えてしまいはしないかと危うさすら感じる。
そして、ぽっこりとふくらんだ腹部。
メイラは、そっと息を吐いた。
「はじめてお目にかかります、第二皇妃殿下」
この人が、陛下の愛する女性なのだ。帝国の後継者となる和子を産むことを許され、おそらくはその心まで預けた御方。
帝国の臣民として、将来の皇后となるであろう美貌の皇妃に深々と頭を下げる。
白い絨毯が張られた床を見下ろして、強いてゆっくりと呼吸を繰り返した。
「体調が優れない時に何度も押しかけて申し訳ございません」
「……いいのよ。わたくしも妃としての務めができず心苦しい思いをしているのです」
嫡出男子を産んだ妃の中で、皇帝陛下と元老院が相応しいと認めたものが皇后に叙される。皇妃や側妃や妾妃とは一線を画し、正真正銘の皇帝陛下の正妻である。
出自が悪かったり国母としての資質に欠けたりするようであれば、いくら後継者となる男子を産んでいても皇后に上ることはないが、目の前の御方なら問題はないだろう。強いていうなら身体の弱さだが、妊婦特有の体調不良であれば時間が解決することだ。
「横になってください。お顔の色が優れません」
メイラは促されるがままに部屋の中ほどまで歩み出たが、ベッドの傍まで近づこうとはしなかった。
第二皇妃付きのメイドや女官が、あきらかに警戒して一挙一動見守っていたということもあるが、それよりも近寄りがたい……いや、とても側には寄れないと思ってしまったのだ。
「風邪などは引いておりませんが、お身体に障りがあってはなりませんので、この距離で失礼いたします」
「……気を使ってくださってありがとう。悪阻がひどくて、起き上がるのがようやくなの。親しくお喋りしたいところだけど、ごめんなさい」
「いえ、本日はご挨拶だけで。……体調が回復した時にはお呼び下さい。御無聊をお慰めできればと思います」
「ええ、もちろんよ」
青白い顔に、ふわりと匂い立つような微笑みが浮かんだ。
「和子さまに肌着や靴下をしつらえてもよろしいでしょうか? 素人の手すさびですが」
赤子の事を聞いてそっと腹を撫でる手が、優し気で。
「……こんなところではお友達などできないと思っていたわ」
やつれてなお儚げな美しさが際立つ美貌が、ぽっと灯が灯ったように綻んだ。
メイラはニコリと微笑み返しながら、目の奥のジクジクとした痛みを懸命に堪えていた。
この美しい方が陛下の閨に侍り、あの腕に抱かれ、子を孕んだ。
そう思うだけで、ひりつくように胸が痛んだ。
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