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彼とこんな関係になってしまったのはいつからだろう……。
正直、彼の事は嫌じゃない。
ただ、私と彼とじゃ釣り合わない。
だから、私のこの気持ちには気づかないでほしい。
私と彼の関係は、上司と部下。そして、幼馴染でいい。
それ以上は望んだらだめだ。
この関係がこのままずっと続いていくのは辛く、そろそろ気持ちに踏ん切りをつけ、『もうお終いにしよう』 といつも言っているのだが、なかなか彼との勝負に勝てずに、ズルズルとここまで来てしまった。
でも、今日こそはきちんと話して、ちゃんとわかってもらおう。
決心をし、彼になんて切り出そうと考え事に耽っていたら、ドアから魔力を感じて立ち上がって顔を上げる。
ドアを開けて中に入って来た彼は近くまで寄り、その顔を綻ばせる。
「ミア、いい子にしていた?」
「魔術師長、こういうことはやめてください。私は仕事に行かなくてはいけませんので、この部屋から出られなくされては困ります」
「なにそれ、呼び方が違う」
「……私とあなたの関係は、上司と部下です。それ以上でも、それ以下でもありません」
私の言葉にちょっと不機嫌に顔をしかめた。
「違うよ、確かに仕事ではそうかもしれないけれど、ミアと僕の関係は、そんな簡単なものじゃないでしょう? 子供の頃から、そして、この先もずっと」
「……っ、いいえ、そんなことはありません。いつも言っているではありませんか。いい加減にわかってください。とにかく、私は仕事に戻ります!」
そう言い切り、踵を返してドアへと向かおうと思ったら、背後からゾクリとしたものを感じ、急に体が動かなくなった。
「ぁ……な、に……?」
「わかってないのはミアのほうだよ。ぼくはこんなにも君のことを愛しているのに」
後ろから抱きしめられ、同時に首筋にチリッとした痛みを感じた。
「お願い、やめて」
「やめて。じゃないよね。どうしていつも僕から逃げようとするのかな?」
そういい、指をパチンと鳴らすと、一瞬のうちに真っ白で床に沢山の花びらが敷き詰められている部屋に移動した。
(え……、な、に?)
印も詠唱もなかった。
ただ一つ指をならしただけ。
ありえない、とばかりに恐る恐る振り返り、幼馴染の顔を見る。
「ん? 僕を誰だと思っているの? この王国最強の魔術師の名は伊達じゃないよ。この部屋ならミアも気に入ってくれるかな? 気に入ってもらえたなら、このままずっとここにいていいんだからね」
そう言い、軽々と私を抱き上げて、部屋の中心へと向かう。
「いいかげんにして! ここから出して! 私、今日の仕事、まだしていない!」
「そんなの気にしなくて大丈夫だよ。君に仕事を回そうとする愚かな奴はいないと思うよ?」
大丈夫、全部部下達が進んでやってくれてるよ。
と不穏なことをいう。
えっ? それってどういう……?
聞こえた不穏な言葉に一体どういうことかと問いただそうと思ったのだが、私の言葉はすべて飲み込まれて聞けなくなった――。
正直、彼の事は嫌じゃない。
ただ、私と彼とじゃ釣り合わない。
だから、私のこの気持ちには気づかないでほしい。
私と彼の関係は、上司と部下。そして、幼馴染でいい。
それ以上は望んだらだめだ。
この関係がこのままずっと続いていくのは辛く、そろそろ気持ちに踏ん切りをつけ、『もうお終いにしよう』 といつも言っているのだが、なかなか彼との勝負に勝てずに、ズルズルとここまで来てしまった。
でも、今日こそはきちんと話して、ちゃんとわかってもらおう。
決心をし、彼になんて切り出そうと考え事に耽っていたら、ドアから魔力を感じて立ち上がって顔を上げる。
ドアを開けて中に入って来た彼は近くまで寄り、その顔を綻ばせる。
「ミア、いい子にしていた?」
「魔術師長、こういうことはやめてください。私は仕事に行かなくてはいけませんので、この部屋から出られなくされては困ります」
「なにそれ、呼び方が違う」
「……私とあなたの関係は、上司と部下です。それ以上でも、それ以下でもありません」
私の言葉にちょっと不機嫌に顔をしかめた。
「違うよ、確かに仕事ではそうかもしれないけれど、ミアと僕の関係は、そんな簡単なものじゃないでしょう? 子供の頃から、そして、この先もずっと」
「……っ、いいえ、そんなことはありません。いつも言っているではありませんか。いい加減にわかってください。とにかく、私は仕事に戻ります!」
そう言い切り、踵を返してドアへと向かおうと思ったら、背後からゾクリとしたものを感じ、急に体が動かなくなった。
「ぁ……な、に……?」
「わかってないのはミアのほうだよ。ぼくはこんなにも君のことを愛しているのに」
後ろから抱きしめられ、同時に首筋にチリッとした痛みを感じた。
「お願い、やめて」
「やめて。じゃないよね。どうしていつも僕から逃げようとするのかな?」
そういい、指をパチンと鳴らすと、一瞬のうちに真っ白で床に沢山の花びらが敷き詰められている部屋に移動した。
(え……、な、に?)
印も詠唱もなかった。
ただ一つ指をならしただけ。
ありえない、とばかりに恐る恐る振り返り、幼馴染の顔を見る。
「ん? 僕を誰だと思っているの? この王国最強の魔術師の名は伊達じゃないよ。この部屋ならミアも気に入ってくれるかな? 気に入ってもらえたなら、このままずっとここにいていいんだからね」
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「そんなの気にしなくて大丈夫だよ。君に仕事を回そうとする愚かな奴はいないと思うよ?」
大丈夫、全部部下達が進んでやってくれてるよ。
と不穏なことをいう。
えっ? それってどういう……?
聞こえた不穏な言葉に一体どういうことかと問いただそうと思ったのだが、私の言葉はすべて飲み込まれて聞けなくなった――。
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