【第2部完結!】『突撃!門工サバゲー部2024 Vol2!~ウクライナを救った6人のミリオタの物語 Part2ウクライナ戦線編~』

あらお☆ひろ

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「ドネツク」

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「ドネツク」

 ドネツク市内の廃墟ビルの1階でR-149MA1を隠した状態で、隼は無線機のチャンネルを次々と変えてはメモを取っている。
R-149MA1というBTR-80装甲兵員輸送車をベースにした改造車は「コマンド・ポスト・キャリア」の別名で呼ばれる、大隊や連隊以上の部隊を指揮するための指揮参謀車なので車体から数本の高いアンテナが伸びている。VHF帯で25キロの通信範囲があり、マストを設置することで55キロまでの範囲をカバーする。また、HF範囲ではその通信範囲は350キロに及ぶ。
今回奪った車両にはそれとは別に軍用衛星デジタル通信機材とRP-377UVM1Lという移動電子戦システム車クラスハ4に搭載されている装置まで搭載されていた。日本でもネットニュースではよく伝えられる「ロシア軍」あるあるであるが、この車両内でもデジタル通信機材と専用のパソコンの起動パスワードの書かれた付箋が貼られていたり、ロシア軍本部やクレムリンの総合本部のメールアドレスとコンタクトパスワード表が車内の施錠されていないラックに残っていた。明らかに「プーチン大統領」名で来た「激励メール」もロックされず、見られる状態で残っていた。
更にロシア軍が使用するイラン製ドローンの使用周波数帯やミサイルの誘導レーダーの周波数帯も記されたファイルもそのまま読める状態になっていた。
「はー、参謀車でこのレベルやからなぁ。そりゃ、作戦も漏れるし、今回もそうやけど、重要車両をそのまま放置して逃げよんねんから、ロシア軍に勝ち目はないよなぁ。残す手立ては「核」だけやなぁ。」
と隼があきれた感じで呟いた。

 車両後部では、零が屠龍の銃創の消毒とガーゼの張りかえを行い、疾風と彗星が装備品の残数を確認している。
「屠龍副長、痛みはどうですか?舩坂さんの治療、結構荒っぽかったんですけど、大丈夫ですか?」
「うん、さすがは「不死身の分隊長」やわな。はちみつと9ミリ弾で消毒と血止めして、おまけに輸液やもんなぁ。できたら俺も直接話してみたいわ。お礼も言わなあかんしな。」
「おいおい、屠龍、輸液は、さいとうたかを先生のおかげやろが。俺こそ、さいとう先生と話せるんやったら、ゴルゴマニアとして最終回の構想とか聞きたかったわ。」
「まあ、飛燕さんのおかげで副長の命が助かったんは間違いないわな。ただ、飛燕さんと舩坂さんへの「お礼」で私はもうへなへなやったわ。顔は零ちゃんやねんけど、中身は言うたらええ大人の男やん。そのテクニックはさすがに「大人の男」やったで。
 もう、30分ほどの間に何回いかされたか…。まあ、次はこんな戦闘車両の中やなくて、きちんとしたホテルで味わいたいわな。
 ちなみに憑依されてる間、零ちゃんは意識はあるの?」
「は、はい。動きは制御されてしまって何もできないんですけど、視覚や触感はあります。彗星先輩のエッチなところいっぱい触っちゃったりちゅっちゅしちゃった感触は生々しく残ってますだ。」
 とりとめのない話をしていると、屠龍がまた鼻血を出した。(もう、副長は「H」だべな。本当に昨日死にかかったとは思えないべ。)零は目を合わさず、ポケットティッシュを差し出した。

電機機材に強い紫電と隼がウクライナ軍とロシア軍の最前線であるドネツク周辺の情報を集め、ロシア軍の配置の弱いエリアを地図上にマーキングし終わり、隼が後部キャビンに声をかけた。
「無線情報によると、明日、ロシア軍が北進する情報をウクライナ軍は掴んでるようや。そのどさくさで、前線を突破して、北部のクラマトルスクかスリャビャンスクのウクライナ軍に飛び込むことができれば逃げられそうや。
 あらかじめウクライナ軍に俺らの存在を連絡できれば、誤って撃たれることもないねんけど、そこがネックやな。ドローンや、偵察衛星から見たら、俺らもただのロシア軍やからな。」

 鼻にティッシュを詰めた屠龍が隼に尋ねた。
「隼、この車両についてるパソコンって衛星回線使って普通にメールとかインターネットとかできるんか?」
「あぁ、軍事衛星やから、もちろん一般回線に入ることも可能やけど、屠龍、お前なんか手があるんかいな?」
「おう、確実とは言えへんけど、一つ頼れるチャネルはある。その人を通じて凄い人にコンタクトができれば、無事に保護してもらえるんとちゃうんかな。この車両をおみやげにしてもええやろ?」
どや顔で屠龍が言うので、疾風が
「屠龍、えらい自信満々やないか。いっぺんお前の考えを聞かせてくれや。」
と興味深そうに聞いてきた。

 みんなで頭を寄せ合い、屠龍の作戦を聞いた。それなりに納得のいく「筋」は通っているように感じたが、最後の部分は「眉唾」と思う部分が残った。
「まあ、四の五の言う前に一回パソコン使わせてくれや!うまくいったら、みんなおれに感謝することになるで!」
鼻息荒く、屠龍はパソコンの設置されたデスクについた。

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