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「PINOの役割」

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「PINOの役割」

(あー、これは、ええ目印になってしまってるだ。もしかしてうちらも?)と疾風の方を見ると明らかに白い吐息が上がっている。
「零ちゃん、「ヘイヘ」はんがPINOアイスを口に入れろって言ってはるで!部長さんにも食べさせて。一つで5分は吐息が凍れへんようになるからって。」、(わかったべ、そういうことなんずらね!)零はポケットからPINOアイスを取り出すと自分の口に入れ、疾風の肩を叩き
「疾風部長、吐息が凍って目印になってしもてるずら。これ口に入れてけろ!」
とPINOを疾風のフェイスマスクを下げ口に入れた。
疾風の吐息が目立たなくなった。

 そして「ヘイヘ」が教えてくれたポイントを指さした。
「疾風部長、あそこのパレットの裏に3人いるべ。3つの吐息の煙が見えるべか?」
疾風はスコープを零の指さす方向に向け確認した。
「零ちゃん、わかった。でもまだ50メートルはあるな。今で開始10分。奴らの電動ガンのバッテリーも弱ってくる時間や!まあ、奴らもエアコッキングガンのハンドガンは持ってる可能性があるから、できれが25メートルまで引きつけて俺が狙撃する。
 もし、相手にこちらの位置がばれて一気に攻められたら、ハンドガン2丁で威嚇でええから、ぶち込んだってくれな!
 零の横で「ヘイヘ」が「その作戦でいいよ!」とニコニコしている。

 第1ゲーム開始から13分、「会敵!距離20!狙撃する!チキショウ!外れた!あっ、2人そっちに逃げよった!俺と隼も追撃戦に入る、オーバー!いくぞ隼!」、「あいよ、副長!」と二人の声がインカムに入った。

 「零ちゃん、この試合は3ゲームで2ゲーム先取の勝ち残りや!このゲーム最後やないから、接近戦に入る準備しといてくれな。次の狙撃で相手がこっちの位置に気づいて3人が攻めてきたら防御戦!奴らが逃げよったら追撃戦。2丁のハンドガンの有効射程は15メートルほどやから、相手の電動ガンが動かんようになって、相手がハンドガンぶっ放しよったら、一気に距離を詰めて撃つ!これを頭に置いておいといたってな。」
「はい、了解です。」
こちらからの死角になるパレット沿いに敵の吐息の白い煙が近づいてくる。パレットの山の隙間が5メートル開くポイントは、今いる狙撃ポイントから20メートル強!電動の連続射撃なら手堅く当たる距離だが、一発勝負の状況に疾風は緊張した。
 零に「ヘイヘ」は「いつでも行くよ!」と力強く声をかけてくれた。(ヘイヘさんがチャンスと思ったらいつでも入ってけろ!)零は強く頷いた。

白い敵の吐息が近づき、パレットの隙間にかかった。ササっと走って最初の敵が次のパレットの陰に隠れた。見える時間は0.5秒しかない。
二人目が顔を隙間からだし、きょろきょろっとあたりを確認する。こちらの場所を把握している感はない!「ぱしゅっ!」疾風の放った一発目は「コン」という音を立て、パレットに跳ね返された。素早くコッキングし、三人目がわたる瞬間に二発目を放った。残念ながら20センチほど外れた。
「くそっ!」
疾風は思わず声を上げてしまった!敵の3人がこちらに気づき、電動ライフルを向けて引き金を引いた。「カタ」と一瞬モーター音がしただけで、弾は2メートル先に力なく落ちた。

 冷静さを失った、敵はハンドガンを出し「パン」と3人が撃ったが見当違いな方向に飛んだ。やはりハンドガンで20メートルを超える精密射撃は無理のようだ。パレットの山の上から敵がコッキングに手間取るのが見えた。疾風は立ち上がり「うおぉぉぉ!」と叫ぶとパン、パンと二丁のハンドガンを連続して撃った。そのうち一発が相手の間近に当たり、相手はパニックを起こし逃げ出した。
「追うで!零ちゃん、ついてこい!」
疾風はハンドガンの2丁のコッキングをすますと、ライフルを両手で持ち、2.5メートルのパレットの山を飛び降り、敵を追った。

 すぐに疾風を追おうとした零を「ヘイヘ」が諫めた。必死で逃げる吐息はひときわ大きな煙となりどちらに進んでいくかが確認できた。(なるほど、コースを読んで先回りするずらね!)と冷静に判断を下す「ヘイヘ」に感心してると、「うわぁ!」と下から疾風の声が響いた。零と「飛燕」と「ヘイヘ」が下を覗き込むと右コーナーで凍った床に足を取られ疾風が転倒していた。「ほら、慌てるとそうなる!戦場では「熱い気持ち」と「冷めた頭」のバランスが大切だよ!彼は、ちょっとそこで頭を冷やしていてもらおう!零ちゃん、入るよ!」、(はい、「ヘイヘ」先生、おねげえしますだ!)

 「ヘイヘ」が憑依した零は、疾風の元に行くと
「零ちゃん、すまん、右手をひねった!俺のライフル使えるか?」
零(ヘイヘ)は、黙って頷くと、疾風のライフルを受け取り、さっき敵が逃げた方向を逆方向に走り出した。(「ヘイヘ」先生、逆では?)、「いや、あいつら、きっとあと30秒で屠龍君と隼君にぶち当たるはずだ!こっちから先に相手の逃亡ルートに回り、狙撃する!」と力強く語る「ヘイヘ」に安心感を覚えた。
 (あの数秒でそこまで判断してたんだべな!さすが、世界最強の陸軍兵士だべ!)



(あー、これは、ええ目印になってしまってるだ。もしかしてうちらも?)と疾風の方を見ると明らかに白い吐息が上がっている。
「零ちゃん、「ヘイヘ」はんがPINOアイスを口に入れろって言ってはるで!部長さんにも食べさせて。一つで5分は吐息が凍れへんようになるからって。」、(わかったべ、そういうことなんずらね!)零はポケットからPINOアイスを取り出すと自分の口に入れ、疾風の肩を叩き
「疾風部長、吐息が凍って目印になってしもてるずら。これ口に入れてけろ!」
とPINOを疾風のフェイスマスクを下げ口に入れた。
疾風の吐息が目立たなくなった。

 そして「ヘイヘ」が教えてくれたポイントを指さした。
「疾風部長、あそこのパレットの裏に3人いるべ。3つの吐息の煙が見えるべか?」
疾風はスコープを零の指さす方向に向け確認した。
「零ちゃん、わかった。でもまだ50メートルはあるな。今で開始10分。奴らの電動ガンのバッテリーも弱ってくる時間や!まあ、奴らもエアコッキングガンのハンドガンは持ってる可能性があるから、できれが25メートルまで引きつけて俺が狙撃する。
 もし、相手にこちらの位置がばれて一気に攻められたら、ハンドガン2丁で威嚇でええから、ぶち込んだってくれな!
 零の横で「ヘイヘ」が「その作戦でいいよ!」とニコニコしている。

 第1ゲーム開始から13分、「会敵!距離20!狙撃する!チキショウ!外れた!あっ、2人そっちに逃げよった!俺と隼も追撃戦に入る、オーバー!いくぞ隼!」、「あいよ、副長!」と二人の声がインカムに入った。

 「零ちゃん、この試合は3ゲームで2ゲーム先取の勝ち残りや!このゲーム最後やないから、接近戦に入る準備しといてくれな。次の狙撃で相手がこっちの位置に気づいて3人が攻めてきたら防御戦!奴らが逃げよったら追撃戦。2丁のハンドガンの有効射程は15メートルほどやから、相手の電動ガンが動かんようになって、相手がハンドガンぶっ放しよったら、一気に距離を詰めて撃つ!これを頭に置いておいといたってな。」
「はい、了解です。」
こちらからの死角になるパレット沿いに敵の吐息の白い煙が近づいてくる。パレットの山の隙間が5メートル開くポイントは、今いる狙撃ポイントから20メートル強!電動の連続射撃なら手堅く当たる距離だが、一発勝負の状況に疾風は緊張した。
 零に「ヘイヘ」は「いつでも行くよ!」と力強く声をかけてくれた。(ヘイヘさんがチャンスと思ったらいつでも入ってけろ!)零は強く頷いた。

白い敵の吐息が近づき、パレットの隙間にかかった。ササっと走って最初の敵が次のパレットの陰に隠れた。見える時間は0.5秒しかない。
二人目が顔を隙間からだし、きょろきょろっとあたりを確認する。こちらの場所を把握している感はない!「ぱしゅっ!」疾風の放った一発目は「コン」という音を立て、パレットに跳ね返された。素早くコッキングし、三人目がわたる瞬間に二発目を放った。残念ながら20センチほど外れた。
「くそっ!」
疾風は思わず声を上げてしまった!敵の3人がこちらに気づき、電動ライフルを向けて引き金を引いた。「カタ」と一瞬モーター音がしただけで、弾は2メートル先に力なく落ちた。

 冷静さを失った、敵はハンドガンを出し「パン」と3人が撃ったが見当違いな方向に飛んだ。やはりハンドガンで20メートルを超える精密射撃は無理のようだ。パレットの山の上から敵がコッキングに手間取るのが見えた。疾風は立ち上がり「うおぉぉぉ!」と叫ぶとパン、パンと二丁のハンドガンを連続して撃った。そのうち一発が相手の間近に当たり、相手はパニックを起こし逃げ出した。
「追うで!零ちゃん、ついてこい!」
疾風はハンドガンの2丁のコッキングをすますと、ライフルを両手で持ち、2.5メートルのパレットの山を飛び降り、敵を追った。

 すぐに疾風を追おうとした零を「ヘイヘ」が諫めた。必死で逃げる吐息はひときわ大きな煙となりどちらに進んでいくかが確認できた。(なるほど、コースを読んで先回りするずらね!)と冷静に判断を下す「ヘイヘ」に感心してると、「うわぁ!」と下から疾風の声が響いた。零と「飛燕」と「ヘイヘ」が下を覗き込むと右コーナーで凍った床に足を取られ疾風が転倒していた。「ほら、慌てるとそうなる!戦場では「熱い気持ち」と「冷めた頭」のバランスが大切だよ!彼は、ちょっとそこで頭を冷やしていてもらおう!零ちゃん、入るよ!」、(はい、「ヘイヘ」先生、おねげえしますだ!)

 「ヘイヘ」が憑依した零は、疾風の元に行くと
「零ちゃん、すまん、右手をひねった!俺のライフル使えるか?」
零(ヘイヘ)は、黙って頷くと、疾風のライフルを受け取り、さっき敵が逃げた方向を逆方向に走り出した。(「ヘイヘ」先生、逆では?)、「いや、あいつら、きっとあと30秒で屠龍君と隼君にぶち当たるはずだ!こっちから先に相手の逃亡ルートに回り、狙撃する!」と力強く語る「ヘイヘ」に安心感を覚えた。
 (あの数秒でそこまで判断してたんだべな!さすが、世界最強の陸軍兵士だべ!)

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