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「開場」

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「開場」

 大会当日、朝6時に門工校門前に零は立っていた。待ち合わせ時間は、6時半なのだが、早くに目が覚めてしまいどうにも我慢しきれず早くに来たのだった。5分もすると疾風と隼が、10分には屠龍と彗星も来た。
(やっぱりみんなワクワクしてるんだべな…。紫電先輩だけは「イタリア時間」なんだべかな?)と思うとすぐにクラクションの音が聞こえた。
「よー、みんな早いなー!レンタカー屋の開店と同時に車借りたから俺が一番やと思ってたのになー!まだ6時13分やで!」
と紫電がワゴン車で乗りつけてきた。

 午前7時の開場前に着いたのだが、すでに門の前に20台以上の車の列ができていた。ナンバーを見ると、関東や九州からのナンバーまでいる。大阪、奈良、京都ナンバーは2台だけだった。
 (地元有利が機能しそうだベ。幸い天気はもちそうだし、気温も低い。隼さんのサーモカメラ付きの偵察ドローンが活躍しそうだベ。あと、紫電さんの秘密兵器も…)零は武者震いした。

 予定より5分早い6時55分に門が開き、車を駐車場に入れた。隼が偵察を兼ね、32チーム、50数台の車のナンバーをチェックしていった。
「生駒BB-GUNをホームとしていそうな地元ナンバーは自分たちも含めて4
チーム。87%はこのフィールドは初めてか数回使ったくらいやろう。今からの事前視察でできることなんか限られてるから、これは追い風やぞ!」
と隼が皆に報告を入れると、疾風が
「みんな、今聞いた通りや。今から、今日の対戦表もらってくるから先に着替えといてくれな!」
と言うと、屠龍と一緒に大会事務局のテントの方に歩いて行った。

 零は彗星と一緒に女子更衣室に荷物を抱えて行った。零はサイクリングパンツとスポーツブラに着替え、オリーブドラブのTシャツと迷彩服に着替えた。すらっと背が高くグラマーな彗星は、パンティーまで迷彩柄だった。
「彗星先輩、ショーツまで迷彩柄なんですね。そんなのどこで売ってるんですか?」
「アマゾンで買ったよ!ズボンひっかけて破っちゃったときにピンクのパンツ見えたらええ的やんか!さすがにブラまではなかったけどな。」
とたわいもない話をしながら笑った。

 周りを見ると他に7人の女性選手が着替えをしている。OLっぽい20代半ばの人から使い込まれたウェアの50代くらいの人までがいる。初対面にもかかわらず、みんな笑顔で声を掛け合っている。
 ここ生駒で有名人と言う「のーの」という、こてこての大阪のおばちゃん選手に声をかけられた。
「えー現役JKなのー?かわいいー!持って帰りたーい!」
と零はいきなりハグされたうえ、キスまでされて困っていた。「のーの」のおかげで女子更衣室は和気あいあいとし、零と彗星は、女子参加者全員で一緒に記念写真を撮った。

 着替えを済ませてハウスに戻ると疾風と屠龍が難しい顔をしてA4サイズの紙を二人で覗き込んでいたのが視界に入った。
 (ん?なんかあったんだべか?)

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