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「エントリー受理」
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「エントリー受理」
4月25日、ゴールデンウイークを前にして、サバゲー部の部室は6人のままだった。全国大会出場を餌に部員募集をかけてみたものの、結果は残念なものに終わってしまっていた。
毎日、予選会場となるサバゲー場をシミュレーションして、屠龍と隼が作戦を立て直し、メンバーの配置と行動計画をテーブルの上で繰り返し、みながそれに意見を返すことを繰り返した。
部室での作業中、疾風のスマホが鳴った。メールの着信音だった。疾風は、メールを開き、ざっと目を通すと皆に笑顔で向き直った。
「おい、サバゲーチーム最強決定戦事務局からや。門工サバゲー部の推薦枠での参加が決定したぞー!予選会場は、俺らのホームフィールドの「生駒BB―GUN」や!
これは絶対に負けられへんで!屠龍、隼、3通りのフィールドに合わせたコンバットシミュレーション立ててくれな!」
零以外は「うぉーっ!」と盛り上がった。零は、意味が分からず疾風に尋ねた。
「疾風先輩、3通りのフィールドのシミュレーションってどういうことですか?「生駒BB-GUN」ってどんなサバゲー場なんですか?」
「あぁ、零ちゃんは行ったことないからわからんわな。ここから30分ほどのところにあるサバゲー場やねんけど、山の中にあるから、町のサバゲー場と違って、セットでの市街戦や地上戦だけやなくて、セットや人工物無しのほんまもんの山岳戦もできるんや。
それと、ここは何といっても、敷地内につぶれた大きい観光ホテルがあって、ほんまもんの建物での廃墟戦もできるのが特徴やで!大阪でも1、2を争う激熱フィールドなんや。これそこのパンフレットとマップや。見てみ。」
零は、疾風から渡されたパンフレットと手書きの書き込みが多数ある3つのフィールドのマップをテーブルに開いてみた。(山岳戦や廃墟戦ってどんなんだべか?)と山岳戦フィールドと廃墟戦フィールドのページで目が留まると、屠龍が追加で説明してくれた。
「零ちゃん、山岳戦では野生の動物も出るし、自然を利用したトラップも使える。地元の俺らはトラップポイントや狙撃手の待機ポイントを知ってる。待ち伏せ戦や、狙撃戦をやるにはポジショニングでアドバンテージがあるんや。わかるか?」
零は黙ってうなずいた。屠龍は解説を続けた。
「そんでもって、廃墟戦は場内地図が頭に入ってて体感してるもんとお初のもんとでは大きい差が出てくるからな。
かなり大きいホテルやから、非常階段や抜け道やロープ降下可能な場所を知ってると有利やぞ。
見晴らしポイントさえ押さえてしまえば、今回はインカム使用OKやから、隼が全体を指示する包囲殲滅戦やトラップを先に仕掛けりゃ追い込み戦も可能や。
ちなみにインカムを使うメリットとしては、見えへんところで仲間がヒットされたんが合法的(?)にわかるんやな。「痛たたた」って交信が入って後途切れたら、ヒットされたってことやな。意外とこれがありがたいんや。
あとは、デザートに「幽霊」がついてくるのも「おつ」ってなもんやな。」
零をからかうように、両手をよくあるお化けのイメージで両手を胸の前で垂らして見せた。零が異常にびくつく様子なので、心配して紫電がかばった。
「屠龍、零ちゃんビビッてしもてるやないか。それくらいにしたってよなぁ…。零ちゃん、安心してええで、「幽霊」が出るっちゅうても、そこのホテルで一家で自殺した社長とその家族の幽霊くらいや。
その社長家族の幽霊を見て、年に5、6人くらいが気が触れてしもたり、ゲーム中に神隠しに遭うくらいやからたいしたことあれへんって。
まあ「幽霊」出たら、「お経」唱えながら、フルオートで全弾叩き込んだったらええだけやからな!ははは!」
と気さくな笑顔で笑った。
4月25日、ゴールデンウイークを前にして、サバゲー部の部室は6人のままだった。全国大会出場を餌に部員募集をかけてみたものの、結果は残念なものに終わってしまっていた。
毎日、予選会場となるサバゲー場をシミュレーションして、屠龍と隼が作戦を立て直し、メンバーの配置と行動計画をテーブルの上で繰り返し、みながそれに意見を返すことを繰り返した。
部室での作業中、疾風のスマホが鳴った。メールの着信音だった。疾風は、メールを開き、ざっと目を通すと皆に笑顔で向き直った。
「おい、サバゲーチーム最強決定戦事務局からや。門工サバゲー部の推薦枠での参加が決定したぞー!予選会場は、俺らのホームフィールドの「生駒BB―GUN」や!
これは絶対に負けられへんで!屠龍、隼、3通りのフィールドに合わせたコンバットシミュレーション立ててくれな!」
零以外は「うぉーっ!」と盛り上がった。零は、意味が分からず疾風に尋ねた。
「疾風先輩、3通りのフィールドのシミュレーションってどういうことですか?「生駒BB-GUN」ってどんなサバゲー場なんですか?」
「あぁ、零ちゃんは行ったことないからわからんわな。ここから30分ほどのところにあるサバゲー場やねんけど、山の中にあるから、町のサバゲー場と違って、セットでの市街戦や地上戦だけやなくて、セットや人工物無しのほんまもんの山岳戦もできるんや。
それと、ここは何といっても、敷地内につぶれた大きい観光ホテルがあって、ほんまもんの建物での廃墟戦もできるのが特徴やで!大阪でも1、2を争う激熱フィールドなんや。これそこのパンフレットとマップや。見てみ。」
零は、疾風から渡されたパンフレットと手書きの書き込みが多数ある3つのフィールドのマップをテーブルに開いてみた。(山岳戦や廃墟戦ってどんなんだべか?)と山岳戦フィールドと廃墟戦フィールドのページで目が留まると、屠龍が追加で説明してくれた。
「零ちゃん、山岳戦では野生の動物も出るし、自然を利用したトラップも使える。地元の俺らはトラップポイントや狙撃手の待機ポイントを知ってる。待ち伏せ戦や、狙撃戦をやるにはポジショニングでアドバンテージがあるんや。わかるか?」
零は黙ってうなずいた。屠龍は解説を続けた。
「そんでもって、廃墟戦は場内地図が頭に入ってて体感してるもんとお初のもんとでは大きい差が出てくるからな。
かなり大きいホテルやから、非常階段や抜け道やロープ降下可能な場所を知ってると有利やぞ。
見晴らしポイントさえ押さえてしまえば、今回はインカム使用OKやから、隼が全体を指示する包囲殲滅戦やトラップを先に仕掛けりゃ追い込み戦も可能や。
ちなみにインカムを使うメリットとしては、見えへんところで仲間がヒットされたんが合法的(?)にわかるんやな。「痛たたた」って交信が入って後途切れたら、ヒットされたってことやな。意外とこれがありがたいんや。
あとは、デザートに「幽霊」がついてくるのも「おつ」ってなもんやな。」
零をからかうように、両手をよくあるお化けのイメージで両手を胸の前で垂らして見せた。零が異常にびくつく様子なので、心配して紫電がかばった。
「屠龍、零ちゃんビビッてしもてるやないか。それくらいにしたってよなぁ…。零ちゃん、安心してええで、「幽霊」が出るっちゅうても、そこのホテルで一家で自殺した社長とその家族の幽霊くらいや。
その社長家族の幽霊を見て、年に5、6人くらいが気が触れてしもたり、ゲーム中に神隠しに遭うくらいやからたいしたことあれへんって。
まあ「幽霊」出たら、「お経」唱えながら、フルオートで全弾叩き込んだったらええだけやからな!ははは!」
と気さくな笑顔で笑った。
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