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「門工サバゲー部」

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「門工サバゲー部」

 零は、部長と呼ばれる男と彗星と一緒に「門工サバゲー部」を書かれたボードが掛けられ、ドアには頬を撃ち抜かれる前の笑顔の「シモ・ヘイヘ」と黒のTシャツにキャップを被った「クリス・カイル」と日本陸軍最強の分隊長「舩坂弘」の写真が貼られていた。零が写真に見入っていると、彗星が零に尋ねた。
「あなた、この3人わかるん?」
「はい、もちろんだべ、いや、もちろんです。私のヒーローたちです。」
「あー、疾風部長、よかったなぁ!こりゃ筋金入りの新入生やわ!」
「せやな、俺は、門工サバゲー部の部長で中島疾風なかじま・はやて。君の名前は?」
「はい、三菱零みつびし・れいです。「三菱重工業」の「三菱」に「零式艦上戦闘機」の「零」で「みつびしれい」と読みます。今日からよろしくお願いします。」
「へー、いい名前やないの!うちの部にぴったしやな!まぁ、立ち話もなんやから、零ちゃんは先に入ってや。疾風部長は、飲み物買ってきたってな。」
と彗星は言い、部室のドアを開け、零を中に誘った。

 零は出されたパイプ椅子に腰かけると、部屋の壁を見まわした。片方の壁にはモデルガンが、ミリタリーショップのようにかけられ、反対側のロッカーには、専門書や雑誌、ミリタリー系のコミックス、戦争映画のDVD等々、多種多様な本とDVDが並んでいた。下の段には標的やBB弾の箱、バッテリーが無造作に半透明の衣装ケースの中に入っているのが見える。
 部室の中を見回し目を輝かせている零を彗星は温かく見守った。(あー、初々しいなぁ…。小さくてかわいいし、人気者になりそうやなぁ。これは、年度初めから背は小さいけど「大物」ゲットやな!)

 そこに疾風が、3本のペットボトルを持って戻ってきた。
「えっと、何て呼ばせてもろたらええんかな?「三菱さん」って呼んだらええ?「零ちゃん」って呼んだら「セクハラ」かな?」
「いや、「れい」って呼んでください。今までもそうだったんで、その方がいいです。部長さんは何て呼ばせてもらったらいいですか?」
「あぁ、俺は「中島疾風なかじま・はやて」。陸軍4式戦と同じ名前やねん。さっきおった小さいのは似てへんけど双子の弟で「中島隼なかじま・しゅん」。名前の読みは「しゅん」やねんけど字は一式戦の「はやぶさ」といっしょやねん。「中島」が二人おるから、俺のことはみんな「疾風はやて」って名前で呼びよるわ。」
「じゃあ、「疾風部長はやてぶちょう」で良いですね。「疾風部長」と「さとせ先輩」って呼ばせてもらっていいですよね。」
「せやな、それでええよ。ちなみに「さとせ」は「愛知航空」の「愛知」に「彗星艦上爆撃機」の「彗星すいせい」や。ちなみに勧誘の時に居った大きい方が副部長で「川崎屠龍かわさき・とりゅう」。二式複座戦闘機と一緒の名前で、中ぐらいのやつが「川西紫電かわにし・しでん」。局地戦闘機「紫電11型」の「紫電」ちゅう名前やねん。」
と5人の部員の紹介を受けた。(へーえ、みんな旧日本軍の軍用機の名前にあっとるべ!まぁ、私もそんなもんやからいいべなぁ…。)零は自然と笑顔になった。疾風がテーブルに置いた3種の飲み物から零は紅茶を選び、丁寧にいただきますをしてキャップを開けた。

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