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第5話「カルシウムを補え!みんな大好きサーモンクリームコロッケ~その2~」

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第5話「カルシウムを補え!みんな大好きサーモンクリームコロッケ~その2~」

 「こんにちはー、なっちゃん、陽菜ちゃん、今日は勉強させてもらいにきたでー!うちのこども食堂のメンバーもお手伝いしたいっていうから一緒に来たから何でも言うたってや!僕は、なっちゃんが作ってるところをビデオにとらせてもらうけどええよね?」
と満によく似た、年の近いイケメン男子と40歳くらいのおばちゃんを連れてきた満が夏子に駆け寄り、両手をがっちりと握り挨拶をした。

 「おっ、まりあちゃん、夏子もやるやんけ!もうひとりもイケメンやから、これをきっかけに陽菜にもチャンスがあるんとちゃうか?」
「いやいや、直さん、そんな甘いもんとちゃうと思いますよ。なんせ夏子と陽菜ですから!」
と直とまりあが囁く中、夏子の指揮で仕込み作業が始まった。

 いつもタダでもらってくるパンの耳をミキサーで「粗挽き」のパン粉と「粉末状」のパン粉に挽きボウルに分けた。ミキサーに焼き豆腐と牛乳とサーモンペーストが投入されミキシングされた。そこに粉末パン粉を混ぜ合わせ、オレンジ色がかったペーストを鍋に移すと、マーガリンを投入し弱火にかけた。
「陽菜ちゃん、粘りがでるまでゆっくり焦げへんように混ぜてな。「ホワイトソース」もとい「サーモンソース」はクリームコロッケの具やから結構固めに煮詰めてくれたらええしな!火を止めたら、最後にサーモンフレークの瓶詰を入れたってな!」
と夏子が言うと、満の仲間も手伝いを始めた。
 満はビデオカメラを片手に、夏子についている。
「なっちゃん、凄い手際やな!普通、45人前って作れへんやろ?」
「うん、私、ここの大阪ニコニコプロレスの研修生もやってるから、元々、15人前とか作るんは苦になれへんねん!」
「へー、料理ができて、お財布に優しいレシピを作る頭があって、強くて、可愛いって完璧やん!将来、なっちゃんの旦那さんになる人は幸せやろなー!羨ましいよな!」
と満が褒めちぎるので夏子は耳まで赤くなった。

 次の鍋にスーパー宮崎でもらってきた、固まりかけのチーズに牛乳を足し、白ワインを入れた。
「なっちゃん、これは?」
「今日は、サーモンクリームコロッケ2つずつやから、ひとつはタルタルソースで、もうひとつはチーズフォンデュソースにしようと思ってんねんな。みゆきさんからも、「子供とおじいちゃん、おばあちゃんにしっかりとカルシウム取らせてね!」って言われてるから。
 骨ごとサーモンペーストに牛乳のホワイトソースのクリームコロッケに、チーズソース!鯵の骨せんべいを粉砕したふりかけの混ぜご飯がメインやねん。それに骨の「白焼き」の粉末を混ぜたホイップクリームのフレンチトーストケーキでさらに卵と牛乳の上乗せや!
 フレンチトーストは陽菜ちゃんの作品やねんけど、「パンの耳」を廃棄予定の傷もんのメロンパンの微細パン粉に牛乳と卵の溶いたんに漬け込んで、グリルで焼いてるからあとでみんなで食べような!
 最終的に、買ったもんは「鮭フレーク」と「焼き豆腐」と「牛乳」と「マーガリン」と「卵」と「生クリームの元」とタルタルの「マヨネーズ」と「玉ねぎ」くらいかな?添えのキャベツの千切りもレタスもスーパーでもらってきた廃棄の外葉のきれいなとこ使ってるから、今日は予備も含めて55食で3000円程やで!」
 
 夏子の説明を受け、満は感心して夏子の顔を見つめた。
「僕、なっちゃんの・・・・・・好きやで」!
と満が夏子に言ったが「なっちゃーん!陽菜ちゃーん!お手伝いに来たでー!」と配食担当の子供たちが入ってきたので肝心な部分が夏子の耳には届かなかった。(えっ、今、何て言われたん?確かに「なっちゃん」と「好きやで」って言われたよな!ぎょへー、いきなりの愛の告白かー!きゃー、どうしよう!)夏子は真っ赤になった。

 クリームコロッケの揚げ作業に入り、配食用の弁当箱に、「骨ふりかけご飯」が盛られ、敷かれたレタスの上にサーモンのクリームコロッケが二つ並べられ、タルタルソースとチーズフォンデュソースがかけられた。別添えでフレンチトーストケーキを子供たちが持って配達にむかった。
 夏子は、満たち3人と、直とまりあに配膳した。満が積極的に夏子に話しかけ、夏子がもじもじしながら受け答えをするのを目を細めて見守っていた。まりあは、サーモンのクリームコロッケに舌鼓を打っている。
「陽菜、今日のご飯も大成功やな!ちなみに今日の総カロリーはなんぼや?」
「うん、ご飯とコロッケで600キロカロリー。ケーキが250キロカロリーくらいかな。まあ、おじいちゃん、おばあちゃんはご飯少な目やから750キロカロリーくらい。まあ、今日も炭水化物のオンパレードですからね!」
「そうか、先に聞いといてよかったわ。サーモンのクリームコロッケにタルタルとチーズソースが合うから普通に食べたらこれの倍はいってしまいそうやもんな!今日も「悪魔飯」認定やな!あとで来る稀世には気をつけろよ!」
とまりあが言うと、
「あれ、さっき稀世姉さんふたつお弁当持って帰らはりましたけど?三朗兄さんの分とふたつやなかったんですかねぇ?」
と陽菜が返事をした。

 そこに、三朗が顔を出した。陽菜がとっさに質問した。
「あれ、三朗兄さん、ついさっき、稀世姉さんがお弁当二つ持って帰ったんですけど、もう食べはったんですか?」
「いや、今日は、東京で修行してた時の寿司職人の先輩が大阪に来るんで、飲みにいくから稀世さんにご飯は外で食べて来るって言うてきたんやけど…?」
と答えるとまりあが呟いた。
「稀世、またやりやがったな!これは絶対確信犯やな!明日は10キロ走らせたらなあかんな!」

 夕方5時になり、子供たちと高齢者が集まりだし、賑やかな食事会になった。直から、夏子と陽菜の工夫で一日分のカルシウムがこの一食で取れる旨が説明され、美味しく全員が「ごちそうさまでした。」と夏子と陽菜に手を合わせた。
 今日も夏子と陽菜は利用者にモテモテで「なっちゃん、僕と結婚してー!」、「陽菜ちゃん、わしと一緒にならへんか?」と求婚されまくった。
 一通りの利用者が帰った午後7時。満が夏子にお礼を言いに来た。
「なっちゃん、今日はありがとう。凄い勉強になったわ。それにしても、なっちゃんは凄い人気者やねんな。めっちゃプロポーズされまくってたやん!」
 夏子は、真っ赤になって
「まあ、いつものことやねん。プロポーズって言っても、子供とおじいちゃんばっかりやからな…。満君から言われたらうれしいねんけど…。私、満君の事好きになってしもたみたいやねんけど…。調理中に私の事「好き」って言ってくれたよね?」
とか細い声で呟くと
「カラカラカラ!なっちゃんのそういうリップサービスがもてる秘訣なんやろね!「なっちゃんの一生懸命作ってる料理に対する姿勢が好き」って言ったんですよ!」
と言って、一緒に来ていたおばさんともう一人のイケメンを呼んで夏子に言った。
「僕、彼女と結婚するんです。一緒に福祉活動で頑張ろうってね!ちなみに、こいつは僕の双子の弟なんやけど「ゲイ」なんでごめんね!」

 力なく、へたり込む夏子を見て、「ぎゃははは!」、「げらげらげら!」と直とまりあが腹を抱えて笑う声がニコニコ商店街にこだました。

第5話 おしまい


「サーモンクリームコロッケ」




「サーモン&コーンクリームコロッケ」




「クリームコロッケカレー」





『悪魔飯!夏子と陽菜のこども食堂&福祉配食奮闘記!~ハイカロリー「めしテロ」日誌~』完結





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