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五章 食べるんだ
八十八話
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「ここで休憩してお昼ごはんを食べるって感じで良いっスか?」
最奥を右回りで壁際を進む事にした。行けるところまで行って、時間になったら脱出の指輪を使えば良いので随分と気が楽になった。
今、休憩をとろうとしているのは、最奥の突き当たりからしばらく歩いたところにあった小部屋だ。
エネミーも宝箱も無いがらんどうだったから、ひょっとしたらセーフゾーンなのかもしれない。
まあ、誰かがエネミーを倒した後で、休憩中にリポップするかもしれないから、最低限の警戒はしながら食事を始める。
メニューは変わらず購買のおにぎりだ。やっぱり米が旨い。
俺は手早く食べ終わり、今日歩いた場所を地図に落としこんでいく。地形なんかはちょこちょこ書いているけど、エネミーの分布や宝箱の位置なんかは休憩の時に清書しているんだ。
「けっこう詳しく書き込むんですね」
作業に没頭していると、珍しく天子田さんが話しかけてきた。
まあ、話しかけてきた事より、俺の何倍もあったはずの食事を、既に食べ終わっていることの方が驚きなんだけどね。
さすがに本人には言わないけど。
「斥候課は地図も提出物だからね。精度が上がれば成績にも反映されるんだ」
「へえ、そうなんですね」
地図を作るのはそれなりに大変な作業だ。専門の計器を使う暇はないので、歩数を数えたりして測るんだけど、エネミーとの戦闘が始まると分からなくなってしまうこともよくある。
二階層みたいな迷宮型のダンジョンは、数値が狂うと整合性がとれなくなってしまい、謎の空間が地図上にできたりすることもしばしばだ。
まあ、脅威度の高いダンジョンは空間自体がおかしくなってる事もよくあるそうだ。地図が狂ってて正解な事もあるらしいから困ったものだ。
「そう言えば、支援課ってどんなテストするの?」
「支援課のテストですか?テストは筆記で素材やアイテムの名前や効果なんかです」
「へえ」
支援課は実技テストは無いみたいだ。まぁ、色んな形で探索の支援をする冒険者を育成する課だから、画一的なテストが出来ないのかもしれないな。
その中でもアイテム関連は必須の知識なんだろうな。
「そう言えばそろそろ期末だね」
「そうですね」
「憂鬱っスよ。テストなんて無くなれば良いんスよ」
「あぁ、吉根はおバカだからなぁ」
「小幡君、そんなこと言ったら悪いよ」
いつの間にか食べ終わった吉根がテストと聞いてテンションを下げていた。
中間テストの時に赤点ギリギリだったって言っていたからな。普段から勉強してるとこなんて見たこと無いし、そりゃテストの話題なんて嫌だろう。
「いやぁ、おバカは本当の事なんで大丈夫っスよ。実技なんかはなんとかなるけど、普通の科目がヤバいっス」
「じゃあ、テスト期間で部活が休みになったら一緒に勉強する?」
「良いんスか!?」
「もちろん。今回は実技の方はスキルを取得したから、テストは免除されるから余裕があるんだ」
マッピングや解錠など、実技にかんしてはスキル化されてれば試験は免除される。だけど、授業の時なんかの提出物はキチンとやってないとダメだけどね。
それに、俺もテスト勉強はしないとダメだから、一緒にやれば捗るかもしれないからね。
「マジっスか。是非お願いするっス!」
「オッケー!」
「あ、あの。私も一緒して良いですか?」
意外な事に天子田さんもテストに自信が無いからと、勉強会に参加したいと申し出てきた。
こちらとしては断る理由もないから了承することにした。
「じゃあ、テスト期間に入ったら図書室で勉強会しよう」
「オッケーっス」
「お願いします」
こうして勉強会をすることが決まった。
ちなみに市場君と泉ヶ丘さんは元々成績が良く、二人で勉強するらしいので不参加だ。
リア充は爆発して欲しいよね。
最奥を右回りで壁際を進む事にした。行けるところまで行って、時間になったら脱出の指輪を使えば良いので随分と気が楽になった。
今、休憩をとろうとしているのは、最奥の突き当たりからしばらく歩いたところにあった小部屋だ。
エネミーも宝箱も無いがらんどうだったから、ひょっとしたらセーフゾーンなのかもしれない。
まあ、誰かがエネミーを倒した後で、休憩中にリポップするかもしれないから、最低限の警戒はしながら食事を始める。
メニューは変わらず購買のおにぎりだ。やっぱり米が旨い。
俺は手早く食べ終わり、今日歩いた場所を地図に落としこんでいく。地形なんかはちょこちょこ書いているけど、エネミーの分布や宝箱の位置なんかは休憩の時に清書しているんだ。
「けっこう詳しく書き込むんですね」
作業に没頭していると、珍しく天子田さんが話しかけてきた。
まあ、話しかけてきた事より、俺の何倍もあったはずの食事を、既に食べ終わっていることの方が驚きなんだけどね。
さすがに本人には言わないけど。
「斥候課は地図も提出物だからね。精度が上がれば成績にも反映されるんだ」
「へえ、そうなんですね」
地図を作るのはそれなりに大変な作業だ。専門の計器を使う暇はないので、歩数を数えたりして測るんだけど、エネミーとの戦闘が始まると分からなくなってしまうこともよくある。
二階層みたいな迷宮型のダンジョンは、数値が狂うと整合性がとれなくなってしまい、謎の空間が地図上にできたりすることもしばしばだ。
まあ、脅威度の高いダンジョンは空間自体がおかしくなってる事もよくあるそうだ。地図が狂ってて正解な事もあるらしいから困ったものだ。
「そう言えば、支援課ってどんなテストするの?」
「支援課のテストですか?テストは筆記で素材やアイテムの名前や効果なんかです」
「へえ」
支援課は実技テストは無いみたいだ。まぁ、色んな形で探索の支援をする冒険者を育成する課だから、画一的なテストが出来ないのかもしれないな。
その中でもアイテム関連は必須の知識なんだろうな。
「そう言えばそろそろ期末だね」
「そうですね」
「憂鬱っスよ。テストなんて無くなれば良いんスよ」
「あぁ、吉根はおバカだからなぁ」
「小幡君、そんなこと言ったら悪いよ」
いつの間にか食べ終わった吉根がテストと聞いてテンションを下げていた。
中間テストの時に赤点ギリギリだったって言っていたからな。普段から勉強してるとこなんて見たこと無いし、そりゃテストの話題なんて嫌だろう。
「いやぁ、おバカは本当の事なんで大丈夫っスよ。実技なんかはなんとかなるけど、普通の科目がヤバいっス」
「じゃあ、テスト期間で部活が休みになったら一緒に勉強する?」
「良いんスか!?」
「もちろん。今回は実技の方はスキルを取得したから、テストは免除されるから余裕があるんだ」
マッピングや解錠など、実技にかんしてはスキル化されてれば試験は免除される。だけど、授業の時なんかの提出物はキチンとやってないとダメだけどね。
それに、俺もテスト勉強はしないとダメだから、一緒にやれば捗るかもしれないからね。
「マジっスか。是非お願いするっス!」
「オッケー!」
「あ、あの。私も一緒して良いですか?」
意外な事に天子田さんもテストに自信が無いからと、勉強会に参加したいと申し出てきた。
こちらとしては断る理由もないから了承することにした。
「じゃあ、テスト期間に入ったら図書室で勉強会しよう」
「オッケーっス」
「お願いします」
こうして勉強会をすることが決まった。
ちなみに市場君と泉ヶ丘さんは元々成績が良く、二人で勉強するらしいので不参加だ。
リア充は爆発して欲しいよね。
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