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五章 食べるんだ
八十四話
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「じゃあ、開けるって事で良いっスか?」
「ああ、大丈夫だ」
満場一致で隠し扉を開けることが決まった。
前回のエネミーネストをクリアしたことも自信になっている。ゴブリンくらいまでならなんとかなるからね。
「じゃ、開けるよ」
俺は扉の開閉ボタンを見付け、ポチリと押した。
壁の中から何か歯車が動く音が聞こえ、壁の一部が上へと上がっていく。
「噴水?」
中を覗くと、直径が2m程の噴水があった。中央から噴き出している水は、綺麗に澄みきっている。
「取り敢えず入ってみるっスか?」
「そうだね。危険は無さそうだ」
【危険察知】は反応しない。罠やエネミーの反応も無いので、俺は一歩入ってみた。
中央にある噴水に近付いても何も起きないから、手招きしてみんなに入ってきてもらう。
「なんか涼しいな。この噴水のせいかな?」
「じゃないっスか?マイナスイオン的なヤツっすかね?」
隠し部屋の中は通路より体感で2℃ほど涼しい。歩いたり戦闘したりで火照った身体には心地好く感じる。
「この水、随分と綺麗だけど飲めないかな?」
「どうっスかね?」
「ちょっと試してみるよ。天子田さん、悪いけど俺のコップ出してもらっていいかな?」
「あ、はい。どうぞ」
天子田さんから自分の荷物を受け取り、そこからアルミのマグカップ取り出す。噴き出している場所から水を汲み、クンクンと匂いを嗅いでみるけど、当然の如く無味無臭だった。
「あ、旨い」
とりあえず口を付けても【危険察知】が反応しないので、そのままゴクゴクと一気に飲み干した。軟水とか硬水とか難しいことは分からないけど、とにかく飲みやすくて美味しい水だった。
「マジっスか?オレも飲んでみるっス」
「じゃあ、オレも」
「はい、どうぞ」
ちょうど良いので休憩してお茶にしようということになった。
隠し扉は内側からも閉めれるようなので、エネミーが入ってこれないように閉めて、全員でその場に座り込んだ。
「あ、これポテチ。Wコンソメだけど食べる?」
「頂くっス」
「オレももらう。サンキュ」
「ありがと」
「ありがとう。いただきます」
一応、扉の方を警戒しておく。
ゴブリンはそこそこ手先が器用だから、扉を開けることが出来るかもしれないからね。
「なあなあ、昨日の大屋敷先生のプライベートレッスンはどうだったんスか?」
隣に座った吉根が唐突に昨日の補習について聞いてきた。
「プライベートレッスンってなんだ?」
「そうっス。昨日部活サボって大屋敷先生の研究室に行ってたんスよ」
「大屋敷先生は魔法のエキスパート。個人授業は羨ましい」
吉根の話に市場君と泉ヶ丘さんも食いついてくる。
まあ、昨日の補習については口止めされてないから、話しても大丈夫か。
「昨日は【結界】を教えてもらったんだよ」
俺はポテチの袋を中心に、【結界】を展開する。
「へえ、【結界】っスか」
吉根がポテチを取ろうとするけど、【結界】に阻まれて取ることが出来ない。
市場君も面白がって、軽くトントンと叩いているけど、その程度だと破れたりはしない。
「なかなか硬いもんなんスね」
「大屋敷先生は握力だけで握り潰したけどな」
「スゲエな大屋敷先生」
「大屋敷先生は魔法だけじゃない」
きっと大屋敷先生のステータスはかなり高いんだろうな。もしくは素の握力が強いのか。
「もうちょい熟練度上げたら実戦で使えるようになるから、そしたら天子田さんの安全性もマシになるからね」
「あ、ありがとう」
いくら盾を持っているからといって、非戦闘員の天子田さんがパーティーするウィークポイントには違いないからね。乱戦になったときの対応策はいくらあっても良いだろう。
「ああ、大丈夫だ」
満場一致で隠し扉を開けることが決まった。
前回のエネミーネストをクリアしたことも自信になっている。ゴブリンくらいまでならなんとかなるからね。
「じゃ、開けるよ」
俺は扉の開閉ボタンを見付け、ポチリと押した。
壁の中から何か歯車が動く音が聞こえ、壁の一部が上へと上がっていく。
「噴水?」
中を覗くと、直径が2m程の噴水があった。中央から噴き出している水は、綺麗に澄みきっている。
「取り敢えず入ってみるっスか?」
「そうだね。危険は無さそうだ」
【危険察知】は反応しない。罠やエネミーの反応も無いので、俺は一歩入ってみた。
中央にある噴水に近付いても何も起きないから、手招きしてみんなに入ってきてもらう。
「なんか涼しいな。この噴水のせいかな?」
「じゃないっスか?マイナスイオン的なヤツっすかね?」
隠し部屋の中は通路より体感で2℃ほど涼しい。歩いたり戦闘したりで火照った身体には心地好く感じる。
「この水、随分と綺麗だけど飲めないかな?」
「どうっスかね?」
「ちょっと試してみるよ。天子田さん、悪いけど俺のコップ出してもらっていいかな?」
「あ、はい。どうぞ」
天子田さんから自分の荷物を受け取り、そこからアルミのマグカップ取り出す。噴き出している場所から水を汲み、クンクンと匂いを嗅いでみるけど、当然の如く無味無臭だった。
「あ、旨い」
とりあえず口を付けても【危険察知】が反応しないので、そのままゴクゴクと一気に飲み干した。軟水とか硬水とか難しいことは分からないけど、とにかく飲みやすくて美味しい水だった。
「マジっスか?オレも飲んでみるっス」
「じゃあ、オレも」
「はい、どうぞ」
ちょうど良いので休憩してお茶にしようということになった。
隠し扉は内側からも閉めれるようなので、エネミーが入ってこれないように閉めて、全員でその場に座り込んだ。
「あ、これポテチ。Wコンソメだけど食べる?」
「頂くっス」
「オレももらう。サンキュ」
「ありがと」
「ありがとう。いただきます」
一応、扉の方を警戒しておく。
ゴブリンはそこそこ手先が器用だから、扉を開けることが出来るかもしれないからね。
「なあなあ、昨日の大屋敷先生のプライベートレッスンはどうだったんスか?」
隣に座った吉根が唐突に昨日の補習について聞いてきた。
「プライベートレッスンってなんだ?」
「そうっス。昨日部活サボって大屋敷先生の研究室に行ってたんスよ」
「大屋敷先生は魔法のエキスパート。個人授業は羨ましい」
吉根の話に市場君と泉ヶ丘さんも食いついてくる。
まあ、昨日の補習については口止めされてないから、話しても大丈夫か。
「昨日は【結界】を教えてもらったんだよ」
俺はポテチの袋を中心に、【結界】を展開する。
「へえ、【結界】っスか」
吉根がポテチを取ろうとするけど、【結界】に阻まれて取ることが出来ない。
市場君も面白がって、軽くトントンと叩いているけど、その程度だと破れたりはしない。
「なかなか硬いもんなんスね」
「大屋敷先生は握力だけで握り潰したけどな」
「スゲエな大屋敷先生」
「大屋敷先生は魔法だけじゃない」
きっと大屋敷先生のステータスはかなり高いんだろうな。もしくは素の握力が強いのか。
「もうちょい熟練度上げたら実戦で使えるようになるから、そしたら天子田さんの安全性もマシになるからね」
「あ、ありがとう」
いくら盾を持っているからといって、非戦闘員の天子田さんがパーティーするウィークポイントには違いないからね。乱戦になったときの対応策はいくらあっても良いだろう。
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