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五章 食べるんだ

七十九話

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「ツクモもずいぶんとパワーアップしたもんだ」


 足下の角大蛇を見下ろして呟く。角大蛇はツクモに首を斬られて、一撃で力尽きてしまった。

 【能力閲覧】でツクモのステータスを見る。


 ツクモ
 種族:ウイングラット
 レベル:20/50
 進化:.100/100(竜の因子)

 ジョブ:魔法使い
 サブジョブ:
 サブジョブ:

 HP:350
 MP:860
 筋力:75
 魔力:180
 体力:55
 器用:60
 敏捷:98
 幸運:165


 いつの間にか進化値がいっぱいになっていた。これで、レベルもマックスになれば進化するみたいだ。

 その後に余計なものも見える気がするけど、気のせいだろう。

 ステータスも魔力の伸びが特に凄いな。今も新しく覚えた【風刃ウインドカッター】一発で角大蛇を首を落としていた。

 もう戦闘面ではこのダンジョンで苦戦するという事はないのかもしれないな。

 これは正直ありがたい。

 痛いのは嫌いだからね。学校を卒業してからも脅威度の低いダンジョン探索をして暮らしていきたい。


「よくやったな、ツクモ」
「ちぅ」


 頭を撫でると、得意げに鳴くツクモ。相変わらず可愛いな。

 出てきた宝箱を軽くチェックする。【偵察術】のおかげで罠や鍵の有無も即座に分かる。

 ただ、スキルの熟練度が低ければ、ミスする事もあるらしいから、開ける時は慎重にならざるを得ない。


「お、スキル珠が入ってたぞ。これは【電撃】だな」


 【偵察術】には簡単な鑑定の効果もある。ただ、一度見たことが無いと何か分からないのが、鑑定スキルとの違いかな。でも、スキル珠やポーション類なんかの見た目が同じようなのが多い物には有益だ。

 宝箱にはスキル珠の他には中級ポーションが入っていた。これはなかなかの当たりじゃないだろうか。


「これも、ツクモの幸運値が高いお陰かもね」
「ちぅ!」


 幸運値が何に影響があるか諸説あるらしいけど、ツクモみたいに高かったらアイテムのドロップも良いものがでる気がする。

 まあ、こればっかりは確かめようがないからね。気の持ちようってことで。


「さて、虚にあるアイテムもだいたいは回収したし、これからどうしようか?」
「ちぅ」
「そうだね、たまにはゆっくり歩いて戻ろうか」


 正直な話、このダンジョンでやれることはほぼ無くなった気がする。

 レベルも上げる必要が無いし、必要なスキルもほぼ取得した。金銭的な物も、この前の剣で稼いでしまったしね。

 向上心があればもっと高みを目指そうとも思うんだろうけど、そういう熱血タイプじゃないんだよね。

 慢心しすぎて留年しない程度に頑張っていきましょうかね。

 それに実技だけじゃなくて、普通の教科の勉強もあるしね。頭が良くなるようなステータスもあれば良いのになぁ。

 そんなつまらない事を考えながら、ダンジョンの入口へと歩いていくのだった。
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