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五章 食べるんだ

七十八話

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「これ、プレゼントよ」


 そう言って大屋敷先生に渡されたブレスレットを左手首につける。

 ステータスが急減し、怠さを感じる。


「ステータスを封じるアイテムよ。アナタの今のステータスだと、ここのダンジョンじゃ訓練にもならないからね」
「はぁ」
「ただ、この状態でもここのダンジョンは踏破できるし、スキルはそのまま使えるから、気をつけるのよ」
「はい」


 こうやって実習前に大屋敷先生に言われた意味が分かった。


「なんだこれ。楽過ぎるんだけど」


 そう思い、俺はステータスを呼び出す。


 ジョブ:上級テイマー
 サブジョブ:竜装騎士
 サブジョブ:

 HP:350
 MP:600
 筋力:275
 魔力:420
 体力:310
 器用:200
 敏捷:220
 幸運:1
 残りSP:107

 スキル:【危険察知】【テイム(2/5)】【魔獣使役】【能力閲覧】【育成】【武術】【偵察術】【魔法】【竜装】

 称号:竜神の加護


 ステータスを封じる減衰の輪の影響で、能力値自体はこの表示の一割になっているけど、それでも一年生としてはトップレベルだ。

 しかも、スキルは新しく獲得したり、今までのが進化や統合したりとまるで別物になっている。

 【武術】は【杖術】が進化統合したものらしい。戦闘に関する行動に補正がかかるみたいだ。昨日の戦闘実習で急に動きが良くなってて、担当の先生も驚いていた。

 【偵察術】 は【遠見】や【解錠】、【地図】なんかが統合されたもの。エネミーの気配が分かったり、罠の位置が把握できるうえに、罠や鍵を解除する事もできる。後は自分の気配を消すこともできるみたいだ。中堅以上の斥候には必須のスキルだけど、高校生の内に取得している人はほぼいないようだ。

 【魔法】は系統に関わらず、魔法に関する事に補正がかかる。ただ、まだ魔法は憶えていないから、あんまり関係ないかな。

 【テイム】は上級テイマーになった事で、従魔の枠が5まで拡大した。パーティーメンバーを全て従魔にすることも可能になった訳だ。

 大屋敷先生とも相談して、高校在学中は基本的に従魔を増やさない事にした。学校には脅威度3までのダンジョンしかないから、強いエネミーを従魔にすることができないからね。卒業までのお楽しみだ。

 最後に【竜装】だけど、これは今一つどういったスキルなのか分からない。大屋敷先生も知らないスキルのようで、異世界独自のスキルの可能性があるとのこと。

 今は発動条件が満たされていないようで、使うことが出来ない状態だ。使えるようになったら大屋敷先生にレポートを提出するように言われている。

 竜神の加護?知らない子ですネ。

 さて、これだけのステータスやスキルがあると、斥候実習はやる意味が薄れてくる。

 チェックポイントが書かれたプリントをもらうと、すぐ脳内にこの階層の地図が浮かぶ。しかも、近付けば周辺にいるエネミーも脳内地図上に表示され、回避するも奇襲をかけるも自由だ。

 エネミーとの戦闘も【武術】の補正もあって、棒で叩けば苦もなく駆除出来る。ツクモの出番がなくなり、ちょっと不貞腐れ気味だ。

 スタンプが入ってる箱の鍵もすぐに開く。

 初日の倍以上のチェックポイントに全て鍵がかかってる状態なのに、初日よりも早く終わってしまった。

 うん、本当に楽過ぎる。

 まあ、調子に乗ってるとまた酷い目に遇いそうだから、ダンジョンに潜るときはより一層気を引き締めるようにしよう。
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