68 / 91
四章 二体目ですよ
六十七話
しおりを挟む
「しまった、罠か!」
「ちぅ!」
一瞬で光が収まると、辺りは真っ暗な闇に閉ざされていた。
入口から入ってきていた光は無く、足下を照らしていたライトも消えていた。
それにさっきよりも身体が重く感じるな。
「転移罠だったのかな?【危険察知】に何の反応も無かったから油断したな。それにしてもここは何処だろ?身体が重いし、ひょっとしたらダンジョンの外に出ちゃったかな?」
「ちぅ?」
身体が重くなる感じは、いつもダンジョンから帰った時に感じる違和感と同じものの気がする。
ステータスで上がっていた身体能力が、地上に出た事で元に戻ったのかもしれない。
だとしたら、ライトも魔力が無いから消えたのかもしれないな。
今使ってるライトは周囲の魔力を使って光るのと他に、バッテリーに充電された電力でも明かりを点ける事が出来る。
ダンジョンに潜っている時は、バッテリー切れの心配が無い魔力を使っているけど、魔力が無い地上だと電力に切り替えれるんだ。
「えっと、切り替えのボタンは………これかな」
手探りでライトのボタンを押す。
電力に切り替えた事で、無事に明かりが点いた。やっぱりここは魔力が無い場所なんだな。
辺りを照すと、どうやらここは通路になってるみたいだ。前後にかなり長く道が続いていた。
地面を見たけど、転移の魔法円や魔道具の類いは見当たらない。完全に一方通行でこっからさっきの洞穴には戻れないようだな。
「やられたなぁ。これ、どっちに行けば良いんだ?」
「ちぅ」
どっちに向かうか迷っているとツクモが前方を指差した。
こういった事でツクモが積極的に自分の意見を表明するのは珍しい。
「こっちに行きたいの?」
「ちぅ」
確認すると、ツクモはしっかりと頷いた。
ライトで照らしても暗い通路が続くだけで、反対方向との違いが俺には分からない。
だったら、ツクモの言うことを聞くのも悪くないだろう。
「じゃあ、こっちに行こうか」
「ちぅ!」
俺は慎重に歩き始める。ここが地上だとしても安全とは限らないし、なにより【危険察知】の反応も鈍くなるからだ。
それに転移罠に引っ掛かった事からも分かるけど、たぶん【危険察知】は身の危険が無いと反応しないんだろう。
早く【罠感知】のスキルが欲しいな。
「それにしても、なんだか暑いし空気が乾燥してる気がするな」
「ちぅ」
空気が乾燥しているせいか喉がいがらっぽい。それになんだか暑いな。ちょっと汗ばんできた。
そろそろ夏が近いとはいえ、体感で40度近くある気がする。地上だとしても少しおかしい。行ったことは無いけど、砂漠みたいな空気だ。
休憩をとりたいけど、ある程度状況が分かるまでは動こうと歩き続ける。ライトのバッテリー容量は最大光量でも八時間はもつようになってるけど、出来る限り早くこの暗所から抜けたい。
通路は脇道も無く、かれこれ500mほど続いていた。
「なにか音がするな」
歩いていると、断続的に空気が流れるような音がしている事に気が付いた。
ひょっとしたら出口が近いのかもしれない。
走り出したい気持ちを抑えて、歩数をきっちり数えながら歩く。こういった時は焦ったらダメだと斥候の授業で耳にタコができるくらい聞かされているからね、
「おっ、広くなったな」
横幅も広くなり、天井も高くなった。圧迫感は無くなったけど、光が反射されなくなったからか余計に暗くなった気がするな。
周囲を照らしながらさらに進むと、奥に大きな塊があるのがぼんやりと分かる。
「なんだ、あれ」
「ちぅ」
大きな塊はライトの明かりを青く反射させている。
もっとよく見ようと近付いていくと、物語でしか見たことがない生き物だということが分かった。
「まさか、竜、なのか?」
「ちぅ!」
一瞬で光が収まると、辺りは真っ暗な闇に閉ざされていた。
入口から入ってきていた光は無く、足下を照らしていたライトも消えていた。
それにさっきよりも身体が重く感じるな。
「転移罠だったのかな?【危険察知】に何の反応も無かったから油断したな。それにしてもここは何処だろ?身体が重いし、ひょっとしたらダンジョンの外に出ちゃったかな?」
「ちぅ?」
身体が重くなる感じは、いつもダンジョンから帰った時に感じる違和感と同じものの気がする。
ステータスで上がっていた身体能力が、地上に出た事で元に戻ったのかもしれない。
だとしたら、ライトも魔力が無いから消えたのかもしれないな。
今使ってるライトは周囲の魔力を使って光るのと他に、バッテリーに充電された電力でも明かりを点ける事が出来る。
ダンジョンに潜っている時は、バッテリー切れの心配が無い魔力を使っているけど、魔力が無い地上だと電力に切り替えれるんだ。
「えっと、切り替えのボタンは………これかな」
手探りでライトのボタンを押す。
電力に切り替えた事で、無事に明かりが点いた。やっぱりここは魔力が無い場所なんだな。
辺りを照すと、どうやらここは通路になってるみたいだ。前後にかなり長く道が続いていた。
地面を見たけど、転移の魔法円や魔道具の類いは見当たらない。完全に一方通行でこっからさっきの洞穴には戻れないようだな。
「やられたなぁ。これ、どっちに行けば良いんだ?」
「ちぅ」
どっちに向かうか迷っているとツクモが前方を指差した。
こういった事でツクモが積極的に自分の意見を表明するのは珍しい。
「こっちに行きたいの?」
「ちぅ」
確認すると、ツクモはしっかりと頷いた。
ライトで照らしても暗い通路が続くだけで、反対方向との違いが俺には分からない。
だったら、ツクモの言うことを聞くのも悪くないだろう。
「じゃあ、こっちに行こうか」
「ちぅ!」
俺は慎重に歩き始める。ここが地上だとしても安全とは限らないし、なにより【危険察知】の反応も鈍くなるからだ。
それに転移罠に引っ掛かった事からも分かるけど、たぶん【危険察知】は身の危険が無いと反応しないんだろう。
早く【罠感知】のスキルが欲しいな。
「それにしても、なんだか暑いし空気が乾燥してる気がするな」
「ちぅ」
空気が乾燥しているせいか喉がいがらっぽい。それになんだか暑いな。ちょっと汗ばんできた。
そろそろ夏が近いとはいえ、体感で40度近くある気がする。地上だとしても少しおかしい。行ったことは無いけど、砂漠みたいな空気だ。
休憩をとりたいけど、ある程度状況が分かるまでは動こうと歩き続ける。ライトのバッテリー容量は最大光量でも八時間はもつようになってるけど、出来る限り早くこの暗所から抜けたい。
通路は脇道も無く、かれこれ500mほど続いていた。
「なにか音がするな」
歩いていると、断続的に空気が流れるような音がしている事に気が付いた。
ひょっとしたら出口が近いのかもしれない。
走り出したい気持ちを抑えて、歩数をきっちり数えながら歩く。こういった時は焦ったらダメだと斥候の授業で耳にタコができるくらい聞かされているからね、
「おっ、広くなったな」
横幅も広くなり、天井も高くなった。圧迫感は無くなったけど、光が反射されなくなったからか余計に暗くなった気がするな。
周囲を照らしながらさらに進むと、奥に大きな塊があるのがぼんやりと分かる。
「なんだ、あれ」
「ちぅ」
大きな塊はライトの明かりを青く反射させている。
もっとよく見ようと近付いていくと、物語でしか見たことがない生き物だということが分かった。
「まさか、竜、なのか?」
11
お気に入りに追加
189
あなたにおすすめの小説
チートスキルで無自覚無双 ~ゴミスキルばかり入手したと思ってましたが実は最強でした~
Tamaki Yoshigae
ファンタジー
北野悠人は世界に突如現れたスキルガチャを引いたが、外れスキルしか手に入らなかった……と思っていた。
が、実は彼が引いていたのは世界最強のスキルばかりだった。
災厄級魔物の討伐、その素材を用いてチートアイテムを作る錬金術、アイテムを更に規格外なものに昇華させる付与術。
何でも全て自分でできてしまう彼は、自分でも気づかないうちに圧倒的存在に成り上がってしまう。
※小説家になろうでも連載してます(最高ジャンル別1位)
転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった
お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。
全力でお母さんと幸せを手に入れます
ーーー
カムイイムカです
今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします
少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^
最後まで行かないシリーズですのでご了承ください
23話でおしまいになります
魔力吸収体質が厄介すぎて追放されたけど、創造スキルに進化したので、もふもふライフを送ることにしました
うみ
ファンタジー
魔力吸収能力を持つリヒトは、魔力が枯渇して「魔法が使えなくなる」という理由で街はずれでひっそりと暮らしていた。
そんな折、どす黒い魔力である魔素溢れる魔境が拡大してきていたため、領主から魔境へ向かえと追い出されてしまう。
魔境の入り口に差し掛かった時、全ての魔素が主人公に向けて流れ込み、魔力吸収能力がオーバーフローし覚醒する。
その結果、リヒトは有り余る魔力を使って妄想を形にする力「創造スキル」を手に入れたのだった。
魔素の無くなった魔境は元の大自然に戻り、街に戻れない彼はここでノンビリ生きていく決意をする。
手に入れた力で高さ333メートルもある建物を作りご満悦の彼の元へ、邪神と名乗る白猫にのった小動物や、獣人の少女が訪れ、更には豊富な食糧を嗅ぎつけたゴブリンの大軍が迫って来て……。
いつしかリヒトは魔物たちから魔王と呼ばるようになる。それに伴い、333メートルの建物は魔王城として畏怖されるようになっていく。
勇者に恋人寝取られ、悪評付きでパーティーを追放された俺、燃えた実家の道具屋を世界一にして勇者共を見下す
大小判
ファンタジー
平民同然の男爵家嫡子にして魔道具職人のローランは、旅に不慣れな勇者と四人の聖女を支えるべく勇者パーティーに加入するが、いけ好かない勇者アレンに義妹である治癒の聖女は心を奪われ、恋人であり、魔術の聖女である幼馴染を寝取られてしまう。
その上、何の非もなくパーティーに貢献していたローランを追放するために、勇者たちによって役立たずで勇者の恋人を寝取る最低男の悪評を世間に流されてしまった。
地元以外の冒険者ギルドからの信頼を失い、怒りと失望、悲しみで頭の整理が追い付かず、抜け殻状態で帰郷した彼に更なる追い打ちとして、将来継ぐはずだった実家の道具屋が、爵位証明書と両親もろとも炎上。
失意のどん底に立たされたローランだったが、 両親の葬式の日に義妹と幼馴染が王都で呑気に勇者との結婚披露宴パレードなるものを開催していたと知って怒りが爆発。
「勇者パーティ―全員、俺に泣いて土下座するくらい成り上がってやる!!」
そんな決意を固めてから一年ちょっと。成人を迎えた日に希少な鉱物や植物が無限に湧き出る不思議な土地の権利書と、現在の魔道具製造技術を根底から覆す神秘の合成釜が父の遺産としてローランに継承されることとなる。
この二つを使って世界一の道具屋になってやると意気込むローラン。しかし、彼の自分自身も自覚していなかった能力と父の遺産は世界各地で目を付けられ、勇者に大国、魔王に女神と、ローランを引き込んだり排除したりする動きに巻き込まれる羽目に
これは世界一の道具屋を目指す青年が、爽快な生産チートで主に勇者とか聖女とかを嘲笑いながら邪魔する者を薙ぎ払い、栄光を掴む痛快な物語。
孤児院で育った俺、ある日目覚めたスキル、万物を見通す目と共に最強へと成りあがる
シア07
ファンタジー
主人公、ファクトは親の顔も知らない孤児だった。
そんな彼は孤児院で育って10年が経った頃、突如として能力が目覚める。
なんでも見通せるという万物を見通す目だった。
目で見れば材料や相手の能力がわかるというものだった。
これは、この――能力は一体……なんなんだぁぁぁぁぁぁぁ!?
その能力に振り回されながらも孤児院が魔獣の到来によってなくなり、同じ孤児院育ちで幼馴染であるミクと共に旅に出ることにした。
魔法、スキルなんでもあるこの世界で今、孤児院で育った彼が個性豊かな仲間と共に最強へと成りあがる物語が今、幕を開ける。
※他サイトでも連載しています。
大体21:30分ごろに更新してます。
『スキルの素』を3つ選べって言うけど、早いもの勝ちで余りモノしか残っていませんでした。※チートスキルを生み出してバカにした奴らを見返します
ヒゲ抜き地蔵
ファンタジー
【書籍化に伴う掲載終了について】詳しくは近況ボードをご参照下さい。
ある日、まったく知らない空間で目覚めた300人の集団は、「スキルの素を3つ選べ」と謎の声を聞いた。
制限時間は10分。まさかの早いもの勝ちだった。
「鑑定」、「合成」、「錬成」、「癒やし」
チートの匂いがするスキルの素は、あっという間に取られていった。
そんな中、どうしても『スキルの素』の違和感が気になるタクミは、あるアイデアに従って、時間ギリギリで余りモノの中からスキルの素を選んだ。
その後、異世界に転生したタクミは余りモノの『スキルの素』で、世界の法則を変えていく。
その大胆な発想に人々は驚嘆し、やがて彼は人間とエルフ、ドワーフと魔族の勢力図を変えていく。
この男がどんなスキルを使うのか。
ひとつだけ確かなことは、タクミが選択した『スキルの素』は世界を変えられる能力だったということだ。
※【同時掲載】カクヨム様、小説家になろう様
はずれスキル『模倣』で廃村スローライフ!
さとう
ファンタジー
異世界にクラス丸ごと召喚され、一人一つずつスキルを与えられたけど……俺、有馬慧(ありまけい)のスキルは『模倣』でした。おかげで、クラスのカースト上位連中が持つ『勇者』や『聖女』や『賢者』をコピーしまくったが……自分たちが活躍できないとの理由でカースト上位連中にハメられ、なんと追放されてしまう。
しかも、追放先はとっくの昔に滅んだ廃村……しかもしかも、せっかくコピーしたスキルは初期化されてしまった。
とりあえず、廃村でしばらく暮らすことを決意したのだが、俺に前に『女神の遣い』とかいう猫が現れこう言った。
『女神様、あんたに頼みたいことあるんだって』
これは……異世界召喚の真実を知った俺、有馬慧が送る廃村スローライフ。そして、魔王討伐とかやってるクラスメイトたちがいかに小さいことで騒いでいるのかを知る物語。
異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる