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三章 平和って良いですね
二十一話
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「それじゃあ、お互いの端末にパーティー登録しようっス」
俺達は腕にはめている端末を出し、同時にボタンを長押しする。こうすることで、パーティーとして登録出来るんだ。成績にも関係するから、合同実習の時は必ず登録しなければいけない。
パーティー間での簡易ステータスの共有や、通話も出来るのでとても便利な機能でもある。
準備が終わり、出発する。他のパーティーも順次出発しているようで、スタート地点は人が少なくなっていた。
「さて、先ずはレベル上げでもするっスか?それともさっさと下層に向かった方が良いっス?」
歩きながら、吉根がそう聞いてきた。
正直、どっちでも良かったが、女子が二人もいるし、なにより他のパーティーより人数が一人少ない。だったら安全策をとって、少しレベルを上げてから進もうということになった。
俺としてもちょっと試したい事があるから、そっちの方が有り難かった。
試したい事と言うのは、もちろんツクモの【風魔法】のことだ。
「ツクモ、今度ビッグホッパーが出てきたら、風魔法で攻撃してみてくれ」
「ちぅ」
草むらゾーンで俺はツクモに指示を出す。ツクモは川上先輩に作ってもらった杖をスチャッと構えて頷いた。
可愛いし、良い子だ。
「右手からエネミーが来る。ビッグホッパーだったらツクモに迎撃させる!」
「了解っス!」
直後、出てきたのはビッグホッパーだった。それを確認したツクモは、すぐに俺の肩から飛び立った。そして、ビッグホッパーに向かって杖を振る。
「ちぅ!」
杖からは風が吹き、ビッグホッパーに当たる。
しかし、その威力はそよ風より少し強い程度だった。それでも、ビッグホッパーはバランスを崩して地面に落ちた。
「ツクモ、トドメだ」
「ちぅ」
ツクモは落ちたビッグホッパーの上に飛び乗り、頭にかじりついた。ほどなくしてビッグホッパーは魔石を落として消え去った。
「ツクモちゃんご苦労様っス」
「へー、ネズミなのに魔法なんて使えるんだ。すげえな」
「リク、その言い方は失礼」
「あ、そうか。すまんな」
「ツクモちゃんエライ」
パーティーメンバーはツクモの活躍を褒めてくれるが、即座にイチャつきだすカップルがいるな。
俺はビッグホッパーの魔石を拾って天子田さんに渡す。ドロップしたアイテムは一括で管理して学校に買い取ってもらい、その販売額を5人で均等に分ける事になっている。もし、欲しい物がドロップしたら、評価額にそって支払いをする事になる。
一階層の、それも普段俺達が実習で使っているような浅い部分は、やはりパーティーで行動すると過剰戦力だな。
苦労する事もなく林ゾーンに着いた。
ここからは俺もあんまり来たことない場所だ。ちょっと気を引き締めていかないといけないな。
そんな風に考えてる矢先に【危険察知】が反応する。
「気をつけろ、上からだ!」
「おう!」
ガサリと音がして、頭上の枝からエネミーが飛び降りてきた。ブッシュスネークだ。
「任せろっス!」
吉根は噛みつこうと襲い掛かってくるブッシュスネークを盾で地面に叩き落とし、ロングソードで首を切り落としてトドメを刺した。
「気を抜くな、まだ来るぞ!」
「よし、次はオレだ!」
違う枝から今度は2匹同時にブッシュスネークが襲ってくる。
市場君は戦斧を豪快に振り回し、2匹一度に魔石へ変えた。
「次は?」
「とりあえず終わりみたいだ」
「了解っス」
林ゾーンに入って、少し難易度が上がった気がするな。エネミーが連携している気がする。
まだ許容範囲だけど、やっぱり気を引き締めていかないとな。
俺達は腕にはめている端末を出し、同時にボタンを長押しする。こうすることで、パーティーとして登録出来るんだ。成績にも関係するから、合同実習の時は必ず登録しなければいけない。
パーティー間での簡易ステータスの共有や、通話も出来るのでとても便利な機能でもある。
準備が終わり、出発する。他のパーティーも順次出発しているようで、スタート地点は人が少なくなっていた。
「さて、先ずはレベル上げでもするっスか?それともさっさと下層に向かった方が良いっス?」
歩きながら、吉根がそう聞いてきた。
正直、どっちでも良かったが、女子が二人もいるし、なにより他のパーティーより人数が一人少ない。だったら安全策をとって、少しレベルを上げてから進もうということになった。
俺としてもちょっと試したい事があるから、そっちの方が有り難かった。
試したい事と言うのは、もちろんツクモの【風魔法】のことだ。
「ツクモ、今度ビッグホッパーが出てきたら、風魔法で攻撃してみてくれ」
「ちぅ」
草むらゾーンで俺はツクモに指示を出す。ツクモは川上先輩に作ってもらった杖をスチャッと構えて頷いた。
可愛いし、良い子だ。
「右手からエネミーが来る。ビッグホッパーだったらツクモに迎撃させる!」
「了解っス!」
直後、出てきたのはビッグホッパーだった。それを確認したツクモは、すぐに俺の肩から飛び立った。そして、ビッグホッパーに向かって杖を振る。
「ちぅ!」
杖からは風が吹き、ビッグホッパーに当たる。
しかし、その威力はそよ風より少し強い程度だった。それでも、ビッグホッパーはバランスを崩して地面に落ちた。
「ツクモ、トドメだ」
「ちぅ」
ツクモは落ちたビッグホッパーの上に飛び乗り、頭にかじりついた。ほどなくしてビッグホッパーは魔石を落として消え去った。
「ツクモちゃんご苦労様っス」
「へー、ネズミなのに魔法なんて使えるんだ。すげえな」
「リク、その言い方は失礼」
「あ、そうか。すまんな」
「ツクモちゃんエライ」
パーティーメンバーはツクモの活躍を褒めてくれるが、即座にイチャつきだすカップルがいるな。
俺はビッグホッパーの魔石を拾って天子田さんに渡す。ドロップしたアイテムは一括で管理して学校に買い取ってもらい、その販売額を5人で均等に分ける事になっている。もし、欲しい物がドロップしたら、評価額にそって支払いをする事になる。
一階層の、それも普段俺達が実習で使っているような浅い部分は、やはりパーティーで行動すると過剰戦力だな。
苦労する事もなく林ゾーンに着いた。
ここからは俺もあんまり来たことない場所だ。ちょっと気を引き締めていかないといけないな。
そんな風に考えてる矢先に【危険察知】が反応する。
「気をつけろ、上からだ!」
「おう!」
ガサリと音がして、頭上の枝からエネミーが飛び降りてきた。ブッシュスネークだ。
「任せろっス!」
吉根は噛みつこうと襲い掛かってくるブッシュスネークを盾で地面に叩き落とし、ロングソードで首を切り落としてトドメを刺した。
「気を抜くな、まだ来るぞ!」
「よし、次はオレだ!」
違う枝から今度は2匹同時にブッシュスネークが襲ってくる。
市場君は戦斧を豪快に振り回し、2匹一度に魔石へ変えた。
「次は?」
「とりあえず終わりみたいだ」
「了解っス」
林ゾーンに入って、少し難易度が上がった気がするな。エネミーが連携している気がする。
まだ許容範囲だけど、やっぱり気を引き締めていかないとな。
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