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二章 相棒です

十三話

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「昨日の授業で上位個体が出た。各自注意するように」


 白沢先生の説明が終わり、実習が始まった。内容は昨日とほぼ同じだけど、チェックポイントが更に一つ増えていた。

 それにしても、注意しろって言われても、どう注意すれば良いのか分からないな。冒険者になるなら自分で考えてどうにかしろって事なんだろうな。

 まぁ、昨日みたいに時間を稼げば誰か助けに来てくれるだろう。俺も誰かが襲われてたら助けに入るようにしよう。


「可愛い帽子ね、それ」
「あ、牛牧さん。これさっき鑑定から返ってきたんだけど、昨日ホーンラットからドロップしたヤツなんだ。角鼠帽ホーンラビットキャップだって」


 ブラックハウンドから助けてくれたうちの一人である、牛牧さんが声をかけてきてくれた。

 昨日の事があって、三人とは少し打ち解けていたんだ。

 角鼠帽は防御力が1とそんなに硬くないけど、その代わりに敏捷が1上がるので、俺達みたいな斥候にはぴったりな防具だ。


「へえ、良いわね。私も狙ってみようかしら」
「うん。良いと思うよ。他のエネミーも色々とドロップするみたいだし、ちょっと楽しみ」


 クラスメイトを見てると、ドロップしたであろう装備品をつけた人がちらほらいた。

 革鎧なんて装備してる人もいるから、今度からリュックを持参しようかな。本当は内容量が多くなる魔法鞄があれば良いけど、滅多に見付からないし、同然ながら買うと高い。

 牛牧さんとはすぐに別れた。チェックポイントの場所が全然違う方向だったからね。

 ブラックハウンドの件もあるし、何人かで固まって動いた方が良いのかもしれないけど、今日の授業内容だと少し難しいしね。

 最初のチェックポイントまではずっと草むらが続いていた。出てくるエネミーは当然のようにビッグホッパーとブッシュスネークだ。

 角鼠帽の敏捷+1のお陰か、ブッシュスネークの相手が昨日より楽だ。やっぱりステータスに補整がかかる装備は良いな。


「だけど、テイムは出来ないんだよなぁ」


 スキルの熟練度が足りないのか、単に俺が弱すぎるだけなのか分からないけど、一向にテイム出来る気配が無い。

 ちょっとだけビッグホッパーにもテイムをかけようか迷ったけど、正直、成功しても後の扱いに困りそうだからまだ我慢している。

 ビッグホッパーは最後どうしようもなくなるまでとっておこう。


「あ、レベルアップしてる」


 一つ目のスタンプを捺し、時間を確認しようと端末を見たら、レベルが3に上がっていた。HPが30、MPは20に上がっている。

 レベルは5になるまでは上がり易いって聞いてたけど、その通りみたいだな。


「これでテイムが成功すれば言うこと無いんだけどなぁ。それかスキル覚えたい」


 これだけ棒でエネミー倒してるんだから、そろそろ棒術スキル覚えないかな。そしたらブラックハウンドも倒せそうだけど。

 次のチェックポイントに向けて歩き始めると、草むらはすぐに途切れて、大きな岩がゴロゴロ転がっている場所に出た。


「ここで出てくるのは………、ホーンラットか!」


 【危険察知】が反応した方を見ると、ホーンラットがこちらを窺っていた。

 どうやら奇襲をかけようとしていたみたいだけど、俺の反応の方が速かった。

 ジャンプしようとしていたところに、棒で攻撃を加える。随分と力加減が上手くなった気がする。一発で戦闘不能に追い込むと、テイムをかける。


「ダメか。レベル上がったし、いけると思ったんだけどな。………ん?なんだ?あの白いの?」


 テイムに失敗したホーンラットに止めをさしていたら、少し先にある岩の影に白いものが見えた。


「エネミーか?でも【危険察知】に反応はないな。ちょっと見てみるか」


 俺はホーンラットの魔石を拾うと、白い何かの方へ向かった。
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