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一章 変身
13話
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「ダンジョンに入る前にここでちょっと休憩しましょうよ」
「そうですね。そうしましょう」
森を抜け、しばらく歩いていると下草が少なくなり、地肌が見えるようになってきた。
徐々に傾斜もキツくなり、山岳地帯になってきたところで、山肌に不自然なほど真っ暗な洞窟が見えてきた。
リコラ曰くここがゴーレムダンジョンだそうだ。
入口周辺には幾つか焚き火の跡があり、普段からダンジョンに挑む冒険者達の休憩場所として使われているようで、湧水を引いてきた水場もあった。
俺は適当な石に腰掛け、荷物の中からパンと二つの水筒を取り出した。
水筒の中身は、一つは水で、もう片方はスープだ。
スープは冒険者ギルドの食堂で販売しているもので、細かく刻まれた野菜と肉が入っている。
食堂で出た端材で作った物らしく、量り売りで水筒一杯200ゼニダという破格値だった。
「《加熱》」
コップに注いだスープを魔法で軽く温めると、一口すする。
「思ったより旨いな」
やはりおおきな鍋で端材とはいえ大量の食材で作られたのが旨さの秘訣なのだろうか。
たいした味付けをされてないようだが、午前中歩き回って疲れた身体に優しい味が染み渡る。
「うんうん、パンとの相性も良いな」
しっかり硬めに焼かれたパンをスープに付けて食べると、これまた旨い。
ふとリコラの方を見ると、彼女はバゲットに野菜やベーコンを挟んだサンドウィッチを食べていた。
ああいうのも旨そうだ。今度機会があったら作ってみようかな。
お互い小腹を満たす程度に食事を摂り、少し休憩する。
午前中の疲れがそれなりにとれたところで、後片付けをしたらいよいよダンジョンに向かう。
「それにしても真っ暗なんだな」
洞窟の中は、外からじゃ暗すぎて見ることが出来ない。
「魔素の関係で外から中は見えないけど、入っちゃえば普通だよ」
「本当に?」
「ホントホント。こんなことで嘘ついてもしょうがないじゃないのよ」
「それもそうか」
俺はダンジョンの中に一歩足を踏み入れると、リコラの言葉が本当だったことが分かった。
むしろ奥の方までぼんやりと明るく、普通の洞窟よりも歩きやすいかもしれない。
まぁ、洞窟自体入ったこと無いから何が普通かは分からないけどね。
「じゃあ、進みましょ」
後から掛けられたリコラの言葉に一つ頷くと、俺たちはゴーレムコアを求めてダンジョンの奥へと向かうのだった。
「そうですね。そうしましょう」
森を抜け、しばらく歩いていると下草が少なくなり、地肌が見えるようになってきた。
徐々に傾斜もキツくなり、山岳地帯になってきたところで、山肌に不自然なほど真っ暗な洞窟が見えてきた。
リコラ曰くここがゴーレムダンジョンだそうだ。
入口周辺には幾つか焚き火の跡があり、普段からダンジョンに挑む冒険者達の休憩場所として使われているようで、湧水を引いてきた水場もあった。
俺は適当な石に腰掛け、荷物の中からパンと二つの水筒を取り出した。
水筒の中身は、一つは水で、もう片方はスープだ。
スープは冒険者ギルドの食堂で販売しているもので、細かく刻まれた野菜と肉が入っている。
食堂で出た端材で作った物らしく、量り売りで水筒一杯200ゼニダという破格値だった。
「《加熱》」
コップに注いだスープを魔法で軽く温めると、一口すする。
「思ったより旨いな」
やはりおおきな鍋で端材とはいえ大量の食材で作られたのが旨さの秘訣なのだろうか。
たいした味付けをされてないようだが、午前中歩き回って疲れた身体に優しい味が染み渡る。
「うんうん、パンとの相性も良いな」
しっかり硬めに焼かれたパンをスープに付けて食べると、これまた旨い。
ふとリコラの方を見ると、彼女はバゲットに野菜やベーコンを挟んだサンドウィッチを食べていた。
ああいうのも旨そうだ。今度機会があったら作ってみようかな。
お互い小腹を満たす程度に食事を摂り、少し休憩する。
午前中の疲れがそれなりにとれたところで、後片付けをしたらいよいよダンジョンに向かう。
「それにしても真っ暗なんだな」
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「魔素の関係で外から中は見えないけど、入っちゃえば普通だよ」
「本当に?」
「ホントホント。こんなことで嘘ついてもしょうがないじゃないのよ」
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むしろ奥の方までぼんやりと明るく、普通の洞窟よりも歩きやすいかもしれない。
まぁ、洞窟自体入ったこと無いから何が普通かは分からないけどね。
「じゃあ、進みましょ」
後から掛けられたリコラの言葉に一つ頷くと、俺たちはゴーレムコアを求めてダンジョンの奥へと向かうのだった。
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