武者修行の仕上げは異世界で

丸八

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第2章

二話

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「本日はキール君と三郎さんのパーティー登録ですね」
「ワン!」
「ぴぃ」
「うふふ。そうね、シローちゃんとミドリちゃんも忘れたらいけないわね」

三郎とキールは食事の後、冒険者支援協会にパーティー結成を届け出にきた。
キールの提案を三郎が飲んだ形だが、三郎にとってもこれは渡りに船だった。
右も左も分からない不慣れな場所で一人活動するより、誰かと一緒の方が良いと判断したのだ。
それには人の良さそうなキールはうってつけだった。

「どちらがリーダーで登録しますか?」

二人の冒険者カードを端末に入れ、ルナは必要事項を入力していく。

「それは当然キール殿じゃ」

キールが口を開く前に、三郎がそう断言した。

「はい、承りました」

淡々と作業が進む。
キールは何か言いたそうに三郎の顔を見る。
それを察した三郎は、キールに向き直った。

「年齢などはさておき、キール殿の方がこの冒険者という稼業に於いては先達なのじゃ。
頭はキール殿の方が適任じゃろう?」
「でも!」

反論しようとするキールに、カウンターの向こうからも声がかかる。

「私もその方が良いと思いますよ。レベル的にもキール君の方が上ですからね。
あ、決して入力し直すのが面倒な訳じゃないですよ?」

二人から畳み掛けられ、キールはそれ以上一言も発する事が出来なかった。
慰めるようにシローが、肩を落とすキールの足を舐める。

「はい、登録完了しました。
お二人のパーティーには現在ランクEまでのミッションが発注出来ますが、どうされますか?」
「えっと、ミッションは何がありますか?」
「そうですね。ランクFでしたら、町内の配達や薬草採取。ランクEでしたら、アルミラージ討伐なんかどうですか?」

ルナは二人の前に三枚の紙を置いた。
紙にはミッションの内容が簡潔に書かれている。
ミッションには危険性や難易度、報酬の高低等でランクが決められている。
レベルも低く、大した実績の無い二人は、ランクの低いミッションしか受注する事ができない。

「三郎さん、どうしますか?」

キールが三郎の顔を窺う。

「頭はキール殿じゃ。判断はお任せ致す」

三郎は提示された紙を見ようともしない。
もっとも、見たところで何が書いてあるかすら分からないので、あまり意味は無いかも知れないが。

「では、アルミラージ討伐でお願いします」
「はい、承りました。では、アルミラージの討伐をお願いします」

ルナはミッションを入力し終えたカードを二人に返す。

「兎狩りか弓が欲しいな」

カードを受け取りながら、三郎が独りごちる。

「あら、でしたらお勧めの武器屋がありますよ」

そう言ったルナは何故か商売人の目をしていた。
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