後輩に貞操を狙われています。

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互いに無言のまま職員室まで辿り着き、鍵を返却した。

｢あ、あの…僕に何か用があったんじゃないんですか？｣

昇降口へと向かいながら、沢村の横顔を伺い見る。
智也は、何も言わない沢村に恐る恐る話し掛けてみる。
もしかしたらこのまま何の用事もなく解放してくれるかもしれないと淡い期待を抱いていた。

｢うーん、あると言えばあるかな。｣

と、突然前に回り込まれて

｢んぅ…？｣

智也の唇に柔らかいものが一瞬触れて離れた。
一瞬の事で、何が起きたのか分からなかった。

｢あああ、あの、な、にして｣

一拍おいて沢村の体を突き放す。
あまりのことに脳の処理が追いつかず、思わず吃ってしまった。

｢随分初心な反応するんだね。可愛いなぁ。｣

クスッと笑った沢村の顔が、もう一度近付いてくる。

「やめてくださいっ」

智也は思わず、ギュッと目を閉じた。

ふぅっと顔に息を吹きかけられた。

恐る恐る目を開けると、ニヤニヤと笑う沢村と目が合う。
耳まで真っ赤になった智也は、脱兎の如く逃げ出した。