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せみ
しおりを挟む交際し出して初めての夏。
半同棲だった頃にあきさんのマンションに一時帰宅した時のこと。
車にで待っていたらどこからともなく悲鳴が聞こえる。
当時のあきさんのマンションは深夜遅くてもそこそこ賑やかで、ド○キが近くにあることもあって表通りは10代後半~20代前半くらいの子達の声がよく響いていた。
なのでこの時も
「あー表で騒いでるんだろうな、若いなー」
くらいにしか受け止めてなかった。
しばらくして「上にあがって来て!」とあきさんから理由も明かされずに呼ばれる。
渋々あがると…
「…なにしてる?」
「あ、未里、あれ!あれ!あれなんだと思う!?」
指さす方を見ると黒い物体が玄関のすぐ横にいる。
せみだ。
「あれにどっか行って欲しいんやけど、ぴくりとも動かんと!何だと思う!?」
「せみじゃない?」
「未里見てくる?」
「やだよ、私も虫嫌いだもん」
そう。あきさんも私も大の虫嫌い。
玄関に立ちはだかるセミにどこかに行ってもらわないと、いつまでも家に入れない。
「ていうか、家に用があるのあきさんやん!ペッと行って、バッと荷物置いて来なよ!!」
「無理!生きてるかもやん!」
「壁にいるから生きてるだろね!」
そんな押し問答を10分程してあきさんが腹を括る。
「わかった、ライター近くに投げてセミを飛ばす」
一体なにがわかったんだろうか?
びびりながらもセミのすぐ横を目掛けて投げる。
カシャンッ
ライターが手から離れると同時に逃げるものだから、全然違うとこに当たる。
セミは微動だに動かない。
動かないことを確かめて、あきさんに「ライターを取って私にちょうだい。んで、そのまんま家に行ってき!今ので動かなかったから大丈夫だよ!」と促す。
そして再び腹を括ったあきさん。
ライターを拾って私に預け、玄関へと向かう。
鍵に手をかけたその瞬間
カシャンッッ!!!
いたずら心に火がついた私はセミの横に向かってライターを投げた。
当然、セミを狙ったわけではないから壁に乾いた音を響かせて当たる。
「ぬグゥわぁあぁあっ!!!」
聞いたこともないくらいでかい悲鳴をあげてあきさんが逃げてくる。
予想以上のリアクションに思わず爆笑してしまう。
この後あきさんには「やめてよねっ!」と言われたが、この時に先ほど聞こえて来た悲鳴とあきさんのものだったこたが反面する。
セミがいることに気づかず玄関まで行って、開ける前に気付いて悲鳴をあげていたらしい。
30代の男が1人で悲鳴をあげてるとこを想像するとさらに笑いが込み上げ、その声が駐車場に停めてる車の中にまで聞こえるくらいでかい声だったことがシュールすぎて我慢なんかできなかった。
◇結論◆
虫が動かないように気を配りながらそばを通ると、不意に驚かされたらあきさんはとんでもなくでかい声で悲鳴をあげる。
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