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第2章<鋼の心>編
61話「蘇る記憶」
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俺は異世界に戻り、影の一味並びに闇のティアマトと戦う決意をする。
相手がご先祖さまだろうと神様だろうと、マリーネや仲間達と協力して倒してみせる、そう決意したんだ。
それはそうと、俺は一体どうやって異世界に戻るのかと言うことが気になり、それを闇のティアマトに聞く。
「ところで、俺が異世界に戻るにはどうすれば良いんだ?」
「それについてだが……ちょっとだけここで待っててほしい。今から君の新しい身体を作るのでな。」
「わかった。俺の身体を作ってくれる事はありがたく思う。」
「では行こう。それとヒトミ、君と2人で話がしたい。良太郎君の身体を作りながら話をしよう。いいな?」
「ええ。」
行く……?行くってどこに行くんだろう?
「良太郎さん。この異空間に終わりは無く、何百万キロ、何千万キロと永遠に続いているのです。私とレンさんはここから数十キロほど離れた所に転移して、そこで貴方の肉体を作りますので、イブと共に少し待っててください。」
「あ、はい。」
「では……。」
「あ、あの……!」
俺は転移するヒトミさんを呼び止めようとするが、それが間に合わずにヒトミさんは闇のティアマトと共に転移してしまう。
「気にするな。闇のティアマトはヒトミに何もしないぞ。妻であるヒトミには手を出さないってのが奴のスタンスだ。悪党のくせにその辺は律儀な奴だからな。」
「は、はぁ……。」
イブさんがそう言うならそれで良いんだけど……。
「ここは異空間だが、厳密に言えば精神世界みたいな物だ。心から望めば欲しい物が手に入る。例えばこんな風にな。」
イブさんはこの空間についてそう説明すると右手を前に突き出し、掌の上にある物を出現させた。
「これは……プラモデル?1/100スケール QQガンバリオ……ですね。」
「あぁ。これはあれだ……お前が鬼として生きてた時代で積んでたプラモデルだ。この空間ではこんな風に、心から望めばプラモデルだろうと、三ツ星レストランで出される飯だろうと手に入る。人間や生き物は無理だがな。」
「プ、プラモデルとか三ツ星レストランとか知ってるんですね……。」
「この異空間に来てからは、お前の世界を観察するのが楽しみだったからな。」
そう言えば、イブさんがマリーネ達の前から消えたのは2年前だっけ?それからずっとこんな所にいたのか……。
「イブさんはマリーネ達の元に帰りたいと思わないんですか?」
「帰りたいな。愛弟子がモンスター共に果敢に立ち向かってる姿を見ると、育ての親としての性なのか、助けたくなっちまう。だが今の私は異世界には戻れない。レンの呪いによって「来る時」が来るまで異世界に戻れないらしいからな。」
「呪い?闇のティアマトはなんでそんな事を……。」
「お前の世界では、配信ゲームの強すぎるキャラは、運営に弱体化されるんだろ?それだ。」
それだ、と言われましても……いや、ゲーム的に考えるとすると、イブさんが強すぎて影の一味と人間側のバランスが悪いから、バランスを良くする為にイブさんをここに留めておいてるのか?
もし闇のティアマトが、俺がいた世界のゲームから着想を得てるのだとすると、彼はゲームマスターにでもなったつもりなのか?人がモンスターや影の一味に抗うのを邪魔しようなんて……許せない奴だ。
「俺はイブさんに異世界に戻って欲しいです。イブさんがいたら、死ななくてすんだ人がいると思うから……。」
「トーゴか。ここから見てたぞ。彼の死は……残念だったな。そして彼の魂はシャボン玉のように弾けて消えた。もう生まれ変わらない。」
「……俺からお願いしてみます。闇のティアマトに、イブさんを異世界に戻してくれって。そうすればもしかしたら……」
「……アイツがそれを許してくれると良いんだがな。」
……
「くっちゃべってるのも飽きてきた。何か別の事をしよう。」
「は、はい。何をしましょうか?」
「お前が望めばお前がいた世界の様子も見れるぞ。そろそろ林檎達も学校から帰ってお前の所にお見舞いに来る時刻だろう。」
「な、なんで分かるんですか?」
「時間が分かる魔術だ。この空間は時計が無いんでな。言っただろう?望めば手に入るって。魔力を持ってる人間なら魔術も手に入れる事ができる。」
「なるほど……。」
俺はこの空間にいる事の利便性に驚きつつ、心の底から強く願う、「林檎達の様子を見たい」と。
すると俺の目の前に四角い画面が現れ、そこに林檎、一真、花菜の様子が映し出される。
林檎達がいた場所は俺が入院してる病院であり、先程闇のティアマトに見せられた俺の病室に林檎達が来ていた。
「ほんとに俺のお見舞いをしてる……。」
でも声が聞こえないな、と思ったので、俺は声が聞きたいと強く願うと、3人の声も聞こえてきた。
眠る俺に話しかける林檎の声がよく聞こえる、久しぶりに聞く林檎の声だ。
「こんにちは良ちゃん。1人で寂しくなかった?あ、看護師がいつも看てくれてるからそんな事無いのかな?看護師さんは女性かな……浮気しちゃダメだよ?」
「ははっ、寝てちゃ浮気も何もないだろ。」
「そんな事言わない。」
「お、おう。悪かったな。」
林檎の言葉にツッコむ一真と、それを咎める花菜。
3人とも相変わらずって感じだ。
だがその時、花菜が林檎にある質問をする。
「ねぇ、アンタは良太郎の事許してるの?」
「え?」
え……許す……?
「そいつ、昔アンタの腹食いやぶって食い殺しかけたんでしょ?その件はもう許してるの?」
「……」
……それが花菜が林檎に聞いた質問だった。
そう、いつか見た俺の夢は現実に起こった事だし、マリーネとセリエに話したトラウマとはこの事である。
俺は鬼人の血に負け、マリーネを食った……。
相手がご先祖さまだろうと神様だろうと、マリーネや仲間達と協力して倒してみせる、そう決意したんだ。
それはそうと、俺は一体どうやって異世界に戻るのかと言うことが気になり、それを闇のティアマトに聞く。
「ところで、俺が異世界に戻るにはどうすれば良いんだ?」
「それについてだが……ちょっとだけここで待っててほしい。今から君の新しい身体を作るのでな。」
「わかった。俺の身体を作ってくれる事はありがたく思う。」
「では行こう。それとヒトミ、君と2人で話がしたい。良太郎君の身体を作りながら話をしよう。いいな?」
「ええ。」
行く……?行くってどこに行くんだろう?
「良太郎さん。この異空間に終わりは無く、何百万キロ、何千万キロと永遠に続いているのです。私とレンさんはここから数十キロほど離れた所に転移して、そこで貴方の肉体を作りますので、イブと共に少し待っててください。」
「あ、はい。」
「では……。」
「あ、あの……!」
俺は転移するヒトミさんを呼び止めようとするが、それが間に合わずにヒトミさんは闇のティアマトと共に転移してしまう。
「気にするな。闇のティアマトはヒトミに何もしないぞ。妻であるヒトミには手を出さないってのが奴のスタンスだ。悪党のくせにその辺は律儀な奴だからな。」
「は、はぁ……。」
イブさんがそう言うならそれで良いんだけど……。
「ここは異空間だが、厳密に言えば精神世界みたいな物だ。心から望めば欲しい物が手に入る。例えばこんな風にな。」
イブさんはこの空間についてそう説明すると右手を前に突き出し、掌の上にある物を出現させた。
「これは……プラモデル?1/100スケール QQガンバリオ……ですね。」
「あぁ。これはあれだ……お前が鬼として生きてた時代で積んでたプラモデルだ。この空間ではこんな風に、心から望めばプラモデルだろうと、三ツ星レストランで出される飯だろうと手に入る。人間や生き物は無理だがな。」
「プ、プラモデルとか三ツ星レストランとか知ってるんですね……。」
「この異空間に来てからは、お前の世界を観察するのが楽しみだったからな。」
そう言えば、イブさんがマリーネ達の前から消えたのは2年前だっけ?それからずっとこんな所にいたのか……。
「イブさんはマリーネ達の元に帰りたいと思わないんですか?」
「帰りたいな。愛弟子がモンスター共に果敢に立ち向かってる姿を見ると、育ての親としての性なのか、助けたくなっちまう。だが今の私は異世界には戻れない。レンの呪いによって「来る時」が来るまで異世界に戻れないらしいからな。」
「呪い?闇のティアマトはなんでそんな事を……。」
「お前の世界では、配信ゲームの強すぎるキャラは、運営に弱体化されるんだろ?それだ。」
それだ、と言われましても……いや、ゲーム的に考えるとすると、イブさんが強すぎて影の一味と人間側のバランスが悪いから、バランスを良くする為にイブさんをここに留めておいてるのか?
もし闇のティアマトが、俺がいた世界のゲームから着想を得てるのだとすると、彼はゲームマスターにでもなったつもりなのか?人がモンスターや影の一味に抗うのを邪魔しようなんて……許せない奴だ。
「俺はイブさんに異世界に戻って欲しいです。イブさんがいたら、死ななくてすんだ人がいると思うから……。」
「トーゴか。ここから見てたぞ。彼の死は……残念だったな。そして彼の魂はシャボン玉のように弾けて消えた。もう生まれ変わらない。」
「……俺からお願いしてみます。闇のティアマトに、イブさんを異世界に戻してくれって。そうすればもしかしたら……」
「……アイツがそれを許してくれると良いんだがな。」
……
「くっちゃべってるのも飽きてきた。何か別の事をしよう。」
「は、はい。何をしましょうか?」
「お前が望めばお前がいた世界の様子も見れるぞ。そろそろ林檎達も学校から帰ってお前の所にお見舞いに来る時刻だろう。」
「な、なんで分かるんですか?」
「時間が分かる魔術だ。この空間は時計が無いんでな。言っただろう?望めば手に入るって。魔力を持ってる人間なら魔術も手に入れる事ができる。」
「なるほど……。」
俺はこの空間にいる事の利便性に驚きつつ、心の底から強く願う、「林檎達の様子を見たい」と。
すると俺の目の前に四角い画面が現れ、そこに林檎、一真、花菜の様子が映し出される。
林檎達がいた場所は俺が入院してる病院であり、先程闇のティアマトに見せられた俺の病室に林檎達が来ていた。
「ほんとに俺のお見舞いをしてる……。」
でも声が聞こえないな、と思ったので、俺は声が聞きたいと強く願うと、3人の声も聞こえてきた。
眠る俺に話しかける林檎の声がよく聞こえる、久しぶりに聞く林檎の声だ。
「こんにちは良ちゃん。1人で寂しくなかった?あ、看護師がいつも看てくれてるからそんな事無いのかな?看護師さんは女性かな……浮気しちゃダメだよ?」
「ははっ、寝てちゃ浮気も何もないだろ。」
「そんな事言わない。」
「お、おう。悪かったな。」
林檎の言葉にツッコむ一真と、それを咎める花菜。
3人とも相変わらずって感じだ。
だがその時、花菜が林檎にある質問をする。
「ねぇ、アンタは良太郎の事許してるの?」
「え?」
え……許す……?
「そいつ、昔アンタの腹食いやぶって食い殺しかけたんでしょ?その件はもう許してるの?」
「……」
……それが花菜が林檎に聞いた質問だった。
そう、いつか見た俺の夢は現実に起こった事だし、マリーネとセリエに話したトラウマとはこの事である。
俺は鬼人の血に負け、マリーネを食った……。
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