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第2章<鋼の心>編
58話「目覚める鬼」
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俺は狂死郎と戦う決意を固め、目の前の敵を倒すべき敵だと判断する。
狂死郎が俺の先祖だろうと関係ない、こいつを放っておくと世界が危ない!
「じゃあ最後の試練だ。」
だがその時、彼がそう呟いた瞬間、俺の足元から何か音が聞こえた。そこそこの重量があるものが落ちる音だ。
「な……ッ!?」
その地面に落ちた物を見て俺は驚愕した。地面に落ちていたものは、俺自身の左腕だった。
その左腕を切り落としたのが地面から伸びる黒い触手だと言うことを理解するのに、そう時間はかからなかった。
「リョータロー君!」
「最後の試練だ。君には死んでもらう。」
「何だって……ッ!!」
俺に死ねと言うのか!?なんでそんな……と考えている隙にも触手は俺を攻撃してきて、俺はそれを避けるので精一杯だった。
「俺に仲間になって欲しいんじゃないのか!?気が変わったのか!?」
「うーん、君を仲間にするのはまだ諦めてないんだけどね、君には一旦死んで欲しいんだよ。」
「一旦」死んでもらう……?一旦も何も人は死んだらそれっきりなんだぞ……?死んだ人間が生き返るなんて……まさか!!
「お前……何を考えて……!!」
「それは死ねば分かるさ。ほら抵抗しないで。」
狂死郎はそう言いつつ、触手を操って俺の右腕すら切り落としてしまう。
これで俺は逃げる事しかできなくなった……。
それと、俺は狂死郎が考えている事がなんとなく分かった気がする。でもそれをして、狂死郎にどんなメリットがあるって言うんだ……?俺が狂死郎の思い通りになったあと、その後の事は俺には分からない……そう考えつつ、俺は脚部武装、ホイールゴローダーの機動力を活かして触手を回避する。
「何抵抗してるの?君を殺せないじゃないか。」
「そう簡単に命を投げ出せられるか!」
そうだ、もし仮に、本当に死ぬのは「一旦」だけで、その後生き返れたりするにしても……本当に生き返れるなんて保証はあるのか分からない。
そんなのリスクが高すぎる……俺の考えはこうだ、狂死郎は俺にティアマ……
「ぐ……ッ!!」
その瞬間、俺は脚を触手に破壊され、バランスを失ってしまう。それが命取りだった。
「さよなら。また会おう、良太郎君。」
それが俺が最後に聞いた狂死郎の言葉、狂死郎が出現させた無数の触手が俺を襲うのが、最後に見る光景となった____
◇
「リョータロー君!!」
私はただ、叫びをあげることしかできなかった。目の前でリョータロー君の身体が触手によってバラバラに切り刻まれる瞬間を、私はただ見てる事しかできなかった。
「リョータロー君……そんな……ッ!!」
私はまた失ったの……?大切な人を……!私の脳裏に、あの日の光景がフラッシュバックする。
地面に転がるアーサーのサンダル、それを見て私は彼の死を理解した。そして、両親の死も……あんな思いはもうしたくなかったのに、私はまた……!
「マリーネ!!」
「!」
「……落ち着いて……。」
その時、私に声をかけるセリエさん。その言葉を聞いて初めて、自分が呼吸を荒くし、パニック状態になっている事に気づいた。
「リーダー!!こいつらはどうする!?人質として今後役に立つんじゃねぇか?」
「そうだね。人間と何かしらの交渉をする時がくるかもしれない。その2人は僕達の手中に収めておく事に損は無いだろう。」
リョータロー君を殺したキョーシローとセンジュはそんなやり取りをする。
キョーシロー……よくもリョータロー君を……!
「そうね……大人しく……捕まっておくとしましょう……この拘束も……破れそうにないし……。」
セリエさんも諦めたような態度でそう言っている。特級冒険者のセリエさんがそう言うなんて、私達はこのままここで……
[5秒後に目をつぶって、私が名前を呼んだら石碑に向かって走り出す]
「!?」
……何今の……セリエさんの声が脳内に?これはセリエさんの魔術……?
「スパーク!!」
その瞬間、セリエさんがそう唱え、右手の平から眩い光を放つ。
「何……ッ!?」
それによって目くらましされる影の一味達。私はセリエさんの指示通り目をつぶっていたのでスパークの影響を受けずに済んだ。
「マリーネ!!」
「!!」
そして、セリエさんの声が聞こえたので、私は石碑の方に走り出す。
最初は「影の触手で拘束された状態でどうやってここから逃げるの……?」と思ってたけど、一か八か駆け出した時、私は影の紐がセリエさんの魔術で切り落とされていた事に気づく。
さっきの諦めたような態度は影の一味を騙す為の嘘だったのね……!
そうして、石碑の方に走っていった私とセリエさんは……。
「ここは……!!」
私はいつの間にか王国アストレアの王都外壁のすぐ側にいた。セリエさんも隣にいる。
セリエさんがワープゲートを発動して、私をここに転移させたのね!
「おぉマリーネ!?それにセリエ!?どうしたんだ!?」
「タウラス!」
「それが……」
そこにはタウラスがおり、いきなり
目の前に現れた私に困惑していたけど、私は彼に、センジュに連れ去られた時にあった事と、セリエさんの事も話した。
「そうか、敵のリーダーに会ったのか。それで、リョータローは?」
「それが……リョータロー君は……!」
◇
「……ここは……?」
俺はゆっくりと目を覚ます。確か俺は狂死郎にやられて……マリーネは?セリエさんは?いやそれよりも……ここはどこなんだ……?
俺は無限に広がる宇宙の中にいるような感覚だった。無数の星や、月、太陽が見える空間だ。呼吸はできるし、本当の宇宙空間じゃないのか?
そしてこの白い髪……俺は人、いや……鬼人だった頃の姿をしていた。
服は死んだ時に着てたのを着ている。
そして、その宇宙空間的な所でおかしい所が一つだけある。
「地球が……2つ……?」
そう、その宇宙空間的な所には、地球が2つあったのだ。俺の足元に一つ、頭の上に一つ。
ますます訳が分からい……誰かいないのか?そう考えていた時……。
「いるぞ。ここにな。」
「こんにちは、良太郎さん。」
そう言われて俺は後ろに振り向くと、そこには2人の女性がいた。この人達は一体……?
狂死郎が俺の先祖だろうと関係ない、こいつを放っておくと世界が危ない!
「じゃあ最後の試練だ。」
だがその時、彼がそう呟いた瞬間、俺の足元から何か音が聞こえた。そこそこの重量があるものが落ちる音だ。
「な……ッ!?」
その地面に落ちた物を見て俺は驚愕した。地面に落ちていたものは、俺自身の左腕だった。
その左腕を切り落としたのが地面から伸びる黒い触手だと言うことを理解するのに、そう時間はかからなかった。
「リョータロー君!」
「最後の試練だ。君には死んでもらう。」
「何だって……ッ!!」
俺に死ねと言うのか!?なんでそんな……と考えている隙にも触手は俺を攻撃してきて、俺はそれを避けるので精一杯だった。
「俺に仲間になって欲しいんじゃないのか!?気が変わったのか!?」
「うーん、君を仲間にするのはまだ諦めてないんだけどね、君には一旦死んで欲しいんだよ。」
「一旦」死んでもらう……?一旦も何も人は死んだらそれっきりなんだぞ……?死んだ人間が生き返るなんて……まさか!!
「お前……何を考えて……!!」
「それは死ねば分かるさ。ほら抵抗しないで。」
狂死郎はそう言いつつ、触手を操って俺の右腕すら切り落としてしまう。
これで俺は逃げる事しかできなくなった……。
それと、俺は狂死郎が考えている事がなんとなく分かった気がする。でもそれをして、狂死郎にどんなメリットがあるって言うんだ……?俺が狂死郎の思い通りになったあと、その後の事は俺には分からない……そう考えつつ、俺は脚部武装、ホイールゴローダーの機動力を活かして触手を回避する。
「何抵抗してるの?君を殺せないじゃないか。」
「そう簡単に命を投げ出せられるか!」
そうだ、もし仮に、本当に死ぬのは「一旦」だけで、その後生き返れたりするにしても……本当に生き返れるなんて保証はあるのか分からない。
そんなのリスクが高すぎる……俺の考えはこうだ、狂死郎は俺にティアマ……
「ぐ……ッ!!」
その瞬間、俺は脚を触手に破壊され、バランスを失ってしまう。それが命取りだった。
「さよなら。また会おう、良太郎君。」
それが俺が最後に聞いた狂死郎の言葉、狂死郎が出現させた無数の触手が俺を襲うのが、最後に見る光景となった____
◇
「リョータロー君!!」
私はただ、叫びをあげることしかできなかった。目の前でリョータロー君の身体が触手によってバラバラに切り刻まれる瞬間を、私はただ見てる事しかできなかった。
「リョータロー君……そんな……ッ!!」
私はまた失ったの……?大切な人を……!私の脳裏に、あの日の光景がフラッシュバックする。
地面に転がるアーサーのサンダル、それを見て私は彼の死を理解した。そして、両親の死も……あんな思いはもうしたくなかったのに、私はまた……!
「マリーネ!!」
「!」
「……落ち着いて……。」
その時、私に声をかけるセリエさん。その言葉を聞いて初めて、自分が呼吸を荒くし、パニック状態になっている事に気づいた。
「リーダー!!こいつらはどうする!?人質として今後役に立つんじゃねぇか?」
「そうだね。人間と何かしらの交渉をする時がくるかもしれない。その2人は僕達の手中に収めておく事に損は無いだろう。」
リョータロー君を殺したキョーシローとセンジュはそんなやり取りをする。
キョーシロー……よくもリョータロー君を……!
「そうね……大人しく……捕まっておくとしましょう……この拘束も……破れそうにないし……。」
セリエさんも諦めたような態度でそう言っている。特級冒険者のセリエさんがそう言うなんて、私達はこのままここで……
[5秒後に目をつぶって、私が名前を呼んだら石碑に向かって走り出す]
「!?」
……何今の……セリエさんの声が脳内に?これはセリエさんの魔術……?
「スパーク!!」
その瞬間、セリエさんがそう唱え、右手の平から眩い光を放つ。
「何……ッ!?」
それによって目くらましされる影の一味達。私はセリエさんの指示通り目をつぶっていたのでスパークの影響を受けずに済んだ。
「マリーネ!!」
「!!」
そして、セリエさんの声が聞こえたので、私は石碑の方に走り出す。
最初は「影の触手で拘束された状態でどうやってここから逃げるの……?」と思ってたけど、一か八か駆け出した時、私は影の紐がセリエさんの魔術で切り落とされていた事に気づく。
さっきの諦めたような態度は影の一味を騙す為の嘘だったのね……!
そうして、石碑の方に走っていった私とセリエさんは……。
「ここは……!!」
私はいつの間にか王国アストレアの王都外壁のすぐ側にいた。セリエさんも隣にいる。
セリエさんがワープゲートを発動して、私をここに転移させたのね!
「おぉマリーネ!?それにセリエ!?どうしたんだ!?」
「タウラス!」
「それが……」
そこにはタウラスがおり、いきなり
目の前に現れた私に困惑していたけど、私は彼に、センジュに連れ去られた時にあった事と、セリエさんの事も話した。
「そうか、敵のリーダーに会ったのか。それで、リョータローは?」
「それが……リョータロー君は……!」
◇
「……ここは……?」
俺はゆっくりと目を覚ます。確か俺は狂死郎にやられて……マリーネは?セリエさんは?いやそれよりも……ここはどこなんだ……?
俺は無限に広がる宇宙の中にいるような感覚だった。無数の星や、月、太陽が見える空間だ。呼吸はできるし、本当の宇宙空間じゃないのか?
そしてこの白い髪……俺は人、いや……鬼人だった頃の姿をしていた。
服は死んだ時に着てたのを着ている。
そして、その宇宙空間的な所でおかしい所が一つだけある。
「地球が……2つ……?」
そう、その宇宙空間的な所には、地球が2つあったのだ。俺の足元に一つ、頭の上に一つ。
ますます訳が分からい……誰かいないのか?そう考えていた時……。
「いるぞ。ここにな。」
「こんにちは、良太郎さん。」
そう言われて俺は後ろに振り向くと、そこには2人の女性がいた。この人達は一体……?
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