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第2章 ハズール内乱編
第23話 準備完了!
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「ふぁ~ぁ……」
大きなあくびを一つすると、俺は布団からゴソゴソと抜け出した。
部屋のカーテンを開け窓から外を見渡すと、ちょうど朝日が顔を出したところだった。
もう一眠りしたい気持ちに襲われたが、俺は強靭な精神力でそれに抗い、さっさと運動着に着替えると庭先に汲み置きしてある井戸水で顔をバシャバシャと洗って強引に瞼をこじ開けた。そしてそこにもう一人、俺と同い年くらいの少女がやってきた。
「ん……おはよう……シリウス……」
髪にはまだ寝癖がついておりあちこち飛び跳ねているし、まだ眠そうに目をこすっている。本当なら淡いブルーのきれいな髪に、グリーンの瞳が宝石のように美しいんだけど……なんというか残念だ。
少女は俺と同じく、よく冷えた井戸水で顔を洗ってやっと目が覚めたようだ。
「くぅ……冷た!」
そして濡れた手で髪をとかしている。
「おはよう、シエナ」
そして俺とシエナは軽くストレッチをして、表通りに出てきた。
「じゃぁ、行こっか」
「うぅ……」
そして俺たちは並んで大通りをジョギングしはじめた。そのまま村の門を抜けて外に出ると村の外周を軽く一周する、それが最近のお決まりのウォーミングアップだった。
村の外周は10キロほど、俺たちは10分くらいで軽く外周を回り終えると再び家の前に戻ってきた。
「どう、シエナ。目は覚めた?」
「うん!やっぱり朝のジョギングはいいねぇ!」
寝起きと今とでテンションの差がひどい。が、これにももう慣れたもので俺は特に気にしない。
「じゃぁ、今日の勝負はシエナが鬼をやるかい?」
勝負というのは朝のウォーミングアップのあとにガチでやる鬼ごっこだ。
「うん!いいよ!じゃぁ3数えたら追いかけるからね!いーちにーさーん!」
いや、それ数えてないよね?と最初の頃は思っていたがこれも慣れたもの。俺は一瞬で屋根の上まで飛び上がるとそのまま屋根伝いに逃げ出した。
すぐにシエナが屋根に飛び上がってきたのが分かった。俺は振り返りもせずひたすらに逃走を続ける。ときには屋根を飛び越え、ときには路地裏に入り込み。
昔は一瞬で追いつかれて訓練にならなかったけど、今では油断しない限り捕まることはない。
しかし、シエナを振り切るなんてとてもじゃないけど無理なので、いつまでもこうして全力の鬼ごっこが終わらないわけである。
「くっそー!シリウス待ちなさいよ!」
「待ったら鬼ごっこにならないだろ?」
「じゃぁこのまま第2ラウンドよ!場所変えるわよ!」
「ったく……はいはい」
そして俺たちは村の塀を飛び越えて街道の脇に広がる平原に出た。平原っていうよりほんとに何もない荒野だ。
「えい!」
そして後ろから圧縮された空気の塊が飛んでくる。俺はそれらを躱しながら、時々反撃したりして逃走を続ける。すると前から凄まじい勢いで暴風が吹きつけてきた。
空気砲の着弾した地面が勢いよく爆ぜるし、暴風が向かい風になって前に進むのが大変だ。
シエナとの距離が徐々に近くなり、もうあと一歩でシエナの手は俺の背中に届くだろう。
「つーかーまーえーたー…うわァァあ!!」
しかし、シエナの手は俺に届くことは無かった。
「今日も俺の勝ちだね!」
「うぅぅぅ……落とし穴なんて卑怯よ!」
「アハハハ!油断大敵!じゃぁ、今日のおやつはシエナのおごりで!」
「くっそー!明日は絶対に捕まえるからね!」
そして俺たちは家まで競争して帰ると、すでに用意されている朝食をかき込むのだった。
「朝から仲良しねぇ二人とも」
「仲良くないわ!ルークったら私を落とし穴に落としたんだから!おかげで泥だらけ!ね、ローラさんもひどいと思わない!?」
「まぁ!シリウス、女の子に乱暴しちゃだめよ?」
「むむむ………」
いやいや、シエナ……君だって地面が吹き飛ぶほどの空気砲ぶっ放してたよね??毎日あんなことするから、あの辺り一帯が荒野になったの分かってる??
と、心の中では思っていても決して口には出さない。
俺は見た目は15歳でも中身はすでに49歳……あ、それは考えたらだめなやつだ。
……とにかく!ダンディな大人の男はこんなことで言い争ったりしないのだ。
「ってことで、ソーセージ頂き!」
シエナは俺が最後の楽しみに取っておいたソーセージを横からひょいとかすめ取ると、丸呑みにして食べてしまった。
「あ!あぁ!最後に残しておいたのに!シエナのバカ!」
……前言を撤回しよう。ダンディとかいらないから俺はうまいものが食いたい。
ガラガラガラガラ……
ちょうどその時、台所の奥につながっている店の扉が開いた。
「シリウス、もう帰ってるか?」
「え?あぁ、帰ってきてるよ!どうしたの?」
声の主はガラク。俺の父親で今ではこの地方で最大規模の小売・流通業を手がけるガラク商店の社長だ。
「おぉ、よかったよかった!たった今、お前が探していたもの店に持ち込んできたお客がいてな。ちょっと待ってもらってるから見に来られないか?」
「探してたものって……まさか!?」
「そう、アレだ!」
「いくいく!すぐ行くよ!」
俺はシエナにソーセージを取られたこともすっかり忘れてダッシュで店に駆け込んだ。
カウンターには老人が一人、大きな袋を持って立っていた。
「こんにちは!ガラクの息子でこの店の従業員をしているシリウスと言います。あなたが例のものを?」
「えぇ……こちらなのですが、いかがでしょうか?」
男性は袋からソレを取り出すと、カウンターの上においてみせた。ゴトリ、と重厚感のある渋い音がたまらない。
「こ……これは……」
俺は思わず見入ってしまった。カウンターに置かれたのは操舵輪という、船の舵を切るハンドルのような部品。そう、俺はこの操舵輪を1年近くもずっと探し続けていたのだ。
「この木材の重厚感、それから真鍮の軸受け……完璧だ!でも、こんな山奥でなぜ船の舵などお持ちだったのです?」
「えぇ、実はワシがまだ若い頃……もう死んでしもうた婆さんと一度南の港町を訪れたことがありましてのう。その時の記念に港の雑貨屋で買ったんです。婆さんには荷物になるからやめとけと言われたもんですが、なぜか妙に気に入ってしまいましての。それ以来ずっとうちに飾っておったんですよ」
なんと!このおじいさんと今はなき奥さんの思い出の品じゃないか。
「なるほど……ですが、そんなに大事なものをなぜ今になって?」
「王都に息子夫婦がおりましてなぁ。最近はめったに帰ってこんものでしばらく孫にも会えとらんのですが……この間手紙が届いて一緒に暮らさんかと誘うてくれたんです。ワシもいい年ですし、一人で置いておくのは心配だというてくれたもんで……お言葉に甘えようかと思いましてな。それを売った金で王都への路銀と息子夫婦への土産でも買っていってやろうかと」
泣かせるじゃねえかちくしょう!
「おじいさん、この舵いくらで買ったか覚えていますか?」
「ふむ……たしか3000R(ルーツ)ほどでしかのう」
俺の鑑定にも2500Rと表示されている。売値としてはそんなもんだろう。
「おじいさん、俺に6000Rでこの舵を譲ってくれませんか?」
「6000!?いくらなんでもそれはもらいすぎじゃ…」
おじいさんは予想外の高値にひっくり返りそうになっている。
「良いんです。俺はそのくらいこの操舵輪が気に入った。それに、王都の息子さんたちにも色々買って行ってやりたいじゃないですか!」
「おぉ……ありがとうございます。ありがとうございます」
そして俺は念願の操舵輪を手に入れ、おじいさんは驚くほど高く売れたその対価を大事そうに抱えて店から出ていった。
「シリウス……お前にしちゃずいぶん勢いのある買い取り方をしたな?」
ガラク商店では中古品の買い取りは廃止したけど、まれに俺の探しているものは相場の1割増しくらいで買い取っていた。今回は倍額での買い取りということでガラクも驚いたようだ。
「良いんだよ。これでついに探していたものが全部揃ったんだ!夫こうしちゃいられない、ちょっと裏山に行ってくるね!」
「そ、そうか。おう、気をつけてな」
俺は手に入れたばかりの操舵輪を抱えて自宅へと戻っていった。
「シエナ、これを見て!ついにハンドルが手に入ったんだ!早速だけど裏山に行くよ!」
シエナは呑気に食後のハーブティーなんか飲んでいるけど、そんなことしてる場合じゃないんだ。
「え!?う、うん!分かった!」
足早に玄関に向かった俺の後を追ってシエナも慌ててついて来た。
…………
………
……
…
俺とシエナは村の外の裏山にやってきていた。ここはその中でもおそらく俺たちしか知らない秘密の場所だ。小さい頃かくれんぼの途中で偶然見つけたこの場所は、元は何かの巣でもあったようなただの狭いほら穴だったのだが、そこに俺が土魔法の落とし穴を連発して地中深くに広い部屋を作ったのだ。それ以来、ずっと秘密基地として使っている。
裏山の中央部に向かって伸びる長い下り坂を降りて真っ暗な室内に入ると、まずは風魔法で軽く換気をして、火魔法で明かりを灯した。
部屋の真ん中には大きな布に包まれた俺の9年の集大成が眠っている。
「シエナ、そっちの角から引っ張って!」
俺とシエナは同時に思いっきり布を引っ張って、中のそれを露わにした。
姿を表したのは、自動車のフォルムをした、しかし魔道具。デザインは俺が日本にいた頃にほしいと思っていたSUVをモデルにし、そこに色々と細工をしたような感じだ。
9年間、いろいろなところを回って少しずつパーツを集め、機能追加をするために何度も魔法陣を書き直しながら作ってきた俺の愛車……
ハンドルはちょうど良いサイズの船の操舵輪にしたくて、今まで妥協せずにずっと探し続けてきた。
「いよいよ、だね……」
シエナもこれに魔力が流れるところは見たことがないので心なしか緊張の面持ちだ。
俺はハンドルの接続部分を少し削ってサイズを調整し、持ってきたミスリルのペンで操舵輪の持ち手に魔法陣を描くと、真鍮の軸受をそこにゆっくりと差し込んだ。
「シエナ、乗って!」
俺は運転席に乗り込むと内側からドアを開けてシエナを促した。そしてシエナはおそるおそる、助手席に乗り込んだ。
「じゃぁ、魔力を流すよ」
俺がハンドルと化した操舵輪に僅かに魔力を流すと車内に明かりが灯った。ほら穴の明かりと違ってこっちは魔法の明かりだ。
フラッシュを持続的に発動させるのにはとても苦労したなぁ。試行錯誤の末に、光の強弱の調整にやっと成功したことで実現できた車内の証明。
ヘッドライトもこの技術の応用で出来ている。
「おぉー!」
シエナもこの明かりにはテンションが上ったようだ。
「次はシールド行くよ!」
俺がハンドルの下のレバーを操作すると自動車の外側にエアバリアが展開された。
「おぉぉー!」
シエナのテンションは更に高まっていく。
「じゃぁ地上に出ようか」
そして俺は自動車の大本命、アクセルをゆっくりと踏み込んだ。
スーッっと静かにタイヤが回転し、車体が前に進みだした。
ガソリンで走っているわけではないので、エンジンの音がないのは少し物寂しいが、逆に電気自動車以下の静音を実現したのは中々だと自分で自分を褒めてやりたい。
タイヤにも工夫をこらした。軽いコルクのような木材に鎧蜥蜴(アーマーリザード)という非常に柔軟だが頑丈な表皮を持つ魔物のなめした革を3重に巻いてある。これでゴムタイヤに近いクッション性と地面との摩擦にも負けない強度を実現した。
ついに俺の愛車は坂を登りきり、ほら穴の入口を抜けて陽の光にあたった。9年の歳月を経てやっと俺の構想が現実のものとなった。
「じゃぁ、最後にとっておきいこうか!」
俺が別のレバーを操作するとボンネットの上に設置されている筒状の魔道具がそれに合わせて向きを変えた。俺はその先端を上空に向けてレバーから手を離した。
「シエナ、そこのスイッチを押してみて」
「え!?わ、わかった!」
シエナがおそるおそるスイッチを押すと
ボン!
と空気砲が発射された。
「おぉぉぉー!!!」
シエナは大興奮だ。楽しんでくれたようで何よりだ。
「他にも、水と火が撃てるように切り替えられるんだけど、それはまた今度ね」
「シリウス!すごい!すごいよ!!」
シエナは興奮のあまり助手席から俺に抱きついてきた。
「な、ちょ!?シ、シエナ!!?」
カッコよく愛車のお披露目をするはずだったのに、台無しだ……この9年でシエナはほんとにきれいな年頃の女の子(の見た目)に成長している。そんな子が車の中で抱きついてくるなんてシチュエーションに俺が耐えられるはずがない。
俺はなんとかシエナを引き離すと、深呼吸を繰り返して心を沈めた。
いかんいかん、シエナは家族シエナは家族……
どっちかというと幼馴染なんだけど、龍族の。もう種族の壁とかどうでもよくない?
いかーん!
以上に高い精神力をフルに使い、心に湧き出す雑念を沈めた俺は、これからの方針を口にした。
「移動手段もこれで確保できたし、いよいよ旅立ちの時だ!シエナ、最後に聞くけど、ほんとに付いて来るかい?」
「うん!」
間髪入れず応えてくれるシエナ、そうと分かっていても俺にはそれがとても嬉しく感じられた。
「じゃぁこれでうちに戻って、荷物を積み込もう。明日には出発だ!」
俺たちは裏山を下り街道に出ると、そのまま村の門をくぐって自宅まで通りをドライブした。俺たちに気づいた村の人達が、驚いて腰を抜かしたり手を振ったりしてくれていた。
俺は店の前に車をつけるとそのまま店内にあがり、カウンターで目を見開いて静止しているガラクに向かい合った。
「移動手段、魔力で動かす馬車みたいなもんなんだけど、ついに完成したんだ。だから、急だけど、明日には出発するよ」
「…………」
ガラクは状況が飲み込めずフリーズしている。
タイミングよく母ローラも店にバックヤードから姿を表し、同じく俺の愛車に驚いて固まってしまった。
「おーい、父さん?」
「え!?あ、ああぁ……出発だったな!誰が?どこにだっけ?」
「俺が、世界に!」
そこでやっと父は俺の言いたいことを理解したようだ。
「……そうか。まぁ、お前はよく出来た子だ。俺たちが心配なんかしても対して意味は無いんだろうが……むちゃするなよ?」
「大丈夫!まかせといて!それより、今日はとびきりのごちそうを食べよう!母さん、ビーフシチュー作ってくれる?」
「え?えぇ、そうね!そうしましょう!」
「シチュー!?やった!ローラさん、私、鳥の丸焼きも食べたいわ!」
とまぁそんなわけでこの日ターマン家は俺とシエナの旅立ちを祝して4人でちょっとした宴会を開いたのだった。
俺は明日が来るのが待ちきれず、一晩中そわそわしながら、時々外の愛車を見に行ったりして結局ちゃんと眠ることができなかった。
大きなあくびを一つすると、俺は布団からゴソゴソと抜け出した。
部屋のカーテンを開け窓から外を見渡すと、ちょうど朝日が顔を出したところだった。
もう一眠りしたい気持ちに襲われたが、俺は強靭な精神力でそれに抗い、さっさと運動着に着替えると庭先に汲み置きしてある井戸水で顔をバシャバシャと洗って強引に瞼をこじ開けた。そしてそこにもう一人、俺と同い年くらいの少女がやってきた。
「ん……おはよう……シリウス……」
髪にはまだ寝癖がついておりあちこち飛び跳ねているし、まだ眠そうに目をこすっている。本当なら淡いブルーのきれいな髪に、グリーンの瞳が宝石のように美しいんだけど……なんというか残念だ。
少女は俺と同じく、よく冷えた井戸水で顔を洗ってやっと目が覚めたようだ。
「くぅ……冷た!」
そして濡れた手で髪をとかしている。
「おはよう、シエナ」
そして俺とシエナは軽くストレッチをして、表通りに出てきた。
「じゃぁ、行こっか」
「うぅ……」
そして俺たちは並んで大通りをジョギングしはじめた。そのまま村の門を抜けて外に出ると村の外周を軽く一周する、それが最近のお決まりのウォーミングアップだった。
村の外周は10キロほど、俺たちは10分くらいで軽く外周を回り終えると再び家の前に戻ってきた。
「どう、シエナ。目は覚めた?」
「うん!やっぱり朝のジョギングはいいねぇ!」
寝起きと今とでテンションの差がひどい。が、これにももう慣れたもので俺は特に気にしない。
「じゃぁ、今日の勝負はシエナが鬼をやるかい?」
勝負というのは朝のウォーミングアップのあとにガチでやる鬼ごっこだ。
「うん!いいよ!じゃぁ3数えたら追いかけるからね!いーちにーさーん!」
いや、それ数えてないよね?と最初の頃は思っていたがこれも慣れたもの。俺は一瞬で屋根の上まで飛び上がるとそのまま屋根伝いに逃げ出した。
すぐにシエナが屋根に飛び上がってきたのが分かった。俺は振り返りもせずひたすらに逃走を続ける。ときには屋根を飛び越え、ときには路地裏に入り込み。
昔は一瞬で追いつかれて訓練にならなかったけど、今では油断しない限り捕まることはない。
しかし、シエナを振り切るなんてとてもじゃないけど無理なので、いつまでもこうして全力の鬼ごっこが終わらないわけである。
「くっそー!シリウス待ちなさいよ!」
「待ったら鬼ごっこにならないだろ?」
「じゃぁこのまま第2ラウンドよ!場所変えるわよ!」
「ったく……はいはい」
そして俺たちは村の塀を飛び越えて街道の脇に広がる平原に出た。平原っていうよりほんとに何もない荒野だ。
「えい!」
そして後ろから圧縮された空気の塊が飛んでくる。俺はそれらを躱しながら、時々反撃したりして逃走を続ける。すると前から凄まじい勢いで暴風が吹きつけてきた。
空気砲の着弾した地面が勢いよく爆ぜるし、暴風が向かい風になって前に進むのが大変だ。
シエナとの距離が徐々に近くなり、もうあと一歩でシエナの手は俺の背中に届くだろう。
「つーかーまーえーたー…うわァァあ!!」
しかし、シエナの手は俺に届くことは無かった。
「今日も俺の勝ちだね!」
「うぅぅぅ……落とし穴なんて卑怯よ!」
「アハハハ!油断大敵!じゃぁ、今日のおやつはシエナのおごりで!」
「くっそー!明日は絶対に捕まえるからね!」
そして俺たちは家まで競争して帰ると、すでに用意されている朝食をかき込むのだった。
「朝から仲良しねぇ二人とも」
「仲良くないわ!ルークったら私を落とし穴に落としたんだから!おかげで泥だらけ!ね、ローラさんもひどいと思わない!?」
「まぁ!シリウス、女の子に乱暴しちゃだめよ?」
「むむむ………」
いやいや、シエナ……君だって地面が吹き飛ぶほどの空気砲ぶっ放してたよね??毎日あんなことするから、あの辺り一帯が荒野になったの分かってる??
と、心の中では思っていても決して口には出さない。
俺は見た目は15歳でも中身はすでに49歳……あ、それは考えたらだめなやつだ。
……とにかく!ダンディな大人の男はこんなことで言い争ったりしないのだ。
「ってことで、ソーセージ頂き!」
シエナは俺が最後の楽しみに取っておいたソーセージを横からひょいとかすめ取ると、丸呑みにして食べてしまった。
「あ!あぁ!最後に残しておいたのに!シエナのバカ!」
……前言を撤回しよう。ダンディとかいらないから俺はうまいものが食いたい。
ガラガラガラガラ……
ちょうどその時、台所の奥につながっている店の扉が開いた。
「シリウス、もう帰ってるか?」
「え?あぁ、帰ってきてるよ!どうしたの?」
声の主はガラク。俺の父親で今ではこの地方で最大規模の小売・流通業を手がけるガラク商店の社長だ。
「おぉ、よかったよかった!たった今、お前が探していたもの店に持ち込んできたお客がいてな。ちょっと待ってもらってるから見に来られないか?」
「探してたものって……まさか!?」
「そう、アレだ!」
「いくいく!すぐ行くよ!」
俺はシエナにソーセージを取られたこともすっかり忘れてダッシュで店に駆け込んだ。
カウンターには老人が一人、大きな袋を持って立っていた。
「こんにちは!ガラクの息子でこの店の従業員をしているシリウスと言います。あなたが例のものを?」
「えぇ……こちらなのですが、いかがでしょうか?」
男性は袋からソレを取り出すと、カウンターの上においてみせた。ゴトリ、と重厚感のある渋い音がたまらない。
「こ……これは……」
俺は思わず見入ってしまった。カウンターに置かれたのは操舵輪という、船の舵を切るハンドルのような部品。そう、俺はこの操舵輪を1年近くもずっと探し続けていたのだ。
「この木材の重厚感、それから真鍮の軸受け……完璧だ!でも、こんな山奥でなぜ船の舵などお持ちだったのです?」
「えぇ、実はワシがまだ若い頃……もう死んでしもうた婆さんと一度南の港町を訪れたことがありましてのう。その時の記念に港の雑貨屋で買ったんです。婆さんには荷物になるからやめとけと言われたもんですが、なぜか妙に気に入ってしまいましての。それ以来ずっとうちに飾っておったんですよ」
なんと!このおじいさんと今はなき奥さんの思い出の品じゃないか。
「なるほど……ですが、そんなに大事なものをなぜ今になって?」
「王都に息子夫婦がおりましてなぁ。最近はめったに帰ってこんものでしばらく孫にも会えとらんのですが……この間手紙が届いて一緒に暮らさんかと誘うてくれたんです。ワシもいい年ですし、一人で置いておくのは心配だというてくれたもんで……お言葉に甘えようかと思いましてな。それを売った金で王都への路銀と息子夫婦への土産でも買っていってやろうかと」
泣かせるじゃねえかちくしょう!
「おじいさん、この舵いくらで買ったか覚えていますか?」
「ふむ……たしか3000R(ルーツ)ほどでしかのう」
俺の鑑定にも2500Rと表示されている。売値としてはそんなもんだろう。
「おじいさん、俺に6000Rでこの舵を譲ってくれませんか?」
「6000!?いくらなんでもそれはもらいすぎじゃ…」
おじいさんは予想外の高値にひっくり返りそうになっている。
「良いんです。俺はそのくらいこの操舵輪が気に入った。それに、王都の息子さんたちにも色々買って行ってやりたいじゃないですか!」
「おぉ……ありがとうございます。ありがとうございます」
そして俺は念願の操舵輪を手に入れ、おじいさんは驚くほど高く売れたその対価を大事そうに抱えて店から出ていった。
「シリウス……お前にしちゃずいぶん勢いのある買い取り方をしたな?」
ガラク商店では中古品の買い取りは廃止したけど、まれに俺の探しているものは相場の1割増しくらいで買い取っていた。今回は倍額での買い取りということでガラクも驚いたようだ。
「良いんだよ。これでついに探していたものが全部揃ったんだ!夫こうしちゃいられない、ちょっと裏山に行ってくるね!」
「そ、そうか。おう、気をつけてな」
俺は手に入れたばかりの操舵輪を抱えて自宅へと戻っていった。
「シエナ、これを見て!ついにハンドルが手に入ったんだ!早速だけど裏山に行くよ!」
シエナは呑気に食後のハーブティーなんか飲んでいるけど、そんなことしてる場合じゃないんだ。
「え!?う、うん!分かった!」
足早に玄関に向かった俺の後を追ってシエナも慌ててついて来た。
…………
………
……
…
俺とシエナは村の外の裏山にやってきていた。ここはその中でもおそらく俺たちしか知らない秘密の場所だ。小さい頃かくれんぼの途中で偶然見つけたこの場所は、元は何かの巣でもあったようなただの狭いほら穴だったのだが、そこに俺が土魔法の落とし穴を連発して地中深くに広い部屋を作ったのだ。それ以来、ずっと秘密基地として使っている。
裏山の中央部に向かって伸びる長い下り坂を降りて真っ暗な室内に入ると、まずは風魔法で軽く換気をして、火魔法で明かりを灯した。
部屋の真ん中には大きな布に包まれた俺の9年の集大成が眠っている。
「シエナ、そっちの角から引っ張って!」
俺とシエナは同時に思いっきり布を引っ張って、中のそれを露わにした。
姿を表したのは、自動車のフォルムをした、しかし魔道具。デザインは俺が日本にいた頃にほしいと思っていたSUVをモデルにし、そこに色々と細工をしたような感じだ。
9年間、いろいろなところを回って少しずつパーツを集め、機能追加をするために何度も魔法陣を書き直しながら作ってきた俺の愛車……
ハンドルはちょうど良いサイズの船の操舵輪にしたくて、今まで妥協せずにずっと探し続けてきた。
「いよいよ、だね……」
シエナもこれに魔力が流れるところは見たことがないので心なしか緊張の面持ちだ。
俺はハンドルの接続部分を少し削ってサイズを調整し、持ってきたミスリルのペンで操舵輪の持ち手に魔法陣を描くと、真鍮の軸受をそこにゆっくりと差し込んだ。
「シエナ、乗って!」
俺は運転席に乗り込むと内側からドアを開けてシエナを促した。そしてシエナはおそるおそる、助手席に乗り込んだ。
「じゃぁ、魔力を流すよ」
俺がハンドルと化した操舵輪に僅かに魔力を流すと車内に明かりが灯った。ほら穴の明かりと違ってこっちは魔法の明かりだ。
フラッシュを持続的に発動させるのにはとても苦労したなぁ。試行錯誤の末に、光の強弱の調整にやっと成功したことで実現できた車内の証明。
ヘッドライトもこの技術の応用で出来ている。
「おぉー!」
シエナもこの明かりにはテンションが上ったようだ。
「次はシールド行くよ!」
俺がハンドルの下のレバーを操作すると自動車の外側にエアバリアが展開された。
「おぉぉー!」
シエナのテンションは更に高まっていく。
「じゃぁ地上に出ようか」
そして俺は自動車の大本命、アクセルをゆっくりと踏み込んだ。
スーッっと静かにタイヤが回転し、車体が前に進みだした。
ガソリンで走っているわけではないので、エンジンの音がないのは少し物寂しいが、逆に電気自動車以下の静音を実現したのは中々だと自分で自分を褒めてやりたい。
タイヤにも工夫をこらした。軽いコルクのような木材に鎧蜥蜴(アーマーリザード)という非常に柔軟だが頑丈な表皮を持つ魔物のなめした革を3重に巻いてある。これでゴムタイヤに近いクッション性と地面との摩擦にも負けない強度を実現した。
ついに俺の愛車は坂を登りきり、ほら穴の入口を抜けて陽の光にあたった。9年の歳月を経てやっと俺の構想が現実のものとなった。
「じゃぁ、最後にとっておきいこうか!」
俺が別のレバーを操作するとボンネットの上に設置されている筒状の魔道具がそれに合わせて向きを変えた。俺はその先端を上空に向けてレバーから手を離した。
「シエナ、そこのスイッチを押してみて」
「え!?わ、わかった!」
シエナがおそるおそるスイッチを押すと
ボン!
と空気砲が発射された。
「おぉぉぉー!!!」
シエナは大興奮だ。楽しんでくれたようで何よりだ。
「他にも、水と火が撃てるように切り替えられるんだけど、それはまた今度ね」
「シリウス!すごい!すごいよ!!」
シエナは興奮のあまり助手席から俺に抱きついてきた。
「な、ちょ!?シ、シエナ!!?」
カッコよく愛車のお披露目をするはずだったのに、台無しだ……この9年でシエナはほんとにきれいな年頃の女の子(の見た目)に成長している。そんな子が車の中で抱きついてくるなんてシチュエーションに俺が耐えられるはずがない。
俺はなんとかシエナを引き離すと、深呼吸を繰り返して心を沈めた。
いかんいかん、シエナは家族シエナは家族……
どっちかというと幼馴染なんだけど、龍族の。もう種族の壁とかどうでもよくない?
いかーん!
以上に高い精神力をフルに使い、心に湧き出す雑念を沈めた俺は、これからの方針を口にした。
「移動手段もこれで確保できたし、いよいよ旅立ちの時だ!シエナ、最後に聞くけど、ほんとに付いて来るかい?」
「うん!」
間髪入れず応えてくれるシエナ、そうと分かっていても俺にはそれがとても嬉しく感じられた。
「じゃぁこれでうちに戻って、荷物を積み込もう。明日には出発だ!」
俺たちは裏山を下り街道に出ると、そのまま村の門をくぐって自宅まで通りをドライブした。俺たちに気づいた村の人達が、驚いて腰を抜かしたり手を振ったりしてくれていた。
俺は店の前に車をつけるとそのまま店内にあがり、カウンターで目を見開いて静止しているガラクに向かい合った。
「移動手段、魔力で動かす馬車みたいなもんなんだけど、ついに完成したんだ。だから、急だけど、明日には出発するよ」
「…………」
ガラクは状況が飲み込めずフリーズしている。
タイミングよく母ローラも店にバックヤードから姿を表し、同じく俺の愛車に驚いて固まってしまった。
「おーい、父さん?」
「え!?あ、ああぁ……出発だったな!誰が?どこにだっけ?」
「俺が、世界に!」
そこでやっと父は俺の言いたいことを理解したようだ。
「……そうか。まぁ、お前はよく出来た子だ。俺たちが心配なんかしても対して意味は無いんだろうが……むちゃするなよ?」
「大丈夫!まかせといて!それより、今日はとびきりのごちそうを食べよう!母さん、ビーフシチュー作ってくれる?」
「え?えぇ、そうね!そうしましょう!」
「シチュー!?やった!ローラさん、私、鳥の丸焼きも食べたいわ!」
とまぁそんなわけでこの日ターマン家は俺とシエナの旅立ちを祝して4人でちょっとした宴会を開いたのだった。
俺は明日が来るのが待ちきれず、一晩中そわそわしながら、時々外の愛車を見に行ったりして結局ちゃんと眠ることができなかった。
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洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。
カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。
スマートシステムで異世界革命
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/// 毎日19時に投稿する予定です。 ///
★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★
新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。
それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。
異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。
スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします!
序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです
第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練
第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い
第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚
第4章(全17話)ダンジョン探索
第5章(執筆中)公的ギルド?
※第3章以降は少し内容が過激になってきます。
上記はあくまで予定です。
カクヨムでも投稿しています。
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