氷の花嫁

コサキサク

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第7話 夏のやきもち

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「ユーリ、さっきのあれはなに?いろんな男に手を触られて・・・」
「ご、ごめんなさい、今暑いから、みんなボクの手が冷たくって気持ちいいって言うんだもん・・・」

僕とユーリはユーリの部屋にいる。このところ僕が仕事から帰ってくると、ユーリの部屋で夕食を食べて部屋でいちゃいちゃするのが定着していた。結婚式を二週間後に控えた今、季節は夏になっていた。ここは比較的暖かい気候ではあるが、一応四季はある。今は一年で一番暑いときだった。

僕は、この季節がくるのを楽しみにしていた。こんなにユーリと触れ合うのが楽しい季節はないだろう。今もベッドの上で服越しにユーリに抱きついているけど、氷枕を抱いているみたいですごく気持ちいい。

だけど、僕と同じことは皆考えていた。夏になるなりかき氷の注文は激増し、ユーリは客からベタベタ手を触られている。性的な意味じゃ無く保冷剤のような役回りなのはわかっているとはいえ、いざ目の当たりにするといい気分はしない。頑張って茶化したテンションで接しているけれど、元々独占欲が強くて彼女に浮気されたトラウマがある僕は、内心嫉妬で狂いそうになっていた。

「僕なんて、冬だろうが一貫してかき氷頼んできたのに、みんな今更ちやほやしちゃって。暑がってる客なんてかき氷死ぬほど食わせておけばいいよ。手なんて触らせちゃだめ。」
「わかったよう。」
僕はユーリの上に乗り、両手を押さえつけてキスした。セックスこそ許してくれないけれど、ユーリは結構いろいろさせてくれるようになっていた。今は服の上になら体のどこでも触らせてくれるし、キスのときに舌を入れても受け入れてくれる。好きな女の子といちゃつく気持ちよさと冷たいものに触れる気持ちよさをいっぺんに味わえるこの楽しさは、絶対に他の男に気づかせたくなかかった。

「ねえ、かき氷ちょうだい。口に直接吹き込んでよ。」
「カイったら、また変なこと言って・・・」
「僕なんか変なこと言ったことあった?」
「さっきもボクが口に入れた苺食べたいとか言ったじゃない。」
「他の客じゃ食べられない物が食べたい気分なの。」
「もー。しょうがないなあ。」
ユーリは文句を言いながらも、かき氷を吹き込んでくれる。さっきの苺も文句言いながらも食べさせてくれた。少しずつサラサラした氷が口に流れ込んでくる。
「おいしい?」
ユーリが微笑みながら聞いてくる。
「うん。おいしい。」
僕達は見つめ合ったあと、笑った。最高に楽しい。結婚したあとも、こうやって仲良く過ごせたらいいけど・・・



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