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第75話 変化
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「スー、お願い、アレンを止めてくれないかな。あれからというもの、猫だの犬だのウサギだの、いろいろ持ってくるんだもん」
僕はスーの部屋にいた。今日はアレンはいなくて、僕とスーの二人だ。スーは僕の言葉を黙って聞いたあと、
「いや、キルルもさ、持ってこられたからって全部バンバン殺さないで頑張って踏みとどまらないと。なにアレンの思惑通りになってるの」
「それができないから困ってるんだよ」
「もー。キルルもアレンもしょうがないなあ」
スーは顔をしかめながら頭を掻いた。
そう、あれからと言うもの、アレンは僕が殺したくなるような動物を次々差し出してくる。おかげで部屋は彩りよくなったが、なんだか大事なものを失いかけている気がして、不安になってきたのでスーに相談していた。
「それにしても、スーは、なんか変わったね」
「え?」
「前はもっと、僕と一緒に毒薬の話だの猟奇小説の話だので盛り上がってたのに、最近そんなにだし」
スーは、知り合ったころと比べると、ずいぶん思考が穏やかになっていた。スーも僕に殺人依頼しているのだから、アレンと一緒になって僕を悪い方向に育ててもおかしくはないのに。
「いや、そりゃあさ……もし、キルルと知り合ったあの日、キルルがすでにレベル100で人を殺せる力があったら、迷わずその場であいつらを殺してもらって、そこで満足したと思うよ。だけど……キルルと一年以上友達でいるとさ、いじめっ子が死ぬかどうかより、キルルがこの先どうなるかの方が大事なんだよ」
僕はスーの顔を見つめた。スーはこの一年でずいぶん大人っぽくなった気がする。背丈とかは変わっていないけど、僕を見つめる目は保護者のようだった。せっせと魔法のレベルを上げていた僕より、スーの方が強く、大人になっているように見えるのは何故だろう。
「キルル、僕は、知り合ったばかりのころの、まだ魔法が使えなかった時のキルルもすごく好きなんだよ。だから、そこから変わり過ぎないでよ。レベル80になったら人を殺しまくりなんてやだよ。もちろん、アレンも殺して欲しくない。だからさ、上手くバランスを取っていこうよ、難しいだろうけど」
「うん、ありがとう」
「アレンのことも説得しないと……説得しても聞くやつじゃないし、キルルがレベル80になるまでの間に、変わってくれるといいんだけど……キルル、今レベルいくつなの?」
「レベル48だよ」
「レベル80までだと、そんなに時間ないかもなあ……」
「あ、だけどね、レベル50になったら、新しい呪文が使えるんだ! その呪文だと、今までより大きいモンスターが倒せるんだよ! だから、そのうち犬猫殺しは物足りなくなって、殺さなくても平気になるんじゃないかな? そしたら今の悩みはとりあえず解決するんじゃない?」
「キルル、そういう問題じゃなくない?」
「え……? なにか変なこと言ったかな?」
「うん、なんだか変だよ。今に始まったことじゃないけど……」
スーはうなだれていた。
「だけど、アレンも犬猫は持ってこれても、この先、もっと大きい動物をわざわざ持ってくるかな? アレンの行動も収まるんじゃない?」
僕はのんきに言ったが、
「いや、アレンは、何かしら考えてきそうだけどな。あいつ頭いいし。全く、あの頭の良さ、もっと他のことに使えばいいのに……」
スーは、難しい顔をして言った。やはり大人の顔をしていると思った。
僕はスーの部屋にいた。今日はアレンはいなくて、僕とスーの二人だ。スーは僕の言葉を黙って聞いたあと、
「いや、キルルもさ、持ってこられたからって全部バンバン殺さないで頑張って踏みとどまらないと。なにアレンの思惑通りになってるの」
「それができないから困ってるんだよ」
「もー。キルルもアレンもしょうがないなあ」
スーは顔をしかめながら頭を掻いた。
そう、あれからと言うもの、アレンは僕が殺したくなるような動物を次々差し出してくる。おかげで部屋は彩りよくなったが、なんだか大事なものを失いかけている気がして、不安になってきたのでスーに相談していた。
「それにしても、スーは、なんか変わったね」
「え?」
「前はもっと、僕と一緒に毒薬の話だの猟奇小説の話だので盛り上がってたのに、最近そんなにだし」
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「いや、そりゃあさ……もし、キルルと知り合ったあの日、キルルがすでにレベル100で人を殺せる力があったら、迷わずその場であいつらを殺してもらって、そこで満足したと思うよ。だけど……キルルと一年以上友達でいるとさ、いじめっ子が死ぬかどうかより、キルルがこの先どうなるかの方が大事なんだよ」
僕はスーの顔を見つめた。スーはこの一年でずいぶん大人っぽくなった気がする。背丈とかは変わっていないけど、僕を見つめる目は保護者のようだった。せっせと魔法のレベルを上げていた僕より、スーの方が強く、大人になっているように見えるのは何故だろう。
「キルル、僕は、知り合ったばかりのころの、まだ魔法が使えなかった時のキルルもすごく好きなんだよ。だから、そこから変わり過ぎないでよ。レベル80になったら人を殺しまくりなんてやだよ。もちろん、アレンも殺して欲しくない。だからさ、上手くバランスを取っていこうよ、難しいだろうけど」
「うん、ありがとう」
「アレンのことも説得しないと……説得しても聞くやつじゃないし、キルルがレベル80になるまでの間に、変わってくれるといいんだけど……キルル、今レベルいくつなの?」
「レベル48だよ」
「レベル80までだと、そんなに時間ないかもなあ……」
「あ、だけどね、レベル50になったら、新しい呪文が使えるんだ! その呪文だと、今までより大きいモンスターが倒せるんだよ! だから、そのうち犬猫殺しは物足りなくなって、殺さなくても平気になるんじゃないかな? そしたら今の悩みはとりあえず解決するんじゃない?」
「キルル、そういう問題じゃなくない?」
「え……? なにか変なこと言ったかな?」
「うん、なんだか変だよ。今に始まったことじゃないけど……」
スーはうなだれていた。
「だけど、アレンも犬猫は持ってこれても、この先、もっと大きい動物をわざわざ持ってくるかな? アレンの行動も収まるんじゃない?」
僕はのんきに言ったが、
「いや、アレンは、何かしら考えてきそうだけどな。あいつ頭いいし。全く、あの頭の良さ、もっと他のことに使えばいいのに……」
スーは、難しい顔をして言った。やはり大人の顔をしていると思った。
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