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悪い魔女side
しおりを挟む私はパンドラ。地上では、悪い魔女として有名だ。
私はこの島で、ヘパイストス父上によって作られた人類最初の女だった。私は産まれると同時に神々から様々な祝福を受けた。
男を魅了する力、女としてすべき仕事の能力、恥を知らぬ犬のような滑稽な心といった祝福や呪いに近い祝福もどきを受けた。
そして父上からは、決して開けてはならぬパンドラの箱と名付けられた箱を持たされた。
こうして私はこの島を出て、人間の住む世界へと送られた。
人間共はいつも滑稽で愚かだった。私に魅了されていくつもの国が滅んでいった。とても愉快だった。
だが、いつしか人々は私を災いと恐れ、悪い魔女として迫害した。石を投げられたり、火をつけられそうにもなった。
私はこの世界を憎んだ。この世界を許さない!
そう思いながら、この世界の様々な国を彷徨い、やがてある大国に辿り着いた。
その大国の王様は、誠実であり、逞しく美しくもあった。私はすぐに恋に落ちた。
だが王は王妃様をとても愛していた。私の魅了の力もどんな力も効かないほどに。
私は悔しくて、王の宰相や優秀な騎士や大切な者を次々と魔法で人間ではないものに変えて、お城から追い出してやった。
そして、復讐の為に若く美しい女を使って、王の大切な子供の一人、第一王子を腑抜けにしてやった。とても気分が良い。
私がこんな事をしたのも、そもそもは王が私の好意を無下にしたのが悪いのだ。
私を悪い魔女として迫害してきた人間共が悪いのだ。
なのに、どうして私は断崖絶壁の海岸にまで連れてこられて、槍で刺されなくてはならないのか。
悪いのは、私ではなく王だというのに。
悪いのは、私ではなく人間共だというのに。
ハハハハハハ‥‥
愚かな人間共め、私の体は灰となっても魂は消えぬというのに。
私は島へ帰り、この世界全体を呪う事にした。こんな世界なんて、滅びてしまえば良いのだ!
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