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42、エピローグ
しおりを挟む神と共に、この世界の終焉の様子を画面越しに見ていたルシフェルは、茫然としてしまいました。
「ルシフェル、君のやり残した仕事はベリアルが無事に遂行してくれたようだな。」
「‥‥‥そんな‥。」
「ルシフェル、誰一人として神の意思に背く事は出来ないのだよ。」
「‥せっかく救った世界が‥‥。」
「ああ、だけど残念なのは、あの醜い悪魔共が私の手の届かない所に〝魔界″を作って生き残ってしまった事だ。‥‥非常に残念だ。」
「‥マルキは?公爵はどこへ生まれ変わったのですか?」
「‥ああ、あの魂なら地球へ飛ばしてやったよ。」
「なら私もすぐに地球へ向かいます。」
「‥まさか、何十億もある魂の中から公爵を探し出すつもりか?」
「‥はい。」
「アハハハ、馬鹿だな、ルシフェル。‥面白い、良いだろう。行って探し出せるものならやってみろ。」
神はそう言うと、私の背中を思い切り突き飛ばしました。
私は真っ白な渦の中をくるくるとまわって落ちて行きました。
そして気付くと、どこかの病院の救急外来のベッドに寝かされていました。
「ここって‥‥地球?」
ベッドで体を起こそうとすると、間仕切りのカーテンを開けて、医師が入って来ました。
「宇野優香さんですね。」
「はい。」
「お体は大丈夫ですか?足が一箇所骨折していました。手術はしていません。痛み止めの注射が効いてるので今は痛みませんが、痛み止めを処方しておきますね。
それと‥怪我をした時の状況ですが、自宅アパートの階段を降りる際に、階段を踏み外して転んだ、という事で間違いないですね。お仕事の関係での怪我ではないんですよね。」
「はい。」
‥‥私の魂はどうやら地球の宇野優香の体に戻ってきたようです。ルシフェルとしての天上界の記憶も、マルキ公と生きた世界の記憶も残したまま‥‥。
それに、地球で私はマンションの屋上から飛び降り自殺した事になっていたのに、いつの間にか軽い怪我をした設定に変わっていました。
「松葉杖をお貸しします。来週また足の診察に来て下さいね。」
「はい。」
私は、病院から借りた松葉杖をついてバスに乗り、自宅に向いました。
そして、自宅アパートの階段の前まで来て、どうやって階段を登ろうか悩んでいると、後ろから声をかけられました。
「‥‥あの、ここの住人の方ですよね。」
声をかけてきたのは、大学生ぐらいのイケメン男子でした。
「‥はい。ここのアパートの二階に住んでます。」
「‥僕も昨日からここの二階に住んでるんです。良かったら、お手伝いしますよ。」
「‥助かります。正直、荷物と松葉杖で両手が塞がってて困ってたんです。」
「じゃあ、荷物を僕が持ちますね。」
イケメン男子はそう言って、私の荷物を運んでくれました。
「‥僕の部屋はこの202室なんです。お姉さんは?」
「私は‥203室です。」
「隣じゃないですか!宜しくお願いしますね。」
「はい、こちらこそ。」
「‥あっ僕、丸木雄大と言います。」
イケメン男子はそう言って胸元のポケットから名刺を取り出しました。
「‥えっ、この会社‥私も同じ会社の社員なんですよ。まぁ、総務ですけど。」
「‥わぁ、奇遇ですね!」
「‥って言うか、学生さんじゃなかったんですね。私てっきり‥。」
「アハハ、良く言われます。僕こう見えて25歳なんですよ。‥‥お姉さんは?」
「‥お姉さんは?って聞いてる時点で、もう歳上って分かってるって事よね。」
「‥?僕は綺麗な女の人を見かけたら、お姉さんって皆んなに声をかけてますよ。歳上歳下関係なく。」
「‥ナンパしまくってる訳ね。」
「まあまあ、松葉杖のお姉さんを立ちっぱなしにさせとくのも悪いから、とりあえずどっちかの部屋に入りませんか?話はその後にゆっくりしましょうよ。」
「‥あなた、女慣れしてるのね。」
「アハハ、僕の事はあなたじゃなくて、〝マルキ″って呼び捨てで呼んで下さいよ。僕のニックネームみたいなものなんです。」
「‥マルキ?」
「アハハ、早速呼んでくれてる。嬉しいなぁ。僕がこれから毎日お姉さんの食事とか用意しますね。会社も一緒に通勤しましょう。
お姉さん、僕はあなたに一目惚れしてしまったみたいです。‥というより、お姉さんを見てると妙に懐かしいような気持ちになるんです。
これって運命ですかね?アハハ。」
end.
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感想をありがとうございます✨
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