あなたの仰せのままに

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14、ロザンナの事情

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ロザンナの再来の翌日、エリは早速色々と調べて来てくれました。

「‥モールス子爵はロザンナ様をダクト商会の会長に嫁がせようとしています。ロザンナの年の離れた弟がもうじき結婚するので、ロザンナを家から追い出そうとしています。」

「ダクト商会の会長の嫁なの?息子じゃなくて?」

「会長です。」

エリが言うには、ロザンナがダクト商会の息子にちょっかいを出していたところ、会長の方に見初められてしまったのだそうです。

それで会長がモールス子爵家にロザンナとの結婚を申し込みに行ったようです。

ロザンナはそれが嫌で、今は昔の恋人達にちょっかいを出しまくっているのだそうです。

「会長ならお金持ちだし、まだ50代で若いし良いじゃないねぇ。」

「‥奥様、その会長というのが結構独占欲が強いらしいんですよ。‥結婚したら下手すれば屋敷から出させてもらえないかもしれません。前の奥様も病気でなくなるまで、お客様の前にすらあまり出てこなかったようですから‥。」

「それは‥ロザンナにとっては嫌かもしれないわね。」

キャロルはロザンナに少し同情しそうになりました。

「奥様、同情してはいけませんよ。ダクト商会の会長に嫁がされるのが嫌だとか、ロザンナ様は言える立場ではないと思います。散々実家や男爵夫妻やガナン様に迷惑をかけてきたのですから‥。」

「‥そうね。ロザンナは人に迷惑をかけた分の償いはさせた方が良いわよね。‥でも、何だかモヤモヤするのよね‥。」

キャロルは、ロザンナが昔の恋人達にちょっかいを出してる事を少し不審に思いました。そんな気の多い女とよりを戻そうとする恋人がいる訳ないのに、なぜロザンナはそんな無謀な事をするのだろう‥と疑問に思いました。‥そして、ある考えに至りました。

「ロザンナは、ダクト会長の息子にしても、昔の恋人にしても誰にも本気じゃないのかもしれないわ‥。彼らのお金が目的なのよ。

それで、誰か本命の相手に貢ごうとしているのだわ、きっと‥。そしてそれは‥‥駆け落ちした相手のロベールかもしれないわね。」

「‥まさか!?‥それより奥様、何だかとても楽しそうですね。」

「そうね。久しぶりにワクワクしてきたわ。ロザンナの事がもう気になって気になってしょうがないの。」

「‥奥様、あまり他人の事情に首を突っ込まない方が宜しいかと‥。」

マリーがそう言ってキャロルに釘を刺しました。ですが‥

「‥あら駄目よ。だってこれからだってロザンナは何度もここにやってくると思うの。だからロザンナの事をよく知って対策を練らなきゃならないじゃない。

‥だからマリー、今度ロザンナのあとをこっそりつけてみようと思うの。」

「奥様、駄目です。危ないです。それに‥そんなはしたない行為は‥。」

マリーがキャロルを制しようとしたところ‥エリが言いにくそうに発言しました。

「‥あの、私がやります。大奥様に頼まれて尾行は何度かやった事がありますので。それに‥多少は武芸の心得もあるので。」

エリはそう言って、次の日に早速ロザンナの尾行をしてくれました。

ロザンナはキャロルの推測した通り、やはりロベールと会っていました。ロベールは奥さんと子供がいるにも関わらず、ロザンナと浮気をしていたのです。

ロザンナはロベールにプレゼントやお金を貢いで、ロベールとの逢瀬を楽しんでいましたが、ロベールは‥ロザンナとわかれたあともすぐに他の女性と会っていました。
 
ロベールにとって女は全て金づるに過ぎないようでした。

エリからその報告を聞いたキャロルは、ロザンナどころか、ロベールの事まで憎らしく思えてきました。

「ロベールやロザンナを少し凝らしめてやりたいわねぇ。それに‥ロザンナの目も覚ましてやりたいわ。」

「‥奥様、話が広がってませんか?ロザンナ様がこの屋敷に来ないように懲らしめるだけのはずじゃ‥。」

マリーは何か良からぬ事を企んでいるキャロルを制しようとしましたが、目をキラキラさせてるキャロルを見て諦めました。

「マリー、ロベールがロザンナを悪の道へ誘い込んだのよ。ロザンナも悪いけど、ロベールがもっと悪いわ。‥だから、ロベールにも痛い目にあってもらいましょう。‥ちょうど私に良い考えがあるの。」

キャロルは楽しそうにそう言うと、マリーを見つめました。マリーが首を縦に振って同意するのを待っているようです。

「‥分かりました。全て奥様の仰せのままにいたします。」

マリーは半ば自棄になってそう答えたのでした。
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