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1、初恋はかなわないのです
しおりを挟む大陸の海に面した大きな国、メディチ王国には、二人の王子様がいました。金髪で青眼の第一王子ミカエル様と、青髪に黒眼のダイアン第二王子です。
そんな二人の婚約者として候補にあがったのが、国で一番美しいと噂の赤髪に金眼のルビー公爵令嬢と私侯爵令嬢のレミー・ローズです。私は金髪に水色の眼で、まあまあ可愛い方だけど、ほんの少しぽっちゃりしてるのが残念な令嬢とよく言われていました。
そんな四人の子供達は王様のはからいで、いつもお城の二階で一緒に遊ばされていたのです。
「ルビー、こっちにおいでよ。」
「待って、ミカエル様。きゃっ。」
「「大丈夫かい?」」
走って転んだルビー様に手を差し出す二人の王子様。
ルビーさんが二人のどちらの手を取ろうか迷っていると、二人の王子がルビーの両手をそれぞれ掴むんで引っ張りあげました。
「「行こう。」」
三人は、私を置いて先に行ってしまいました。
私はひとりぼっちになってしまったので、近くに控えていた侍女達や、護衛の騎士に図書室へ行く事を告げて、お城の図書室へ向かいました。
すると、護衛の騎士が一人ついて来てくれました。
図書室に着くと、私はいつもの席で適当に選んだ本を読んで過ごすのでした。その間、護衛の騎士は、入り口に控えています。
私は植物図鑑を開き、植物の名前や特性を覚えるのに夢中になりました。
「レミー、また図書室にいるの?」
「ジャック、あなたこそ本に興味なんてあったかしら?」
「‥僕は可哀想なレミーの相手をしに来てやったんだよ。」
「‥ありがとう。」
目の前に現れた銀髪に金目の少年は、ブレル侯爵家の長男のジャックです。優しい彼は、昔から私の事を気にかけてくれてました。
‥‥実は私、ジャックに密かに恋心を抱いていました。
「レミー、君は本当に強いな。普通の令嬢なら、毎日仲間外れにされてたら、きっと泣いていじけていたと思うよ。」
「‥いっそ泣く事が出来たら、少しは可愛げもあったのかしら。」
「うわぁ、僕は泣き虫な女の子は苦手なんだ。女の子だったら、レミーぐらい気さくでサバサバしてた方が話しやすくて好きだよ。」
「‥‥。」
「‥好きだよ。」
「‥そんな事言ってくれるの、ジャックだけだよ。‥ありがとう。」
「‥‥レミーはどっちの王子と婚約するのかな‥‥。」
「‥‥そうね。私はどっちかの王子と婚約するのよね。‥どっちも嫌だなぁ。二人共ルビーさん狙いなのに‥。私と婚約した方は絶対に私の事を恨むわよね。はぁ‥。」
「‥僕は、君が婚約しても落ち込んでる君を見たら話しかけに行くから。」
「ありがとう。心強いわ。」
‥‥ありがとう、ジャック大好きです。でも、私はこの国の王子と婚約しなければならないのです。
ほかの女性に傾倒している王子達のどちらかと‥‥。
‥ジャック、私のあなたへの初恋は永遠にかなわないのです。
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