13 / 31
ドリトルの正体
しおりを挟む
「初めまして、だね。夫人、遅れたけど結婚おめでとう。ボルゾイの事を宜しく頼むよ。」
「…あっ、あっ…!」
私が約束のお店に着くなり案内されたのは、有名なドレスショップのVIPルームでした。しかもドリトルというのは、女性ではなく男性でした。しかも、単なる男性ではなく、その人は…
「皇太子様!ご挨拶申し上げます……私は…。」
「あっ、そういう堅苦しい挨拶は今日は要らないから。今日はドリトルとしてここに来てるんだ、皇太子ではなくてね。」
ドリトルと名乗るこの男は、この国の皇太子であられるヴァロン様でした。その中性的な美しさで国民を魅了するばかりでなく、知能、身体能力も高い事で有名な方でした。
長いストレートの金髪を一本に束ねて眼鏡をかけているあたりは、彼なりの変装?でしょうか。服装も地味で目立たない色味のものを召していました。
どうやら今日は本当にお忍びで私と会いに来たようです。
それにしても皇太子がいったいなぜ私と会いに?大切な話というのは…?
訝しがる私の表情を読んだのか、皇太子が私を手招きし、気さくに話しかけてきました。
「まあまあ、ほら緊張しないでこっちへおいで。何も君をとって食おうとしてるわけでもないし。それに…早く聞きたいだろ?おそらく君の夫に関連してるであろう大切な話とやらを…」
にこやかに話しかけてくる皇太子でしたが、なぜか私はゾッとするものを感じました。
彼の陽気で気さくな雰囲気の端々にどこか毒々しさや狂気に似た何かを本能的に察し、体全体が小刻みに震え出しました。
「ぶはっ!ボルゾイから聞いた通りだ!君は相当勘がいい女性だね。僕のことが怖いのかい?」
皇太子はそう言うととても愉快そうに笑い続けました。
しばらくして笑い止むと、
「そうそう大切な話というのは…、実はねボルゾイは君に隠し事をしてるようなんだ。でもほら、夫婦の間に隠し事があるなんて変だろ、健全じゃないだろ?だから友人である僕が下世話にもこうして君に話してあげようとしてるんだ。」
…言い方にどこか私に対して刺々しいものを感じましたが、黙って頷き話の先を促す事にしました。
「…あれ?この話にもっと興奮して食いついて来るかと思ったのに、相変わらず君は冷静だね。…でもどこまで冷静でいられるかなぁ~。」
皇太子は私の反応を見て楽しむのが目的だったのか、私が彼の望む反応を示さないと先の話に進んではくれないようでした。
「…気になってはいます。どうかお願いです。教えて下さい。」
「うーん、、もっと違う反応を楽しみにしてたんだけど…まあいいか。で、ボルゾイが君という立派な奥様に隠してる事というのは…彼が僕と両想いの仲だっていう事なんだ。なんか、ごめんね?」
「…えっ!?」
私は皇太子から発せられた予想外の言葉に思わず驚きの声を発してしまいました。
「ぶはっ、驚いただろ?あー、これこれ、これだって。その顔が見たかったんだ。」
皇太子の馬鹿笑いが頭の中にこだまします。
夫と皇太子が両想い…つまり恋人同士という事なの?だとしたら、彼の恋愛対象は男性なの?でも私とは何回もベッドで一緒に…
「アッハハ、君の考えてる事が手に取るようにわかるよ。君と何回も寝たからって、彼が君を愛してる訳ではないんだからね。期待しない方がいいよ、君も無駄に傷つきたくないだろ?それに彼が僕を愛する気持ちは君に対するちっぽけな義務感のようなおざなりなものではなくて、もっと至高で尊い穢れなき純粋なものなんだ。」
「…!」
私は皇太子の言葉に顔中が真っ赤になっているのを感じました。
恥ずかしい!悔しい!許せない!!夫も皇太子も私の事を馬鹿にして!!二人が両思いであることを知らずに夫にはそれなりに愛されているはずと思い込んでいた自分が許せない!
そして、あんなにも善良そうなふりをして…こんなにも自分の事を傷付けている夫の事が憎い!
俯いたまま顔を真っ赤にして泣きながら体を震わせる私を見て、皇太子はとても満足気に笑いました。
「…僕だよ。君と結婚するようにボルゾイに勧めたのは。ボルゾイは僕の言う事はなんでもきくからね。君との結婚の話もすんなりと応じてくれたよ。」
「…うっ、う。」
どうして?と言いたいのに、嗚咽で言葉が出ません。
「アッハハ!どうして君を彼にすすめたのかを知りたいんだろ。簡単だよ。君は目立たない令嬢だし、野心もない。それに僕は時々君が彼の事をこっそり目で追っているのを知っていたんだ。君は好きな男と一緒になれて、僕たちは君という隠れ蓑を得て堂々と人目を忍んで愛し合う事ができるんだ。お互い様じゃないか。」
「うっ、う…」
嗚咽で肩まで痙攣してしまい恥ずかしい思いでいると…
皇太子が私のもとに来て、私の震える肩を両手で掴み、怖い顔を近づけてきました。
「君さぁ、早く妊娠してくれないかなぁ?男の子2人と女の子1人産んでくれたらいいんだよ。それから今後もファテン公爵家の夫人として、公爵家を守っていってくれよ。あっ、そうそう生まれた女の子は将来皇室に嫁いでもらう事にするよ。…そう、君はこれから一生ファテン公爵夫人として役割を果たすんだよ。
そうしてくれたら僕たちは安心して君を隠れ蓑にしながら愛を育めるだろ?頼むよ。」
そこまで一気に話し続けた後、皇太子は悪びれる様子もなく笑顔で私にウインクをして去っていきました。
ひどい!なんて…残酷で無神経な皇太子なの!美しくて高貴なら、何をしても許されるとでも思っているの?
それに…夫もひどい!許せない!私の事を初めから利用するつもりで結婚してたなんて!しかも皇太子との愛を育むための隠れ蓑としてだなんて!
怒りや悲しみでぐちゃぐちゃになった私の心のうちを見透かしたように、部屋の扉の外からは皇太子の笑い声が聞こえてきました。
部屋に1人残された私ですが、皇太子が夫を私の迎えに寄越したようで…
私を迎えに来た夫に手を引かれて部屋を出る事になりました。
泣き崩れる私を見てすぐに何かを察した夫でしたが、何も言わずに屋敷まで帰ると、そのままその夜は食事も寝室も夫婦別々でとることになりました。
そしてその日以降夫は終始私の顔色を伺うようになりました。
「…あっ、あっ…!」
私が約束のお店に着くなり案内されたのは、有名なドレスショップのVIPルームでした。しかもドリトルというのは、女性ではなく男性でした。しかも、単なる男性ではなく、その人は…
「皇太子様!ご挨拶申し上げます……私は…。」
「あっ、そういう堅苦しい挨拶は今日は要らないから。今日はドリトルとしてここに来てるんだ、皇太子ではなくてね。」
ドリトルと名乗るこの男は、この国の皇太子であられるヴァロン様でした。その中性的な美しさで国民を魅了するばかりでなく、知能、身体能力も高い事で有名な方でした。
長いストレートの金髪を一本に束ねて眼鏡をかけているあたりは、彼なりの変装?でしょうか。服装も地味で目立たない色味のものを召していました。
どうやら今日は本当にお忍びで私と会いに来たようです。
それにしても皇太子がいったいなぜ私と会いに?大切な話というのは…?
訝しがる私の表情を読んだのか、皇太子が私を手招きし、気さくに話しかけてきました。
「まあまあ、ほら緊張しないでこっちへおいで。何も君をとって食おうとしてるわけでもないし。それに…早く聞きたいだろ?おそらく君の夫に関連してるであろう大切な話とやらを…」
にこやかに話しかけてくる皇太子でしたが、なぜか私はゾッとするものを感じました。
彼の陽気で気さくな雰囲気の端々にどこか毒々しさや狂気に似た何かを本能的に察し、体全体が小刻みに震え出しました。
「ぶはっ!ボルゾイから聞いた通りだ!君は相当勘がいい女性だね。僕のことが怖いのかい?」
皇太子はそう言うととても愉快そうに笑い続けました。
しばらくして笑い止むと、
「そうそう大切な話というのは…、実はねボルゾイは君に隠し事をしてるようなんだ。でもほら、夫婦の間に隠し事があるなんて変だろ、健全じゃないだろ?だから友人である僕が下世話にもこうして君に話してあげようとしてるんだ。」
…言い方にどこか私に対して刺々しいものを感じましたが、黙って頷き話の先を促す事にしました。
「…あれ?この話にもっと興奮して食いついて来るかと思ったのに、相変わらず君は冷静だね。…でもどこまで冷静でいられるかなぁ~。」
皇太子は私の反応を見て楽しむのが目的だったのか、私が彼の望む反応を示さないと先の話に進んではくれないようでした。
「…気になってはいます。どうかお願いです。教えて下さい。」
「うーん、、もっと違う反応を楽しみにしてたんだけど…まあいいか。で、ボルゾイが君という立派な奥様に隠してる事というのは…彼が僕と両想いの仲だっていう事なんだ。なんか、ごめんね?」
「…えっ!?」
私は皇太子から発せられた予想外の言葉に思わず驚きの声を発してしまいました。
「ぶはっ、驚いただろ?あー、これこれ、これだって。その顔が見たかったんだ。」
皇太子の馬鹿笑いが頭の中にこだまします。
夫と皇太子が両想い…つまり恋人同士という事なの?だとしたら、彼の恋愛対象は男性なの?でも私とは何回もベッドで一緒に…
「アッハハ、君の考えてる事が手に取るようにわかるよ。君と何回も寝たからって、彼が君を愛してる訳ではないんだからね。期待しない方がいいよ、君も無駄に傷つきたくないだろ?それに彼が僕を愛する気持ちは君に対するちっぽけな義務感のようなおざなりなものではなくて、もっと至高で尊い穢れなき純粋なものなんだ。」
「…!」
私は皇太子の言葉に顔中が真っ赤になっているのを感じました。
恥ずかしい!悔しい!許せない!!夫も皇太子も私の事を馬鹿にして!!二人が両思いであることを知らずに夫にはそれなりに愛されているはずと思い込んでいた自分が許せない!
そして、あんなにも善良そうなふりをして…こんなにも自分の事を傷付けている夫の事が憎い!
俯いたまま顔を真っ赤にして泣きながら体を震わせる私を見て、皇太子はとても満足気に笑いました。
「…僕だよ。君と結婚するようにボルゾイに勧めたのは。ボルゾイは僕の言う事はなんでもきくからね。君との結婚の話もすんなりと応じてくれたよ。」
「…うっ、う。」
どうして?と言いたいのに、嗚咽で言葉が出ません。
「アッハハ!どうして君を彼にすすめたのかを知りたいんだろ。簡単だよ。君は目立たない令嬢だし、野心もない。それに僕は時々君が彼の事をこっそり目で追っているのを知っていたんだ。君は好きな男と一緒になれて、僕たちは君という隠れ蓑を得て堂々と人目を忍んで愛し合う事ができるんだ。お互い様じゃないか。」
「うっ、う…」
嗚咽で肩まで痙攣してしまい恥ずかしい思いでいると…
皇太子が私のもとに来て、私の震える肩を両手で掴み、怖い顔を近づけてきました。
「君さぁ、早く妊娠してくれないかなぁ?男の子2人と女の子1人産んでくれたらいいんだよ。それから今後もファテン公爵家の夫人として、公爵家を守っていってくれよ。あっ、そうそう生まれた女の子は将来皇室に嫁いでもらう事にするよ。…そう、君はこれから一生ファテン公爵夫人として役割を果たすんだよ。
そうしてくれたら僕たちは安心して君を隠れ蓑にしながら愛を育めるだろ?頼むよ。」
そこまで一気に話し続けた後、皇太子は悪びれる様子もなく笑顔で私にウインクをして去っていきました。
ひどい!なんて…残酷で無神経な皇太子なの!美しくて高貴なら、何をしても許されるとでも思っているの?
それに…夫もひどい!許せない!私の事を初めから利用するつもりで結婚してたなんて!しかも皇太子との愛を育むための隠れ蓑としてだなんて!
怒りや悲しみでぐちゃぐちゃになった私の心のうちを見透かしたように、部屋の扉の外からは皇太子の笑い声が聞こえてきました。
部屋に1人残された私ですが、皇太子が夫を私の迎えに寄越したようで…
私を迎えに来た夫に手を引かれて部屋を出る事になりました。
泣き崩れる私を見てすぐに何かを察した夫でしたが、何も言わずに屋敷まで帰ると、そのままその夜は食事も寝室も夫婦別々でとることになりました。
そしてその日以降夫は終始私の顔色を伺うようになりました。
11
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
伝える前に振られてしまった私の恋
メカ喜楽直人
恋愛
母に連れられて行った王妃様とのお茶会の席を、ひとり抜け出したアーリーンは、幼馴染みと友人たちが歓談する場に出くわす。
そこで、ひとりの令息が婚約をしたのだと話し出した。
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。
石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。
そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。
新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。
初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。
星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。
グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。
それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。
しかし。ある日。
シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。
聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。
ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。
──……私は、ただの邪魔者だったの?
衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる