気になる人

みるみる

文字の大きさ
上 下
12 / 31

ドリトルからの急な呼び出し

しおりを挟む
 ボルゾイと結婚後、彼がすぐに公爵家を継ぎ、彼の両親が田舎へ引っ越してしまった為、私は彼との穏やかな新婚生活を満喫していました。

 結婚前にあんなにも不安になっていたのが嘘のように幸せな日々が続いていたのです。

 そんな幸せに包まれていた私の元に得体の知れない手紙が届きました。

 しかもその手紙の送り主は「ドリトル」でした。

 以前ボルゾイと侍女の話を盗み聞きした際に聞こえてきた「彼の友人のドリトル」です。

 彼から私宛に送られた手紙に、いったい何が書かれているのかとても気になります。

 ペーパーナイフを刺す手が震えます。心臓が激しく脈うつのも感じました。

 怖い。

 きっと手紙には、何か私が知りたくない夫の事が書いてあるのだと確信していました。

 震える手を胸に当て深呼吸をし、落ち着いたところで一気に手紙の封を開けました。

 中にある便箋には綺麗な文字が数行書かれているだけでした。便箋からは微かな花の香りがします。

「まさか、ドリトルとは夫の友人ではなくて…深い仲の女性なの!?」

 私は夫に裏切られたのかもしれないのです。悲しみや怒りで体全体が震えます。

 震える体をおさえながら、床に落ちた便箋の文字にそっと目を落とすと…

 そこにはとある場所の住所が記されており、大切な話がしたいから来るように…といった内容が書かれていました。

 約束の日時は今日です。しかもあとI時間もない時間帯です。

 こんな強引な約束を直前になって手紙で知らせてくるとは…相手は私よりもかなり上位の貴族のようです。

「行きたくないけど…」

 私は無性に悔しくて約束の場所に素直に向かおうという気持ちにはなりませんでしたが…

 それでも相手のいう大切な話という言葉が気にもなっていました。大切な話というのは、間違いなく夫に関係したもとだと思われます。

 私は侍女を呼んで急いで支度し、ドリトルの待つ場所へと向かいました。

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

それは絶対にお断りしますわ

ミカン♬
恋愛
リリアベルとカインは結婚して3年、子どもを授からないのが悩みの種だったが、お互いに愛し合い仲良く暮らしていた。3年間義父母も孫の事は全く気にしていない様子でリリアベルは幸福だった。 しかしある日両親は夫のカインに愛人を持たせると言い出した。 不妊や子供に関する繊細な部分があります。申し訳ありませんが、苦手な方はブラウザーバックをお願いします。 世界観はフワッとしています。お許しください。 他サイトにも投稿。

【完結】愛に裏切られた私と、愛を諦めなかった元夫

紫崎 藍華
恋愛
政略結婚だったにも関わらず、スティーヴンはイルマに浮気し、妻のミシェルを捨てた。 スティーヴンは政略結婚の重要性を理解できていなかった。 そのような男の愛が許されるはずないのだが、彼は愛を貫いた。 捨てられたミシェルも貴族という立場に翻弄されつつも、一つの答えを見出した。

【完結】夫もメイドも嘘ばかり

横居花琉
恋愛
真夜中に使用人の部屋から男女の睦み合うような声が聞こえていた。 サブリナはそのことを気に留めないようにしたが、ふと夫が浮気していたのではないかという疑念に駆られる。 そしてメイドから衝撃的なことを打ち明けられた。 夫のアランが無理矢理関係を迫ったというものだった。

最近様子のおかしい夫と女の密会現場をおさえてやった

家紋武範
恋愛
 最近夫の行動が怪しく見える。ひょっとしたら浮気ではないかと、出掛ける後をつけてみると、そこには女がいた──。

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

妻と夫と元妻と

キムラましゅろう
恋愛
復縁を迫る元妻との戦いって……それって妻(わたし)の役割では? わたし、アシュリ=スタングレイの夫は王宮魔術師だ。 数多くの魔術師の御多分に漏れず、夫のシグルドも魔術バカの変人である。 しかも二十一歳という若さで既にバツイチの身。 そんな事故物件のような夫にいつの間にか絆され絡めとられて結婚していたわたし。 まぁわたしの方にもそれなりに事情がある。 なので夫がバツイチでもとくに気にする事もなく、わたしの事が好き過ぎる夫とそれなりに穏やかで幸せな生活を営んでいた。 そんな中で、国王肝入りで魔術研究チームが組まれる事になったのだとか。そしてその編成されたチームメイトの中に、夫の別れた元妻がいて……… 相も変わらずご都合主義、ノーリアリティなお話です。 不治の誤字脱字病患者の作品です。 作中に誤字脱字が有ったら「こうかな?」と脳内変換を余儀なくさせられる恐れが多々ある事をご了承下さいませ。 性描写はありませんがそれを連想させるワードが出てくる恐れがありますので、破廉恥がお嫌いな方はご自衛下さい。 小説家になろうさんでも投稿します。

「一晩一緒に過ごしただけで彼女面とかやめてくれないか」とあなたが言うから

キムラましゅろう
恋愛
長い間片想いをしていた相手、同期のディランが同じ部署の女性に「一晩共にすごしただけで彼女面とかやめてくれないか」と言っているのを聞いてしまったステラ。 「はいぃ勘違いしてごめんなさいぃ!」と思わず心の中で謝るステラ。 何故なら彼女も一週間前にディランと熱い夜をすごした後だったから……。 一話完結の読み切りです。 ご都合主義というか中身はありません。 軽い気持ちでサクッとお読み下さいませ。 誤字脱字、ごめんなさい!←最初に謝っておく。 小説家になろうさんにも時差投稿します。

処理中です...